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正と異のカリキュラム。

弘人のネタのおでましおでまし。

「ラーメンので、で、出前で、ら、ライスだ、だけ、頼ん頼ん、だら。どう、なる、なるんでしょうね。ね。笑顔とか、かけええええ、ま、ま、ま、して、こ、神戸のおしゃ、おしゃれ、な、街にい、いる、と、解きます。その、その、心は、は、どど、ちらも、スマイル、須磨、いる、で、でしょう」

「笑えないよ。弘人、お、お前、病気のほう、大丈夫なのか。色々、あったらしいな。仁大会で」

「ぼ、僕、し、知りません。や、やっぱり、し、知ってます」

「ど、どっちなんだよ。はっきりしろ」

「イン院長先生をな、殴りました」

すると、弘人は、ズボンのポケットからナイフを取り出した。もう、いいって。

「ゆ、指、詰めます。すすす。それ、それが詫びで、です」

「あ、そう」

「誰もだ、だ、誰も、ぼ、僕をとめ、止めないんですね」

「そうだよ。指切りゲンマン、理解者募集が嘘吐いた。けじめつけろ」

弘人は、左の小指を詰めた。流れ出す血、何故だかご機嫌の弘人。美由紀は看護師。血を毎日、見てるんだよな。弘人は勝ち誇った表情で、小指を俺に見せた。

「じゃん、じゃ、じゃーーーーーーーーーーーーーーん。私はヤクザ、や、だ、だと、い、いうことで今日はきょ、は大阪かかから、ベンツににの乗ってやってまいりま、まあ、ました。芸能界一のお、お、お金持ち、しゅ出身、ひ、弘人でえええええええす」

「お前、帰れ。もう、理解できない。人をなめるのもいい加減にしろ」

「す、す、すみません。ぼ、ぼ、僕。も、もう、わ、悪いことし、しません。ち、誓ったじゃ、ないですか。一緒にま、漫才やるって」

「もういいよ。鈴木さん」

鈴木さんも煙たい顔をして、苦笑いをして、俺に言った。どないしょう状態。

「京介。今日は、帰っていいぞ。お前、このままだと気が狂っちまうぞ。あとは、俺がやっとくわ」

「はい。帰ります。すみませんでした」

「美由紀ちゃんによろしくな」

「はい」

弘人は一人、大爆笑。独り、一人、ひとり。理解者募集。俺は、追っかけてくる弘人から逃げるようにバス停へと早歩き。

「ま、まってく、く、くだ、くだ、さい」

「弘人、お前、もういい、って言っただろう」

大声でやりあう俺と弘人。要件は同じ。僕をわかってください。僕をわかってください。僕を理解してください。

バスが来た。俺は、弘人を殴り、バスに乗った。


部屋へと帰る。美由紀が、みそ汁を作っていた。もう、泣きたい。美由紀に甘えたい。もう、限界。

「京介、早いじゃん。どうした。また、例の奴」

「うん」

「嫌なこと、忘れて、ご飯にしよう」

「そうだな」

「京介さ、昨日、ミーティングが、長すぎてさ。疲れてて、ごめんね。私ね、婦長になることになったんだ。お給料、今の倍、だって」

「そ、そうか。そりゃ、疲れるわな。俺もなぁ」

「漫才、どうするの」

「どうしたらいいと思う。美由紀は」

「少し、休んで、考えなよ。弘人君に、本気で、入院してもらおうか」

「わかった。そうしよう。あいつも、ある意味、限界だからな」

俺達、ヤクザじゃないよ。夢見る漫才師。男二人。俺は、美由紀と缶ビールを飲み干す。考えることがある。この世界って、どこまでが正でどこからが異なのか。小学生の頃から、親父とよく、話してた。親父は、俺の考え過ぎた。といつも、笑っていた。正と異か。休もうか。ぐったりと。

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