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16 最後の希望

更新後にまた活動報告の方もあげるので宜しかったらみてください!

 


 ジェットコースターのような1日が落ち着く。



 先程まで泣いていたローリエはまだ疲れているようで、ゴールドの手を握ったままぐっすりと寝ていた。




 その手をほどいて…



「よいしょっと」




 依頼人の女児を隣に寝かせるとまるで姉妹のようだ。

 じっくりと見とれてしまう。




 実はゴールド、前世では年の離れた妹がいたのだ。


 あいつには悪い事したな、実の兄が都心の公園で餓死って…

 他人に言えないよなあ。




「いつまで2人を見ているの… ニヤニヤしてると気持ち悪いわよ」

「なっ、ただ見ていただけですから!」



 フォーレンには気持ち悪い光景に見えたのだろう。

 腕を組んで冷たい視線でこちらを向いている。



 確かに、寝ている2人の女性を眺めてニヤニヤしているのはおかしい。

 犯罪者みたいだ。



「ぶっ!ぷははははは」

「おいおいどうしたんだ?」



「疲れてるんですかね?自分で思った事で笑ってしまいました」

「疲れてるな… だが、時間がない」



「そうですね。まずはこの2人を安全な場所に移動しましょう」

「安全な場所か… 近くの宿ももう閉まってるだろうし、どうした事か」



「フォーレンさん。あるじゃないですか、とびきり安全な場所が」

「え?…」



 ゴールドがじっとフォーレンの目を見つめている。



 まさか、こいつ…

 私は単なる従業員だってのに

 でも、しょうがないか。



「分かったわ、じゃあ移動するわよ」

「はい!ありがとうございます」



「テレポーテーション!」



 4人を黒い霧が包み込む。

 彼らがたどり着いた場所は、



 ―――フォーレンの自宅だった



 前に一度来た事はあるが、やはり隠れ家みたいな所だ。




「で、2人をどこに寝かせるつもりだ?」

「あるじゃないですか。そこに」



「は!?」



 ゴールドが指指すそこにはフォーレンの大きなベッドがある。

 小柄な女性2人なら十分入るほどの大きさだ。



 しかし、他人を自分のベッドに寝かせたくないと言わんばかりにムスッとした表情をこちらに向けている。



 仕方ない…



「今回の依頼が終われば特別ボーナス1000万G支払いますから」

「…しょ、しょうがないなぁ」



 ふっ… やはりこの女、金に弱い。



「あ、でも2人をベッドに寝かせるのはゴールドに任せた~。終わったら奥のテーブルに来てくれ、珈琲でも淹れとくわ」

「え!おれ1人で2人動かすのか…」



 いや、場所を借りさせて貰っているんだ。

 これくらいやらないとな



 ただ女児は良いとしてローリエは体重的に大丈夫なのだろうか。

 おれは今、15歳程度の筋力しかないのだ。



 仰向けに寝ている人を持ち上げるには、お姫様抱っこじゃないと無理だよな。

 持てなかったらフォーレンさんにお願いしよう。



 だが、この心配は杞憂に終わる。




「よいしょっと」




 軽々と成人女性を持ち上げることに成功したのだ。



 あれ?…

 ものすごい軽い。

 女児と大差ないんじゃ



 あまりの軽さに衝撃を受けて視線を下に向けた。



 よく見ると身体中の骨が浮かび上がっている。

 ロクな食事を取っていなかったのだろう。



「目が覚めたら、美味しい食べ物をいっぱい用意するからな」

「んん…」



 この優しい囁きに対して、熟睡中のローリエは気持ちよさそうにゴールドの胸へ頭を擦り付けていた。






 〈コポコポコポ〉






「ゴールド。珈琲が出来たわよ、早くいらっしゃい」




 2人をベッドに寝かせ終えるとちょうど、珈琲の匂いとともにフォーレンの声がする。



 良い匂いだ。

 珈琲独特の豆を焦がした香ばしい匂い



 2人でこれから母親の奪還作戦を練るのに、気分を落ち着かせる効果がある。



「はい!行きます」

「先に座ってて」



 〈ガタッ〉

 正方形の小さなテーブルに背もたれのない簡易的なイス。



 全て木で出来ている。こちらも良い香りだ。


 それに古くから使っているのだろうか、黒いシミのようなモノもあるがアンティーク感があって味わいがある。




 雰囲気のある家具に目を向けていると、フォーレンが2人分の珈琲をカップに注いで持ってきた。



 〈コトッコトッ〉

 2人分の珈琲をそれぞれの前に置くと、お互いに向き合うように座る。



 最初は何も言わず、香ばしい香りに誘われて一口飲んだ。

 その余韻も束の間、フォーレンが話を切り出す。



「さっき言ってた、『合法的に助ける』ってどういう事なの?」



「裁判ですよ… 裁判を行います」

「裁判?…なによそれ」



 そう。

 おれが考えていたのは裁判。

 つまり、おれたちが裁判官と直接関われる・影響できる裁判という制度だ。



 ――この世界には裁判という制度自体がない



 法律というものは存在するが、全て王家の法律審議官が独自に判断するのである。

 しかも公平を期するために判決直前までは誰が捜査をしているのかすらわからない。




 この形式でバッカスと奴隷の所有権を争うと、証拠不足のおれ達は必ず負けるのだ。



 だが、この都市を統括する王族に、金貨を大量に渡せば裁判制度を取り入れてくれるかもしれない。




 そうなったら、次におれらがする事は…


「そう。おれらが母親を救うためにする事は」




 ―――法律審議官を買収することだ












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