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ドッキリ(2)


「「「……」」」


 う、嘘だろお前らは……これでも、声一つ出さないのか……俺が、決死の覚悟で万歳特攻ばんざいアタック決めても……お前らの心には、なんのさざ波も立たないのか……お前らは冷血人間なのか……お前らは鉄人28号なのか……お前らは綾波レーー


「「「きゃあああああああああああああああああああああああ!」」」


 あっ、時間差ね。


「うおおおおおおおおおおおおっ、わははははははははははは」


 こうなれば、解き放たれた野獣。恨むなら、この収録を許可した君たちのマネージャーと、企画した梨元さんと、実施した運営スタッフと、とにかく俺が以外を恨め。


「「「きゃあああああああああああああああああああああ!」」」


 ……ふっ。


 君たちは、知っているかい?


「ふふふふはははははははははははは」


「「「きゃあああああ、きゃああああああ、きゃああああ」」」


 俺が、心の中で、泣いていることを。


「あっ、これ……食べかけの弁当……イッタダーキマース!」


「「「きゃああああああああ、気持ち悪いーー」」」


 俺が、今、心ないナイフで刺されていることを。


「うん……美味い美味い。わははははははははは」


「「「きゃああああああああああああああああ、変態!」」」


 いつか、俺に、恋人ができて……


「あー! リップクリーム発! 誰のかなー?」


「いやああああああああああ、それ私の!」


 もし俺なんかと結婚してくれる人ができて……


「ほぅ! これは琴音ヒッチハイカーのか……ふふふ」


 娘ができて……


「な、な、なにをする気ですか!? まさか……」


 ……彼女たちくらいの歳になって……


「ふふふふふ……そのまさかだよ……」


 パクッ。


 いつかこの映像を見たときに……


「いやあああああああああああああああああああ、いやあああああああああああああああああああああああああああっ!」


 グレずに育ってくれるだろうか……


「うーむ、美味ー! うつくしいあじと書きまして……美味ー!」


 『お父さんの仕事って凄いね』って……


「きゃああああああああああ、いやぁああああああああああ、気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い」


 そんな風に笑顔で言ってくれるだろうか……


「あー、こーのーカ・バーンは……だーれーだー!?」


 まだ見ぬ同じ年頃の思春期の娘よ……


「そ、それは私の……」


 どうか、理解して欲しい……


「ほぅ……柿谷(うんばば娘のか)……」


 これが……


「な、なにをする気ですか!? いったい、なにを……」


 お父さんの……


「ダイビーーーーーーーーーーーーーング!」


 仕事だーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!」


「「「いやああああああああああああああああああっ!」」」


 泣き叫ぶアイドルたち。


 気持ち悪がる公式妹たち。


 でも、俺の方が泣きたいことを、知っているかい?


 未来の俺の娘の方が、きっと、気持ち悪かろう。


 こうして。


 誰もが悲しい想いをした。


 収録は、終了した。


             *


 楽屋に帰って、しばらく、佇んでいた。


「新谷さん、お疲れ様でーす。よかったですよー」


「木葉……今、俺に話しかけるな」


 俺は、今、芸人の業について考えている。


「梨元プロデューサーが来てますよ」


「……」


 トントントン。


「入るよ、新谷君」


「……」


「見てたよ……君の収録を」


「……見てくださいましたか、俺の生きざまーー「ちょっとやりすぎじゃないかい」


          ・・・
















 テメーのメガネバッキバキにしてやろーかーーーーーーーー!?

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― 新着の感想 ―
[一言] 新谷さん可哀想過ぎるwwwwww(もっと見たい)
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