2件目 このよろず屋で雇われたい物好きが来た件 4/4
最寄り駅の周辺まで自転車で走ってきた。
後ろに座っている恒丸さんは無言のまま、手をずっと震わせている。
恐らく今までに怖い思いを色々してきたのだろう。
今は何かしらの話題を出して…緊張をほぐしておいた方がいいかもしれん……。
「……なぁ、恒丸さん。今の境遇だけど…お嬢と結構似てるんだぜ?」
「えっ!?それは…どういう事ですか?」
俺が発した”自分と境遇が似ている”という言葉。
その言葉に反応したのか、背中の方から返答があった。
「ん?詳しい状況は知らないが、お嬢は家の事情でかなり借金を抱えているんだ。それなのに普段から弱音一つ吐かねぇ。お嬢はあまり感情を表に出さないし相談しない。だから最初は心の冷めた人…いや、機械か何かかと思うこともあった――」
採用されてから2か月くらいはそう思っていた。
あまり自分の話をしないし、笑顔もほとんど見せない。
ただ、苦しそうに過ごしているお嬢の姿。そんな姿が何度か俺の目に映っていた。
「―――だけどな…ついこの前、お嬢の気持ちを少しだけ聞く事ができたんだ。2か月ちょっと務めてやっとな?でもお前は働き始めてまだ1週間程度なのに…あのお嬢に怒られた。あんなに感情的で真剣な表情のお嬢にだ。しかも…どさくさだがお前の名前も呼ばれてたな。あれはかなり好かれてる」
「……ッ!」
少しは反応があったが…結局俺の言葉は届いたのだろうか?
いや、まぁいいか。……もう指定された場所に到着したからな。
―――キキッ―――
俺は自転車のブレーキをかけ、受け渡し場所の近くに止まる。
そして指定された場所まで恒丸さんと歩いて行った。
腕時計の針を見ると、指定時刻丁度。
とりあえずレコーダーの電源を入れておく。
――カチッ
「…よし。あとは―――」
「…時間通りに来たか。恒丸のお嬢ちゃん」
「――ッ!」
突然、野太い声が聞こえてきた。
少し離れた裏道の影―――中年ぐらいの男が歩いてくる。
どう見てもカタギではなさそうな風貌の中年の男。
そして中年の男の後ろには、付き従うように一人の若い男が控えていた。
「さて、お嬢ちゃん。さっそく今月の返済分を渡してもらおうか」
「は、はい!……どうぞ!」
恒丸さんは少しだけ震える手をお嬢の鞄に突っ込む。
そして中から封筒を取り出し、中年の男に手渡した。
中年の男は封筒を受け取ると同時に、違和感を覚えるような表情をした。
眉間にしわを寄せたまま封筒の入口を開け、中のお金を確認する。
恒丸さん曰く、毎月の支払いは5~6万円程度だったらしい。
だが今回渡した封筒には返済額の全額が入っている。
封筒には異様な厚みがある為、違和感は当然だ。
「おぉッ!?なんだよこの金額は?」
「今日で全額を返済します!」
中年の男は受け取った封筒からお札を取り出した。
そしてその場で数え始める。
「チッ…確かに全額だ。どこで金を集めたか知らねぇが…」
「…ッ…では…もう終わりで…いいでしょうか?」
「う~ん…でもなぁ。お嬢ちゃんのギフトはかなり珍しくてよぉ。切羽詰まるとお金が集まってくるってんだから……是非とも俺らの組にご招待したいわけだが…」
「アニキ!別に構う必要はねぇ!この女を強引に連れていけば良いじゃねぇか!」
中年の男が歯切れの悪そうな言葉を並べていると、その様子を見ていた若い男が前に出て口を開いた。 恒丸さんの前へと詰め寄り、強引に手を伸ばしてくる。
「おいッ!止めろッ!」
俺は恒丸さんに伸ばされたその手を遮るように体を間に入れる。
そして若い男の前に立ち、その細い目を睨み返した。
「何だ?何のつもりだよ」
「俺は今日こいつのボディガードしてんだよ。少しでも危害を加えてみろ…ただじゃ置かねぇぞ」
「んだとぉ?…オラッ」
――ガスッ
「ぐぅッ―――っぃてぇな!」
「や、やめてくださいッ!!」
「何だよ嬢ちゃん。そのギフトでもっと金を集めてくれる気になったのか?また先月みたいに脅してやろうか?」
