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12 信念

 


 誰しも究極の2択を迫られた経験があるだろう。



 こちらを立てればあちらが立たず

 よく言われる事だ。



 片方に挑んだり・解決しようとしたりすると、もう片方が挫折したり・失敗したりする。



 ゴールドも今、その立場にいるのだ。



 勿論、目の前にいるボロボロの女性奴隷を助けたい気持ちでいっぱいである。


 だが、



「ママを返して…」




 横で泣きながら母親の事を想っている女児を見ると、ボロボロの女性奴隷に犠牲になってもらう事も致し方ないかと思えてくる。




 だが、確実に目の前の女は死ぬだろう。



 現状でも殴打によって皮膚が青く、食事も十分に取らされていないのだろう骨が浮かび上がっている。




「どうするんだゴールド? バッカスはあまり時を待ってはくれないぞ」

「分かってます。でも、おれはどうしたら…」




 2人が苦悶の表情を浮かべながら話し合っていると、なんとボロボロの女性奴隷から話しかけてきた。



「新しい、おも…ちゃ、ってあなた達のしり、あい?」


 喋り方がおかしい。

 歯が何本か折れているのは初見で分かったが、口内も切られているようだ。


 明るく照らすフォーレンの魔法に、口元の血が反射して口内が真っ赤である。



「そうなんです。実はあの子の母親がオークションで、バッカスに目をつけられて」



 渋い顔をしながら話すゴールドを見て一度、女は顔を地面の方へと向けた。





 なぜ、彼女はそんな事を一々聞いたのだろうか?

 まさか自分が母親代わりになるから助けてくれとでも言うつもりなのだろうか?




 ゴールドは、軽蔑の目を女に向ける。




 しかし、すぐこの行動を後悔する事になるとは思いもしないだろう。




 女性奴隷は俯いた後に、泣きじゃくる女の子を無言で見ていた。



「……」

「どうしたんだ?」



「わ、たし… 戻って、じ、かんかせ、ぐ」



 ゴールドとフォーレンは、目を大きく開けて驚く。

 自分から死ににいくと言っているようなものだ。



 しかも、ただ死ぬだけではなく、恐らく屈辱的な死に方になるであろう。



「なんで? 自分から…」

「わ、た…しもママ、がす、きだっ、た…から」



 奴隷女性は、こちらに一度微笑みかけるとゆっくりと腕を使って垂れ幕の外へ目指す。



 バッカスの元だ。



 それを見るフォーレンが優しく肩を叩いてくる。



「これで良かったんだ。帰って依頼人の母親の救出作戦を練ろう」

「………」



「どうした?ゴールド」



 おれは我慢できなかったのだ。

 善人である若き女性が、死地へ向かうことなど


 決意を決めたゴールドは、大きく力のある声を垂れ幕の外に向かって吠えた。



「バッカス!3000万Gを支払おう。この奴隷はお前に渡さない」










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