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19 強欲な兵士

キリが悪いので、今日中に20話まで出します。

 



 法律審議官を買収する


 自分から言っておいてこんな事を考えるのはおかしいかもしれない。


 でも、本当にこんなやり方で母親を取り戻しても良いのだろうか。



 仮に勝ったとしも、今後、審議官を買収して裁判に勝つ事が一般的になってしまったらどうしようか。



 貧乏人が、法律にすら守られないような世界をおれが作ってしまうかもしれない



 でも……




「おいゴールド。何をボッーとしてるのよ、もう着いたわよ」

「あっ、すみません。眠たくて、ははは」


 ゴールドは悩んでいた。

 フォーレンに声をかけられるまでずっと、ただ前を見ていたのだ。



 暗闇にそびえ立つ大きな館を



 2人が移動してきた場所は、館のさらに前、巨大な門の前である。



「ここが、この都市を管轄している王族の住処ですか」

「そうよ。ロンメルの(ジジイ)が住んでるわ」




「ロンメル?」

「王族の名前よ。彼、真面目な正義漢なんだけどねぇ… 真面目すぎるのよ」



「そんなに、ですか?」

「元々、中央にいたんだけど他の王家の不正を指摘しすぎて飛ばされてきたの」



「………」

「どうしたの、黙り込んで」



 ゴールドはゆっくりと目を閉じて唇を噛み、悩んでいる様子だ。



 マズイ…

 そんな正義漢なのか。

 金を渡して秘密裁判から公開裁判へと変えるつもりだったが、どうも難しそうだ



「フォーレンさん。その方は、お金で動いてくれますか?」

「無理かもしれない。ただ… もうこの方法しかないんでしょ?」



 フォーレンの言葉通りである。

 他の案を考える時間など何処にもない



 もし交渉が頓挫したなら、さらに上の幹部に金を渡して圧力をかけてもらうしかないのか。


 ただ、それだと時間が掛かりすぎて…



 いや




 正義漢を相手取るなら他の攻め方をすればいいじゃないか…



「ぶっ、ぷははは」

「遂に頭が壊れたか?」



「違いますよ!ははは。さぁ行きましょう」

「あ…あぁ」



 ストレスで壊れたのではない、笑いを抑えきれなかっただけである。

 この日のゴールドは冴えていた。



 まだ絶望的な状況ではない事に気付いていたのだ



 ゴールドの奇行に驚き、フォーレンからは冷たい視線を浴びせられているが2人は共に門への足を進める。



 彼らの願いは一つだ。

 ――早く依頼人の母親を助けたい





 だが簡単にはロンメルの元へすら、たどり着けないようである。



 暗闇の中からガシャガシャという鎧の音と共に、数人の人影が近づいてきた。



「止まれ!そこの2人」



 王族の館… 流石にセキュリティは完備されているようだ。

 門に近づくとすぐさま近くの門兵が、数人で囲んで来たのである。



「こんな深夜に何をしに来た?」

「ロンメル様にお会いしたいのですが…」



「深夜にか? お前達は何者だ」




 普通に考えればマズイ状況だ

 このままだとロンメルに会うどころか、正面から館に入る事ができない。


 まぁ…空間魔法で館内に侵入してからしらみつぶしにロンメルの部屋を探すという方法もあるが、時間がかかるのだ。



 心配そうな顔をしているフォーレンが、ゴールドの耳に向かって囁く。



「ゴールド。魔法で眠らせようか?」

「大丈夫です、この人達にはロンメルさんの所まで案内してもらわなければなりませんから」



 フォーレンの申し出は有難い。

 しかし、その必要は無いのである。



 こういう時にこそ、おれのスキルが活きるのだから




「さっきから何をボソボソと話している」

「すみません、用意していたのですよ。コレをね」



 〈ガシャッ〉

 ゴールドが見せた掌には、金貨が入っていた。

 これだけでも10万Gはくだらないであろう。



「貴様、我らを買収するつもりか!」

「ふっ、失礼しました。この額では不満足というわけですね」



 〈ガラガラガラ〉

 何も無い空中から金貨がザクザクと降りてくる。

 今度は1000万G程だ。




「これで、十分ですか?」

「……… 分かった。さっさと行け、ロンメル様は最上階の右奥だ」



 門兵の先頭に立っていた者が、館への道を開ける。

 賢い選択だ。


 門兵の中に愚か者も混じっているようだが…




「いいんですか、隊長!不審者を通して」

「…… 何を言っている? おれ達が今宵見たモノは目の前にある金貨のみ、それだけだ」



「…… は、はい…」




 ふっ、それで良いのだ。

 下っ端よ、世の渡り方というものを覚えておくのだぞ。



 ――おれが前世で出来なかった事だ



 過去を少し思い出したゴールドは、柔かな表情で軽く一礼をした。



「ありがとう。門兵さん達」


 顔をゆっくり上げると真っ直ぐに館の方向を見る。

 館に向かって、2人は再び歩き出すのだ。





 ロンメルと交渉するため




 依頼人の母親を救うために







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