「もう絶対に集めません!もう絶対に願いません!」
「なら集めるまで……こいつを殴ってみるとするかッ!」
――ブンッ
――バシッ
「――ッ!?」
若い男から放たれた2発目の拳。
その拳が俺の顔面に届く直前、右手で拳を掴んで止める。
殴り合いになれば何をされるか分かったものではない。
だがこのままやられっぱなしになるつもりも毛頭ない。
「……なんだ?逆らうつもりか?」
「……ただ止めただけだが?」
俺は目で威圧しながら、握っている拳に少しずつ力を込めていく。
自分から手を出すことは決してしない。相手の反応を見ながら出方を伺う。
「ぐぅッ……この―――」
「オイッ!!ヤメねぇかッ!!」
「ッ!!?」
多少荒事になるかもしれない―――そう覚悟を決めた瞬間、中年ぐらいの男が声をあげる。
ドスのきいた声。若い男がその声に反応して制止した。
「あ、アニキ?どうして止め――ッ!すッすいやせん!」
若い男は困惑した表情で中年の男の方を向き、抗議しようとした。
だがすぐに睨みを利かせたことにより、頭を垂れて後ろに下がっていく。
「あ゛ぁ…悪かったな。ウチの若い衆はちょっと気が短くてよ。こっちとしては穏便に来てほしいんだよ」
「本人はそれを望んではいません。とりあえず返済は完了でいいでしょうか?」
「あぁそうだな。………返済証明だ。受け取れ」
俺が返済の確認をすると、中年の男が一枚の紙きれを渡してきた。
それを恒丸さんが受け取る。…返済証明の紙らしい。
これでやっと返済完了だ。
だがもう少し言質を取っておいた方がいいだろう。
「取り立てはもうされない……ですよね?」
「あぁ、もう取り立てはしねぇよ。利子も含めて返済してもらったら文句はねぇ」
「分かりました」
「もし今後も金が必要になったら優先的に貸してやる。しっかり返済をしてもらえる奴は大事な上客だからよ。いつでも声をかけてくれ」
「……機会があれば相談します」
機会なんてあるわけないけどな。
「そうかい―――っと、向こうからサツが歩いてくるじゃねぇか。それに…治安の奴もいやがるのかよ。……オイッ!声を荒げ過ぎだ!さっさと行くぞ!」
中年の男は封筒を懐にしまうと若い男を連れて古いビル街の方へと歩いていく。
そして二人組の男は、路地裏のビルの中へと消えていった。
警察?それに治安?いずれにせよ来てくれて助かったか?
でもヤクザが巡回時間に取引するとは思えないが……誰かが呼んでくれたのか?
まぁいい……俺たちももうここに用はない。
目的は恒丸さんの全額返済だ。
今回の事柄を相談するのもいいが、やはり色々な意味で勇気がいる。
まだ俺達には気付かれてないようだし…今日はさっさと立ち去るとしよう。
俺は恒丸さんを自転車の後ろに乗せ、一旦よろず屋まで戻ることにした。
◇◇
よろず屋に向かう道中。
自転車の後ろに乗っている恒丸さんから声をかけられた。
「あのぉ……但野さん…」
「ん?なんだ?」
「先程は…ありがとうございました。それに守ってもらって……すみません」
突然、弱々しい声でお礼と謝罪をしてきた。
恐らくお礼は付き添ってくれた事。謝罪は俺を巻き込んだ事に対してだろう。
……心配ないって伝えておこう。
「ん?謝ってどうした?なんか気になることでもあったのか?」
「え、えっとぉ……掴まれそうになった時に守ってもらって……それで殴られて…」
「あぁ…あれか。少し痛かったが、どうということはない。俺は喧嘩慣れしているから余裕だ」
「でもあのまま止められなかったら……もしかしたら一方的に暴力を………」
「…なら…殴り倒しても良かったと思うか?」
「ッ!…但野さんに危害が加えられるぐらいならその方が―――」
やはり危害を加えられ続けてしまう可能性があったことが謝罪の理由か。
確かにあのまま続いていたらジリ貧だったかもしれない。……だけど一応考えて行動してたんだぞ?
