表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/69

第20話 隠し取り


 梨元プロデューサーのオーラに圧倒されて、アイドルたちの楽屋盗撮を敢行することになった。彼女たちのマネージャーは断固OK。スタッフもノリノリ。すなわち、汚い大人たちの汚れ収録の幕が開いた。


「さあ、始まりました。凪坂ってナギナギー! 司会は新谷がお送りします。そして、彼女たちが……誰もいないーーーーーーーーー!?」


         ・・・


 いや、まあいてもいなくても、いつも通りの静寂だけども。


「ご心配なさらぬよう皆さん! 今日は、な、な、なんと! 凪坂ちゃんたちの楽屋に隠しカメラを仕込んで観察しようの会ーーーーーーーーーー!?」


 ……今更だけど、一人でMCって、キツくないか?


「さあ、早速隠しカメラを覗いてみましょう!」


 父さん、母さん、ごめんなさい。息子は、少女たちの生態を覗き見する男になりました。


「杉田玄白ー! 杉田玄白ー!」


「もぉ……珠子やーめーてーよー」


「杉田玄白! 解体新書見せてください!」


「やめてったらー」


 け、結構ハマってくれてるじゃないか。スタジオであれだけスベったのに。


「玄白……玄白……玄白」


「れ、連呼しないでよー」


「ゲーンパク、ゲーンパクッ、ゲーンパクッ」


 どうでもいいけどしつこいな尾崎珠子。


「……ふぇえええええ」


 ほら、泣いちゃったじゃないか。


「ご、ごめん。ちょっとやり過ぎちゃった」


「……ヒック……ヒック……」


                ・・・


「ご、ごめんなさい」


「……」


 ど、どーすんだよこの空気。杉田玄白でイジった俺が悪者じゃねーか。


「はい、みなさん収録でーす」


「「「はーい!」」」


 ……俺じゃないと、返事がいい。意外に、嫌な事実を発見してしまった。


 ガチャ……


 おっと……石川さゆり……どうしたんだろう……忘れ物かな。


……いや、これは違う。明らかに、杉田玄白ーーもとい、杉田姫花の机を見つめてい る。これは、まさか……嫌がらせ?


「……」


 黙って、視線だけを動かしている……誰もいないことを確認しようとしているのか……もしかしたら、こいつはとんでもない性悪娘なんじゃないだろうか。


 っと……カレンダーをとった……まさか……こいつ隠す気じゃ……


 !?


 こ、こいつ……カレンダーの月をシャッフルしてやがる……なんて、地味な嫌がらせ。なんたる、しょうもない、嫌がらせ。


「フフフ……」


 ひとしきり満足気な表情を浮かべて、石川は収録に向かっていった。


 ……なんなんだ。何がしたかったんだ、あいつは。


                ・・・


 ガチャ。


 っと。石川が戻ってきた。こいつ……今度はなにしにーー


 !?


 カレンダーを元どおりに戻し始めたー! なんてチキン! なんたるチキンハート! しかも、7月8月10月9月の並びにして、もはや嫌がらせかもわからないぐらいのものになってるー!


「……フフフ」


 石川は、満足気に、走って行った。


















 こんなん、取れ高、ゼロじゃねーか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ここに来て石川ちゃんの株が急上昇!!www チキンハートなの萌え!!!ww
[良い点] >こんなん、取れ高、ゼロじゃねーか。 いやいや大丈夫です! 関り合いになりたくない感、めっちゃでてますよー(笑) 元気だして、新谷さん!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