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おやすみ



3連休の後の4連休。つまり、一週間働いていない。もはや、これで生きていけるのが不審議なくらい働いていない。ひたすら家の中で、ネタづくり。もちろん、寿司のネタではない。いつになったらウケるかもわからないお笑いのネタだ。


「……ポウッ!ドュットゥルルル♪ドュットゥルルル♪」


こんなにも暇だと、思わずマイケル・ジャクソンの『スリラー』も踊ってしまうものだ。


「ふぅ……テレビ見よ……」


そう一人で話しながら電源をつけると今日もお天気お姉さんが降水率0パーセントの笑顔を浮かべている。


「あなたの笑顔にフォーリラブ!フォーリラブ!フォーリラブ……」


また一つ……くだらぬギャグができてしまった。そう思いながらも、宝クジを買うような気持ちでネタ帳に書き込む。


「あーあ!テイラースィフトが俺の妹だったらな!」


・・・


……それはそれで、まあまあ複雑な家系図になりそうだ。妹というポジションはちょっと近すぎる。アレくらいの大スターならば、またいとこくらいがちょうどいい。


「またいとこ……またいとこ……たまとこい……ことたまい……ことたまい!」


今、いいこと……思い浮かんだかも!


・・・


気のせいだった。


ネタづくりはこんなことの繰り返しだ。日常にあるフレーズや現象に対して、浮かんだ言葉を拾い上げていく。しかし、かれこれ一週間以上の軟禁状態で精神が非常に不安定なっている。


「……ふぅ。ビニコンでシースーでも買うか」


テレビ人らしく業界用語をつぶやきながら、ドアを開けてマンションのの階段を降りる。


「はぁ……暇だ」


愛知県から上京してきて15年。この下北沢の景色も見慣れたものだ。最寄りのコンビニの店員のおばあちゃんとも顔見知りだ。もはや、コンビネーションともいえるような会計と温めを織りなす。


「はぁ……」


こんな生活がずっと続くわけないと15年前は思っていた。しかし、実際にはそれに慣れて、それでも食ってはいける自分にも慣れてしまっている。そんなことじゃいけないのだが。


「お待たせしましたー。あっ、最近記者がたくさん来るんだけど新谷ちゃんなにかやった?」


商品を手渡しながら、おばあちゃんがそう話す。


「いやそんなんやるわけないでしょう」


「もしかして、芸能人で恋人なんか?」


「ははっ……そんなの夢のまた夢です。あるわけないですよ」


最近、俺が関わっているのはあのポンコツ娘どもしかいないし。仮に、あんなやつらを好きになったとしたら、俺は即座に自害して果てる。


「本当に?」


「当たり前じゃないですか」


「なーんだ、ばあちゃんお小遣い貰いそこなっちゃった」


「す、スクープとして売る気だったんですか!?」


ば、ババア!


しかし、コンビニのドアを開きながら、先ほどの言葉が脳裏に残る。




















なんで……記者が?


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― 新着の感想 ―
[一言] >「あーあ!テイラースィフトが俺の妹だったらな!」 これは結構面白いんじゃないですかね?ww プロの芸人も大変ですよね。 次々に新しいネタを考えなきゃいけないんですから。 小説家も似たような…
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