「でもあそこで俺が本気で殴り返していたら、あいつら何するか分からねぇだろ?お前の返済も途中だったんだ。いくらレコーダーがあったって何かが起こってからじゃ意味がねぇ」
「た、確かに…そうですがぁ…」
「俺一人なら何とかなるかも知れねぇ。だが事を荒立てるとお前を守れる自信がなかった」
「そ、そうですよね…すみません。やっぱり…私の為に…」
恒丸さんが暗い声を出し、落ち込み始めた。
優しい性格をしているから罪悪感が心で渦巻いているのだろう。
「だからそこまで謝んなって。今はお前の…ボディーガードをしてるんだからよ!」
「――ッ!!但野さん……本当に…ありがとう…ございます…」
俺はこれで恒丸さんの心配が取り除けたと思った。
だが、まだまだ心配そうな暗い声色で話をしてくる。
このままエンドレス懺悔タイムをされても困るので、俺は話題を変えることにした。
「なぁ恒丸さん。一つ質問していいか?」
「あっ…はいぃ?な、何でしょう?」
「男物をいつも着ているのは……アレは趣味か?」
「あ、いえいえいえ…違いますよぉ。男の格好じゃないと…怖くて出歩けなかったんですぅ」
「そうか…じゃあこれからは沢山おしゃれができるじゃねぇか」
「はいぃ。そうですねぇ。ありがとうございますぅ」
背中の方から比較的明るい声が聞こえてきた。
今後は外出時に怯えることが無くなるわけだ。大分心も落ち着くだろう。
それと…これからは男物の服でよろず屋に来ることが無くなるかもしれない。
どんな服を着てよろず屋に来るのか…今後が楽しみだな。…ぐふふッ。
「あっ…私からも一つ質問してもいいですか?」
「――ッ!?な、なんだよ?」
「私はもうよろず屋の仲間なんですか?」
「あぁ、そうだが?」
「なら”恒丸”ではなく”あかね”って呼んでください。私も”仁さん”って呼びますから!」
”名前で呼んでください”という言葉。先程までよりも明るく力強い言葉だった。
これからも”仲間”として仲良くしたい―――そんな思いが感じられる。
恐らく仲間として信頼されたからだろう。その事に対して少し嬉しさを感じてしまう。
「……そんなことか。…じゃあ、茜」
「はい、仁さん!なんでしょう?」
「呼んだだけだ」
「えっ?…え゛ぇぇ…」
俺は少しだけ冗談を交えながら、他愛無い会話をしていった。
すると茜の様子もだんだん穏やかになり、良い雰囲気のままよろず屋の方へと帰っていく。
「あ、仁さん。ちょっと止まって下さい」
「――ッ!?…なんだよ急に」
――キキッ
俺は茜の言葉により自転車を止めた。
すると茜は自転車から降り、道の脇あたりまで歩いて何かを探り始めた。
「…えっとぉ…ここにお財布が落ちてましたぁ」
「――げッ!?」
おいおい…早速かよ…。
暗くてよく見えねぇってのに……アイツよく見つけたな…。
「中は…それなりに入っていますねぇ。いいですねぇ」
近くの街灯の下で財布の中を探り始める茜。
その姿を見てしまった俺は、だんだん心配になってくる。
何故なら今日……お金に執着した前例があったからだ。
やべぇな……下手するとまたお金に執着するんじゃなかろうか…。
これはもう俺が止めるべき―――
「あ、落とし主さん分かりました!」
――えっ?落とし主?
