可馨様が居候する事になった
(意識を戻して、ねえお願い、ねえ、ねえ、ねえ、小馨、小馨、ねえ小馨ねえ、ねえ、ねえ)
(だ…だれ?みいみい言うのは?ここどこ?……死んじゃったのわたし?)
(やっと意識が戻った、心配した。私は可馨、あなたを待っていた)
(可馨さま?じゃあ死んだのかわたし)
(なんで?あの糞導師に殺された?)
(可馨様は生き返らせる話しじゃなかったの?)
(騙された?騙されて殺された?)
(わたしは犬死に?)
(なんで?なんで?なんで?)
(幾らなんでもあんまりだ!)
(わたしは無為に殺される為だけに!)
(殺されるために産まれてきたのか!)
(あんまりだ!あんまりだ!あんまりだ!)
(……………)
(おのれ!)
(おのれ!おのれ!)
(おのれ!おのれ!おのれ!)
(許さない!許さない!許さない!)
(お、落ちついて、小馨お願い落ちつくの)
(どうやって!)
(ねえ!どうしたら落ち着けるの)
(無意味に産まれて)
(邪魔物扱いされて)
(捨てられて)
(奪われ続けて)
(逃げ回って)
(餓えて)
(渇いて)
(うだって)
(震えて)
(やっと情を掛けて貰えば、
それはわたしの為じゃなく)
(あなたの為の紛い物)
(それでも構わないと決意すれば)
(全く無意味に殺された!)
(それで、どうやったら、落ち着ける!)
(憎い!憎い!)
(世界の全てが憎い!)
(わたしを憎む世界が憎い!)
(わたしが一体何をしたァ!)
(だから落ち着け!
今一時的に魂が体に支配されてないから、感情が一気に膨れ上がるんだよ!)
(落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着け、落ち着け)
(悪い思いだけではないだろ、良い思いもあった筈だ。思い出せ)
(黄姐……母さま……黄姐……母さま……黄姐……)
(落ち着いた……)
(今度は嫌になるほどさみしい……)
(黄姐に会いたい、母さまに会いたい、でも、もう会えない……)
(さみしい……さみしい……さみしい………)
(嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ)
(だから!お、ち、つ、け、!話が進まない!そもそも死んで無いから!)
(………死んでいない?……どこ、ここ?見えている訳じゃないけど、
そこに貴女がいるのは分かる)
(明るい訳でも、暗い訳でも、広くも狭くもない、変な所?あれ、音もしない?)
(極論すれば、貴女の心?かな?魂の置き場が心なのか、魂が体に宿るから、心が生まれるのかは、分からない)
(ふーん。ならお腹は空かないんだ、便利だね)
(いや、美味しいご飯が食べられなくなる?
やだ!今朝の粥は美味しかった!)
(また食べたい、食べたい!食べたい!食べたい)
(……黒太郎から貴女の事を見ていたけど、こんなに激情家だったかな?)
(黒太郎?なにその馬鹿な名前、誰がつけたの?もしかして可馨様?)
(あはは、なにその感性♪)
(あははは、ああ可笑しい、アハハハハハ)
(あはははは、アハハハハハ♪)
(うっうるさいよ、これはね、仕方ないの。
太郎っていうのはね、別に私がつけた訳じゃって、そんな事どうでみも良いの)
(アハハハハハ♪で、なにその黒太郎っアハハハハハ、最高アハハハハハ♪
ってなに?)
(はあ、気分が良い分には良いか。
黒太郎は私の使い魔、私は瓶の中で寝ていた訳じゃない。
旱導師の言動は、全て見聞きしていた)
(貴女が最終候補になった時から、導師の使い魔は貴女を護衛していた)
(私は、黒次郎、黒三から貴女を…って聞いてる?)
(アハハハハハ、馬鹿じゃないの)
(アハハハハハ太郎の次だから)
(アハハハハハ次郎は良いよ)
(だけど、三っただの三!)
(アハハハハハ、アハハハハハ……どっどうしよう、感情がアハハハハハ垂れ流される~)
(お、ち、つ、け、小、馨、まあ、いいか。
ザックリ説明するけど、私の魂を貴女の魂に同居させて)
(ハー落ち着いた、構わないけど、なんで?)
(随分あっさり了解したけど、本当に良いの)
(もともとわたしは、そのために養女になった。ん?魂に?体じゃ無くて?)
(そう。旱導師は体と魂を分けて考えている様だけど、実はこれ不可分。一度別れると繋がらない)
(?それって、当たり前じゃないの)
(そうだけど……そうね、当たり前の事を、当たり前に考えられなくなってるね、本当、左道は外道だわ)
(なに?左道って?)
(簡単に言うと、道を外れた道法家かな、全ての道は真理に至る、を誇大解釈しているね)
(ふーん、可馨様って頭良いね)
(私は貴女の倍は生きているのよ、当然よ。
……いや言いたい事は分かる、黙ってて)
(それでね、体に繋がっている状態の魂に包まれれば、私の魂も存続するの)
(なんで可馨様は、そんな事を知ってるの?)
(簡単よ、死ねば誰でも分かる事だから。
輪廻から外れた魂はね、そのままだと、その内霧散するわ)
(だから自然と魂同士がくっつくの。)
(黒靈がそう)
(黒靈の中で、淘汰された自我の中から残った自我みたいのが、例えば、太郎、次郎、三。
もともとの彼等の名前)
(本名だったんだ。それで、どうやるの?
可馨様は分かる?)
(私を受け入れると思ってくれれば良い。
折角生き返るのだから、どうしてもやらなければ成らない事がある)
(何をするの。あと、わたしはどうなるの?)
(たぶん私は、瓶の中にいた頃と変わらない。小馨に居候するだけよ、こんな風に会話出来ると思うけど)
(だから、やりたい事は小馨に頼む事になるかな、その内に分かるわ)
(分かった。うん、そうだ♪じゃあ一つだけ条件をつけるよ)
(……こうしている間にも、貴女の感情が伝わって来るから大体分かるわ)
(……言いにくいけど、黄は小馨の思っているような人じゃないよ)
(黄を慕って、真似をしたいのは、まあ、分かるけどね)
(?黄姐は優しいよ、美人さんだし、頭も良いし、黄姐みたいになりたいよ)
(だから真似して、私を妹扱いしたいのは分からないでもない)
(私のしたい事も黄絡みだし、受け入れてくれるなら、小馨の事を姐と呼ぶわ)
(ただ、幻滅しないで聞いてくれる?)
(何を?黄姐の事?)
(そう、黄侍女……黄翠朱はね、とても腐っているのよ)




