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06 奴隷の女王

 

『奴隷商会』とは、かつて禁忌とされた奴隷制度を国家が許可し特別に人身売買を行なっている商会である。


 猫耳族やウサ耳族など人間以外の種類を奴隷としてもよい。

国立図書館内のオークション会場で月に1回ほど開かれ、その日1日ので動く金は年間の国家予算並みの規模だという。




「本当にごめんなさい。もうすぐオークションが始まってしまう」



 捕らえられた黒い人は頭を地面に押し付けて許しを請うていた。




「全く‥ ところでオークション会場はどこなんだ?案内してくれ」

「いいのかゴールド。解放すればこいつは逃げ出すかもしれないぞ」



「フォーレンさん、もう時間がないんだ」

 苦々しい顔をして視線を逸らしたが手を上に掲げて解放の呪文を唱える。

黒い人にかけた魔法をとくつもりだ。



その後すぐに魔法は解かれ自由に動けるようになった。



「この恩は忘れません。では私についてきて下さい」

「分かった!行くぞみんな」



 4人は全速力で走り、オークション会場である国立図書館へ向かう。




「フォーレンさん」

「ん?なんだ」



「オークション会場に来るのが王族なら事情を話せば助けてくれるんじゃないですか?」

「無理だな。王族にもまともなのはいるが、オークション会場に来るような奴らにまともなのがいると思うか」



「なるほど‥ 王族にも色々あるんですね」

「最近は、後継争いも酷くてな。政治が全く機能していない」



「この世界も大変なんですね」

「え?この世界?」



「いや、この国も大変なんだなぁって」



 実はゴールド前世の記憶が残っていることを未だに誰にも話していない。



 仮に話したとしても、信じる者などいないだろう。


ましてや前世の記憶が残ったままで異世界へ転生してきた者など自分くらいだけだと決めつけていた。



「ママどうなるの?」



 先程まで黙り込んでいた女の子が、勇気を出して話に割り込む。




「大丈夫ですよ。依頼はきっちりと遂行しますから」

「本当に?ありがとう」




 今日一番の笑顔を見せてくれたおかげでゴールドだけでなく魔道士もついついニヤけてしまった。




「お金以外のことでニヤけることってあるんですね」

「うるっさいな!てかゴールド、私はお前より年上なんだからな。最近いじりすぎだぞ」



「まぁまぁ、見た目は同じ年齢なんですし」

「くっ‥ 母親と似て口が達者だな」



 走りながら話しているとは思えないほど楽しそうに話す2人を、女の子は不思議そうな顔をして見ている。

 まるで痴話喧嘩のようだと。



 話しているうちに目の前に大きな建物が見えてきた。立派な装飾を施したドーム型の巨大な建造物だ。




「デカイな。ここがオークション会場か」

「そうです。もう始まっているようですから受付に私から話を通しておきます!三人は早く会場へ入って」



 先頭を走っていた黒い人は受付に向かって一人で走り、残りの三人は大きな入り口に向かっていった。



 大きな講堂にたどり着いた三人は絶句する。

 巨大な舞台の上に鎖を繋がれてボロボロの服を着ている奴隷達と、横で司会をしている小綺麗なピエロ。




 そしてそれを見る観客達は、皆豪華な装飾を施した衣装を着て笑いながらオークションを見ている。




「すごいなこれは。おれ達、物凄い目立ちそうだ」

「そうだな。こんな身なりでは途中で追い出されるぞ。全く‥」



 魔道士は大きなため息をつくと杖を取り出し円を描くように動かす。



 すると三人の衣装が一瞬で貴族が着ているかのような銀色の装飾が施された衣服に変わっていた。




「これで問題ないな」

「ありがとう。フォーレンさん」



「この身なりなら、大金を持っていても怪しまれずに済むだろう」

「お姉ちゃん大好き!」




 女の子は喜びを抑えられなくなったのか魔道士に飛びつく。




「ははは。これくらい何ともないよ」




 ニヤつきながら頭を撫でるその姿はまるで犯罪者だ。




「二人とも、この位置に座ろう」




 ゴールドは真ん中の列の少し上方向に席を取る。




 観客席自体は大量にあるのだが実際オークションに手を出せる財力を持つ者は少ないため、観客席はまばらだ。




「お母様のオークションが、まだ終わってなければいいんだけど…」

「堂々としてろゴールド、きっと大丈夫だ」



「ママ‥」

 三人は椅子の肘掛を強く握りしめる。

依頼者の母がオークション会場に出品されるのをひたすらに待った。




 待ちに待った末にオークション終盤で遂にお母様らしき奴隷を見つける。




「お兄ちゃん!ママがいた!96番って書いてある」

「よし。ゴールドすぐに右手を上げろ!」

「分かっていますよ」




 興奮気味の三人は、身を乗り出して会場の舞台をじっと見つめ、ゴールドは右手を勢いよく上げようとした。




その時だった。




「100万ゴールド!96番!」



 突然響いた大きな声に観客はどよめく。



「ただの奴隷に100万ゴールドも払うのか?」

「気でも狂ったのかしら」



 どよめく観客達のざわめきに、ゴールド達三人の声も入っていた。



「誰が手を挙げたんだ」



 ゴールドが動揺している間に、魔道士がその声の主の姿を捉ると足を組んで唇を噛みしめ始める。



「厄介な相手ね。王族かと思ったけど違うわ。奴隷商会代表のジーン・バッカスよ」




 急いで声の方向に目をやると、そこには貫禄のある高齢の人物ではなく20後半ほどの若く美しい女性の姿があった。




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