「とりあえず近くの交番に届けて連絡してもらいましょう」
「あぁ…そう…だな。ははっ…」
俺の心配……それは杞憂だったかも知れない。
自分でもよく分からないホッとした気持ち。
それが少しずつ込み上げてきた為、つい頬が緩んでしまう。
「あれ?どうしたんですか仁さん?」
「んあっ?…え、えっと……茜の雰囲気がちょっと変わったなって思ってよ」
「え?どういう…?」
「なんかよ……明るくなった気がした」
「そうでしょうか?……あっでも…そうかもしれません」
茜の頬も少しだけ緩んだ。
さっきまでの沈んだ表情とは違う……可愛らしい表情だった。
「それは良かった。利子の支払いに追われる毎日から解放されたからか?」
「そうですねぇ……それもあります。でも1番は植野さんに諭された時ですかね?ずっと抱えていた心の中のモヤモヤが少し取れたような気がしていました」
「心の中の…モヤモヤ?」
「はい。良心の呵責でしょうか?感覚的には…そうですねぇ…元々の私らしさを引き出してくれたような…」
「あぁ、確かにあるな。お嬢といると稀に不思議な感覚を覚えることがある。…よく分からんけどな」
「ふふっ…それとあと1つ。仁さんの言う明るくなった要因に心当たりがありますよぉ?」
言葉を言い終える前、茜が俺の方へと歩いて近づいてきた。
そして俺の目の前で止まり、覗くように見上げてくる。
「な、何だよ…いきなりこっち見上げてきて…」
「多分私は…お金よりも大切な"もの"を見つけたからだと思います!」
「…ん?そうかよ。それは良かったな」
「それと…考え方を少し変えました。私のこのギフトは、ただ私の為にお金が集まってくるものではないという考え方に」
「おぅ?それはどういうことだ?」
「私のギフトは…"お金が集まる"というよりも私が無意識に見つけている気がするんです。だからこそ…私のギフトはこの財布の落とし主の様に困っている人、その手助けをする為のもの、そう考えたいと思っています!」
「――ッ!!そうだな…いや、そうだといいな!」
自分の為だけじゃなく…人の為に使っていきたい…ってことか。
良いことじゃねぇか。見直したぜ。
「仁さん。今日はありがとうございました。そしてこれからも…よろしくお願いします」
「勿論だ!よろしくな!茜!」
俺と茜は近くの交番へ寄って財布を届けた。
そしてその後、また楽しげな会話を交わしながら自転車を漕いでいった。
――キキィ
「よし、よろず屋に到着―――って……あれ?お嬢?」
「遅かったわね。待ってたわ」
「悪かったな、予定より遅くなった」
「いいのよ……。…それよりもあんた達……随分と仲良くなったじゃない」
よろず屋に到着すると、お嬢が玄関前で待っていた。
一応、心配して待っていてくれたのだろう。
「青い鞄は警察に連絡して渡しておいたわ。ちょっと帰りが遅いから心配したのよ」
「お、おう…すまねぇな」
「それで…完済はできたの?」
「ちょっとトラブルはあったが無事返済できたよ。…言質も取った」
「そう…よかったわ。ありがとう仁。ご苦労様」
「おう!」
「あ、あの…植野さんッ!!」
俺の報告を聞いたお嬢がよろず屋に戻ろうとした時、茜がお嬢を呼び止めた。
意を決したような真剣な表情―――どうやら何か言いたいようだ。
「……何よ?改まって」
「植野さん…ありがとうございました。それと仁さんには色々と助けて頂きました。教えても頂きました。一人じゃないってこと、私もよろず屋の仲間なんだってことを―――」
茜が頭を下げてお嬢に感謝を述べ始めた。
俺へのお礼も含めた思いの全てを込めたような言葉。その言葉をお嬢は静かに聞いている。
「だから…その…もし嫌でしたらッ…もし気分を害してしまったらッ…ごめんなさい…」
「……もじもじしてどうしたの?言いたいことがあるならはっきり言いなさい」
「わ…私と…お友達になって頂けませんかッ!!」
「ッ―――!!と、とも…?」
あ、お嬢…めっちゃ動揺してるな…。
さっきまでの澄まし顏が困り顔に変わってるじゃねぇか。
「い、いいわよ!友達ね?友達なんて普通だわ!!私のことは”ヒトミ”と呼べばいい!私も”アカネ”って呼ばせてもらう…それでどう?」
「は…はい!!ありがとうございます」
ははっ…なんだよ普通って。
お嬢のやつ…いつにも増して笑顔じゃねぇか。照れてんじゃねぇよ。
あっでも…気軽に話せる人が欲しいっていってたっけな。
友達か……やったじゃねぇか…。
