大苦戦。
弘人。お前。しゃれにならへんで。俺、加藤京介は、痛いところをつけるのか。
『きょ、京介さん。ぼ、僕、パクリの、ま、漫才師に、な、なりたくないんです』
常に電話。毎日、弘人から電話。俺は、HANABIで本格的に働きだした。パクリってなんじゃ。俺達、朝焼け番長です。美由紀は、最近、疲れてる。アパートにて、わかばを吸う、貧乏人、俺。
また、メールかよ。弘人。
『京介さん。明日、HANABIでネタ合わせしましょう。鈴木さんに、僕は変わりました。強くなりました。とお伝えください。弘人』
俺、コーヒーカップは割っちゃう。鈴木さんに叱られる。でも、鈴木さんは常に、「頑張れよ」と言ってくれる。俺って、ええかっこしい。コンビニでワインを買うと、顔なじみの店員さんに言われた。
「最近、やつれてないですか」
「確かに」
「ワイン、飲んで、頑張ってください。今日も、わかばでいいですか」
「勿論」
アパートへとぼとぼと歩く。腹が減った。美由紀にアマエタイが今日は、チキンラーメンを自ら、作って食べた。美味く出来たな。俺って、いったい、ナルシスト。
「京介、今日はSEXしよう」
美由紀が玄関を開けて、いきなり、言った。何かあったのか。
「私さ、本当に看護婦、やってていいのかな」
「えっ、何かあったんの」
「例の奴」
「弘人かよ。また」
「うん。仁大会に来てくれたんだ。そしたら、院長を、いきなり、殴っちゃたの」
「まじで」
「うん。まじで」
「いいよ。俺から言っとくよ。あれ、理解不可能」
「でも」
「美由紀さ、俺、美由紀と結婚したいし、子供も欲しいよ。美由紀は美由紀のままでいいよ」
「ありがとう。京介」
叱った。弘人を。HANABI。自分勝手と理解者募集は、まったく、別物。弘人が言った。
「きょ、京介さん、す、すみません、で、でした。今、地球が絶滅の危機に、さ、さ、さらされています。そ、それは、人間たちが、どう、どう、どおおおおおおおおおおおおおお動物たちの住む、森、森、も、森や海、う、海を、か、開発し、したから、そおおおおおおおおお、そういう、け、け、結果に、な、なったと、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお、思うんです。それ、それ、それ、じゃ、いけない、いいいい、と、お、思うんです。ど、動物と、に、人間が、た、助け合って生きて。生きていかなきゃと、お、思うんででええええす」
「お、お前さ、漫才しか、興味ないの」
「は、は、はい。ぞ、俗に言う、す、ストイック、で、です」
そうすると、鈴木さんの出番。鈴木さんは、またまた、あきれて、大爆笑。
「京介よ」
「は、はい」
「俺の意見だよ。あくまでも、俺の意見」
「は、はい」
「お前ら、漫才でやっていけると思う。でもなぁ」
「鈴木さん、はっきり、言ってください」
と、俺は苦笑いで言った。
「勉強しなおせ」
弘人は、また、鼻くそをほじりながら、言うのであった。
「ぼ、僕、僕達、あ、朝焼け番長、が、ガンバッテ、が、学習し、します。す。こおおおお、れです、鈴木さん、な、納得、り、理解してして、くれくれましたか」
「わかった。弘人」
「は、はい。ぼ、僕に、な、何か」
「頑張れよ。ピンチの後にチャンスありだ。世の中、そうできてるんだよ」
やれやれ、俺達、朝焼け番長の苦戦は続くと思われる。