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頑張れ木葉ちゃん


「はあぁ……」


 なんか……頭を抱えてしまう。実際には嘘だ。予定なんてなくて、いつも通り部屋でグダグダしているだけだ。


「木葉……あんた、あんな超優良物件の誘いをなんで断るのよ!」


 同僚を『物件』呼ばわりする大変失礼な同僚、槙村美希。突っ伏してる私をブンブンと揺らす。


「超……優良物件ねぇ」


「東大卒で人当たりもいいし、仕事もできる。私らの憧れを、こうも簡単にフッてくれちゃって……あんた、芸能人のイケメン俳優でも狙ってるわけ!?」


「そんな訳ないじゃん」


「だったら! 彼氏いないんでしょ!? 可愛いのにそのバーサーカーっぷりで『年齢=彼氏なし』なんでしょ!?」


「おい……二言くらい多いんじゃない?」


「三言でも、四言でも言うよ! 私、悔しいよ。あなた、私なんかよりずっといい子なのに。そんな私に超イケメンで高身長の彼氏がいて、あなたにいないなんて」


「ああそうね、あんたぶん殴られたいわけね」


 そんな脅しにも屈せず、美希は自慢気に携帯で写真を見せてくる。親友のこうした間合いはウザくもあるが、本心を包み隠さずに見せられて嬉しくもあるから不思議なものだ。


 そんな時、一件の仕事メールが。明日、新谷さんに取材を申し入れたいというフリーライターだ。なになに……『お笑い芸人の転落。なぜ、新谷大二郎はR-1回戦で敗退したのか』か。一度上がって落ちた芸人には、こういった依頼は後を絶たない。まるでハイエナかのように、芸人のプライドを根こそぎ奪っていくのだ。


 そんな彼らに対しての答えは一つ……『喜んでお受けいたします』。落ち目の芸人にプライドなんて必要ない。


「……ふーん。明後日にするんだ」


「ちょっと、美希。勝手に人のメール見ないでよ」


「明日って新谷さん予定あったっけ?」


「……ええっと、なかったっけ?」


「フフ、なーんだ。そういうことか」


「……なにが?」


「フフフフ……殺される前に退散しまーす」


 小悪魔のような微笑みを見せながら、美希は逃げていった。


「はぁ……まったく」


 なにを言っているんだ。単にスケジュールの勘違いをしていただけで、別に私にはなんの意図もーー


          ♪♪♪


 その時、新谷さんから着信が。


「……」


 なぜだろう?


 なぜか、胸の奥がギューっとなる。


「……もしもし」


「あっ、木葉?」


「は、はい」


「明日の俺の仕事は?」


「えっ……と、特にないです」


「……そうか」


「あの……それだけですか?」


「ん?」


「いや、いつもはメールだから」


「……ああ、ひとつだけ」


 新谷さんの言葉を聞いたとき、またドキンと胸が高鳴る。


「あの……」


「は、はい」

















「オッチョムソンマイットーン兄弟という芸名で売り出すのはどうかな?」






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― 新着の感想 ―
[良い点] 新谷さんのセンスwww ていうか、木葉ちゃん……???? ええええええーっっっ!! そぉだったのぉぉぉぉぉぉ!!! かなり驚きました (∩´∀`)∩
[一言] 長いわ!!ww(芸名) 新谷さんのニブチン!!w はあー、これは先が気になるううう!!!!
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