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橋本治さんの訃報に接して

作者: 秋葉竹

驚いたし、早すぎるし、感情の収集がつかない。

敬愛する、橋本治さんが、お亡くなりになられた。

いま、幾らかでも思ったことを書いておかなければ、記憶の中に埋もれてしまうことは目に見えているので、拙いながらも、少々橋本治さんについて、書かせてもらう。


ほんの、ちょっとした感想である。

そんなにややこしくはない。

では、本文お読みくださいませ。



第一報をラジオのニュースで聞いて、


えッ!?


って、車中大声で叫んでしまったほどだった。


橋本治さんが、お亡くなりになられた。


亡くなられたから気がつくこともあったりする。

ずーっと、好きだった。

そんなことは、当たり前で、知っていた。

だから、これが亡くなられて初めて知ったことではない。

とある関西在住の大学に勤められている人が、ラジオの番組のゲストに出ていて、橋本治さんの話をされていたのだ。

その方は、なにかの出版物で賞を取ったとき、その選考委員に橋本さんがおられて、その人へのお祝いの言葉をスピーチしていただいたとき、体が震えてるのを感じた、とか。もともと、大ファンだった、とか。

その内田先生のことは、どうでもいい。

ただ、その経験は、純粋に、羨ましい。


その内田先生のことはどうでもいいんだが、その内田先生が語られていた橋本治さんの人物像が、今回そうだったのかと気づかされたこと。

『どこにも属していない、孤立して、孤立して、どこからも孤立していた生き方。ただ、やりたいことだけやって生きてきた人。』

文壇にも、ほとんど属さず、ある歳になって、むこうからやってきたときに、初めて軽く属したような付き合い方だったらしい。


橋本治さんというと、今回の訃報でも人物紹介で使われていた事績は、「桃尻娘」の作者で、「枕草子」を現在語訳した、小説家であり、評論家だということになってしまっているみたいだ。


ほんとうは、そんな程度のものではなかった。

彼は、世界の全てを読み解こうとして、そのための努力を惜しまず、知恵と知性と根性によって、まがりなりにもただ一個の頭脳でそれを成し遂げた偉人であった。

だから、彼の書く文章には、常にその自分が解体した世界が背後に広がっていて、その広さは読む者に、ある種の孤独感さえ感じさせるほどだった。

一度読んで理解できる文章ではない難解な思考を、とても読みやすい平易な言葉で書き記してくれていた。


あまりに難し過ぎて、何度読み返しても、理解し切れない文章まであったほどである。


素晴らしい思考家をなくした。

彼こそ、今の時代を生きる日本人にとって、最大の思考家であったと思う。

だから、彼を失った日本は、ひとつバカになることを否めないだろう。


というか、一度でよいから、お会いしてお話しをさせていただきたかった。

それが、私の人生における大きな夢のひとつだった。


あゝ、どう考えてもどう理由をつけてみても、やはりそれは、まだ早すぎる死ではあった。


いまはそれしかできないので、私は私の過去の記憶の中から笑顔の橋本治さんを胸に抱かせていただいて、謹んで心よりのお悔やみを申し上げます。


ハハ、少し大げさだけど体のどこかを、持っていかれたみたいな。

ハハ、ハ………ハ。






お読みくださり誠に有難うございます。

またお会いできる日を楽しみにしています。

(橋本治さんともまたいつかどこか(!)でお会いしたいです)

でわ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「桃○娘」の作者って、 「止めてくれるな、 おっ母さん! 背中の銀杏が泣いている 男、東大どこへ行く」 のポスターを作った人ですよね。
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