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20 正義の偽善者

 


「あれがきっとロンメルの部屋よ!まだ灯りがついてるわ」

「フォーレンさん、早いです…」



 フォーレンはいつになく焦っている。

 先程までとは大違いだ。

 無理矢理に心を落ち着かせていたのだろう。



 ロンメルとの交渉の時間を考えると、母親の救出には一刻の余裕もないのだ。


 フォーレンの焦りも理解できる。


「あれですね!」

 暗闇の廊下から暖かい光がドアの隙間から差し込む。





 よし!さっき門の兵士が言っていた部屋が見えた




 この扉を上げれば…

 おれ達が勝つ可能性が出てくるはずだ。



 そう希望の灯りが…すぐ近くまで…



 しかし、その前に


「フォーレンさんは外で待っていて下さい。おれが話を付けてきますから」

「え… う、うん」


 暗い表情をしながら足取りを遅くする彼女を見ると、心が痛くなる。

 が、とにかく時間がないのだ。



 3人で会話するよりも2人の方がすぐに話がまとまる。

 おれが交渉をまとめる



 〈ガチャ〉

 はち切れんばかりの期待を胸にして、勢いよく扉を開けた。

 そう。壊れるくらいの勢いで




 そんな失礼な行動にも関わらず、部屋の住人は怒らず丁寧に対応をしてくれた。



「ノックもせずに入ってくるとは、誰じゃ?」


 出迎えてくれたのは、長い髭を蓄えている老人である。

 背は低く体格も細めだ。



 正義漢と聞いていたから、もっとゴツい容姿をしているかと思っていたため少し顔が歪む。



 だが時間がないのだ。




 早く交渉に入らなければ…

 間に合わなくなる


「ロンメル様、私はとある商会の代表をしています。 いえそんな場合ではないのですよ!先日奴隷オークションを行ったのですが、その際に私の買った奴隷がバッカスという女によって、すり替えられていたのです」



「ほぅほぅ、なるほどのぉ。バッカスを訴えたいとの事じゃな、承った。こちらで調査するから明日の朝に、担当の審議官まで頼むよ」




 こんな深夜に入ってくる相手に懇切丁寧な対応は頭が下がる。が、やはり裁判ではない…




 ――このまま引き下がったら終わりだ



 その気持ちが、ゴールドの(まなこ)に熱い気持ちを(たぎ)らせた。



「一つお願いなのですが」

「なんじゃ?」



「裁判の過程に私共も参加させて欲しいのです」

「ん?… いや、そのような方式はとっておらんでな」



 至極真っ当な返答である。

 まるでマニュアル本に書いてあるような答え方だ。



 だが…



「お願いです。実はその奴隷とは、誘拐された母親なのです、私は、幼い娘さんを審議に参加させたい…」

「なんと… そのような経緯があったのか」



 やはり食いついてきた。

 正義漢らしい反応である。



 ゴールドは喜びを抑えるために自らの唇を強く噛んだ。



「分かった。裁判への参加を認めよう。ただし…」

「何か条件ですか?」




「うむ。今回は特例だからな、審議官ではなく儂が判決を取らせてもらおう。それで良いかな?ゴールド君」

「はい。勿論です」



 即答してしまったが、この老人の思惑はなんだ?

 なぜ自らが判断を下すと言っているのだろうか、





 いや余計な心配か、これで上手くいったはず。

 後は、この老人を丸め込めばおれ達の勝ちだ。



 しかし、何か違和感があった。

 (なんだこの感じ、何か突っかかるものがあるような…)



 いや待てよ。



 あの老人


 なんで、おれの名前を知ってるんだ


























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