「もう私の友達なんだからねッ!だから……今日は一緒にディナーでもどうかしら?」
「い、いいんですかぁ!?あっ…でしたら!お母さんに連絡しておきますぅ!」
「友達なのよ!当たり前じゃない!それにここには私に仕えるそこそこ料理の得意なシェフがいるのよ?味は保証するわ」
”シェフ奴隷”じゃなくて”シェフ”ときたか。
俺も少しは認められてきたんだな。……そこそこは余分だが。
「仁!何ぼけっとしているのよ!ディナーの時間はとっくに過ぎてるのよ!!分かったらすぐ私達の為に美味しい料理を作りなさい!!」
「ハハッすまねぇお嬢!今日は何にする?何でも言ってくれ!今日は食材が十分にあるからよ!」
お嬢と茜は笑顔でよろず屋へと入っていく。
俺もその様子を見守りながら、お嬢達の後に続いていった。
そして笑顔溢れるディナーを作る為、台所に立つ。
「それにしても…あのひったくり事件で奪われた鞄のお金は使わなくて良かったですぅ…。今、冷静になって考えてみると…とても正気じゃなかった気がします。本当に奪われた方に申し訳がなかったですぅ」
だが俺が料理を作ろうとした矢先、茜が思い出したかのように反省を始めてしまった。
笑顔を見せてはいたが、やはり心のどこかでは気にしていたようだ。
自分の行いを振り返り、自責の念にかられている。
――――――これは後日。
ひったくり事件に関して知った話だ。
犯人が奪った鞄は無事持ち主である婦人の手に戻り、後日お礼をされた。
そしてお礼と同時にその日の出来事も少しだけ聞くことができた。
あの事件は、婦人が商店街で貴金属を購入しようとした所を狙われたものだ。
犯人は商店街から路地裏へと逃走し、やがて捕まった。
だが婦人から奪った鞄を持ってはいなかった為、捜索が開始されたという流れだ。
そして、それを見つけたのが…茜だったということだ。
因みに犯人が早く捕まった要因の一つは足に小さな怪我をしたことらしい。
そしてその拍子に、ズボンのポケット付近を破ったようだ。
事情聴取をしてきた警察官がチラっと言っていたのを少しだけ覚えている。
”布を引っ掛けた跡”というのは正にそれの事だったのだろう。
そしてあのお金が散らばった恐怖の路地裏の真相。
"破れたポケットからお金が散らばったことによるもの"……と考えると辻褄があってくる。
可能性ではあるが、状況が見えてくるとあの時感じた恐怖もなくなるってもんだ。
あと茜のギフトに関してだ。
”お金が集まる”というよりは”無意識で見つけている”と言っていたことはあながち間違っていない。
本人は気づいていなかったが、”見つけること”が困難な場所から青い鞄を見つけたのだ。
さらに第三者への受け渡しを未然に防ぐことにもつながり、結果として事件解決に少なからず貢献していたのだった。
それが助けになったことに後で気づいた茜は"良かった…"と小さく言葉を漏らし、その場で泣いてしまっていたが―――――
「おいおい……。今はそんなこといいじゃねぇか…しんみりせずに笑顔でいこうぜ。なんたって今日は、特別にとびっきりのご馳走を用意してやるんだからな」
「あっ……はい!すみません。ありがとうございますぅ」
俺の言葉を聞いた茜は、すぐ笑顔に戻った。
謝りお礼を言いつつも、もうその顔に暗いものは感じられない。
これで…いや、もう正式によろず屋の仲間入りだ。
これからは茜とも一緒に、よろず屋を盛り上げていこうと思う。
それから…そろそろディナーを作るとしようか。
せっかく皆が笑顔になったんだ……とびっきりのご馳走で楽しませてやる。
この二人の笑顔を…絶やさないようにな。
時刻は夜の22時。
普段は辺り一帯が静まり返る時刻。
だが今日のよろず屋には、賑やかな声が溢れていた。
昨日のよろず屋よりも賑やかで……いつもより多くの笑いの声が。
そして今日もよろず屋の1日は慌ただしく過ぎていくのであった。
2話目を読んで頂きありがとうございます。
よろず屋の説明から主人公の仕事、新キャラクター、ギフトの扱い、若干のコメディ要素などなどを詰め込んだ結果、話が予想の倍以上長くなりました。1万文字ぐらいでやっていこうと思ったのに2話目でこれです。
さて、とりあえず2話の更新が完了しましたが、今回は3話もすぐに更新します。
次話はコメディ要素が高いかなぁ…(あれ?ラブ要素が…
また更新した際は読んで頂ければ幸いです。それでは。
★今後のクオリティ向上の為、惜しいところがあれば是非お聞かせください_(._.)_★




