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第三話・担がれる運命〜そんな運命いやなこった〜


「西校舎ってどこだ!どこだぁ!」


現在私は西校舎を探して校内をうろついている。


西に行けば見つかるはずなのに、西に行くと行き止まりになる。


誰だこの学校をこんなに大きくした奴は。



ちなみに、私が西だと思っている方向が西ではなく南だということを、私は知らない。




「ドンッッッッ!!」


突然、私は誰かにぶつかった。


「痛ぁ・・・・・!ちょっと、何すんのよ!気をつけなさいよ!」


「そっちこそ気をつけろよな!あれ、お前・・・・・・九組の森野若葉か?」


「何で私の名前を知っている!!まさか変態!?ストーカー!?逃げなくちゃ!」


「マテヤコラこの早とちりしすぎの植物女」


本気マジで逃げようとした私の制服のすそを“そいつ”は引っ張って引き止めた。


「誰が植物女じゃい」


「だって名前が森野若葉だろ?植物的じゃん」


「なぜ私の名前を知っている」


「名札に書いてあるぞ。きちんと“霜山大学付属高校 一年九組 森野若葉”って」


「あ、そーだった」


私の制服の左胸についているのは、さっき校門で配られた藍色の名札。それに、クラス発表掲示板の前で真由から借りた緑色のカラーペンでしっかり名前が書いてある。だからこの人は私の名前が分かったんだ。


「ご覧のとおり、私は九組の森野若葉です。今から自分のクラスに行くところ。ここが西校舎でいいのよね?」


そういうと、今度は“そいつ”がきょとんとした。


「ここは、南校舎。西校舎はあっち」


「ええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!」


「マジですがなにか?」


「じゃあ、てめーはここが南校舎だって分かってるのに九組の私を見てほくそ笑んでる奴ってことかぁぁぁぁぁぁぁぁ?」


「そういうこと。後、俺は浅野拓真あさのたくま。タクって呼んでいいからな。ちなみに俺も森野おまえと同じ九組だ。よろしくな、森野。」


「はあああああああああああああああ!?」



ちょっと、頭の中の整理タイム。

えっと、こいつは浅野拓真で、わたしと同じ九組。なぜか私が森野って呼ばれてて、向こうはタクって呼べって言ってくる・・・・・・・!?!?!?!?


「ちょっと、じょうだんじゃないわよ!!健全な女子高生の私が、そう簡単に男をあだ名で呼べるわけ無いでしょ!?」


「健全な女子高生とかそんなんじゃなくて実は恥ずかしいんじゃないの?」


なんか浅野拓真―――めんどいから浅野でいーや――――が小さい声でつぶやいたけど聞こえないから無視した。


「ところで浅野!あんたそろそろ教室行かなくていいの?」


「お前だってそうだろ?もういいや、森野相当な方向音痴っぽいから、俺が連れてってやる。感謝しろ!」


「えっ、ちょっ、ちょっと・・・・きゃあ!!」


なんと、浅野は私の体を軽々と持ち上げると、私の体を担いだ。


「なにすんの!!」


「え?走るの校則違反だから持ち上げてあるいてんの。時間短縮さ」


いや、その前にこの格好をやめてほしい。


「こんな格好しなくてもいいじゃないの!!降ろしてよ!!」


「いいじゃんちょっとぐらい。さ、行くぞ!!」


ちょっとの抵抗を試みて、じたばたしてみる。


「動くと落っことすぞ」


「むう」


ちょっとの抵抗、失敗。


結局、私は浅野に担がれながら、教室まで連れて行かれたのだった。

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