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5件目 このよろず屋の社員旅行が連日慌ただしかった件 3/4

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 旅行2日目に宿泊する旅館に到着した。

 山頂から下山し、旅館で荷物の引き取りを行っている時には、もう夕方になっていた。


 俺は、本日の宿泊部屋に全ての荷物を運び終えた後、お嬢達に声をかける。


「さてと、荷物も運び終えたし、もう温泉に行くっきゃねぇだろ!!なぁみんな!!」


 多少テンションが高めな俺の問いかけにみんなの反応はなかった。

 お嬢はいつも通りの澄ました顔で鞄の中を漁り、花音は大部屋の畳でごろごろ転がって遊んでいる。

 茜は自分の鞄の前に座っているが……こっちを見て中を開けようとしていない。


「あぅぅ……部屋に仁さんがいますぅ…」

「何残念そうに言ってんだよ。部屋の片隅で大人しくしてるだろ」

「あ、いえ…その…嫌というわけではなく…その…」

「なんだよ…はっきりしないな」

「うぅぅ……」


 そう……茜がお嬢と旅行を計画していた際に懸念した事がコレだった。


 2日目の部屋はひと部屋しか取れなかったってことだ。

 この部屋は大部屋である為、広さは申し分ない。なのでお嬢がもうそれでいいと妥協してこうなったが……やはり年頃の小娘が野郎と同じ部屋では抵抗があるのだろう。


「なら仁は少し部屋の片隅で背を向けていなさい。準備ができたら温泉に行きましょう」

「分かった…」


 俺は部屋の隅の壁とにらめっこを開始した。

 茜が恥ずかしがっているのでこれは仕方がない。


 それにしても、やはりお嬢は肝が据わっている。

 俺の存在に全く動じていない。この俺でさえ若干そわそわしてるっていうのに。


「準備ができましたぁ」

「なら行くわよ。花音!いつまでごろごろしているの?早く準備をしなさい」

「はいです~」


――バタン


 お嬢と茜は先に温泉へ向かったようだ。

 それを見届けた俺は自分の鞄を漁り、温泉へ向かう準備を始める。


――ガサゴソ


「仁は何してるです?」

「温泉に持っていくパンツが見つからねぇから漁ってんだよ」

「のーぱんで過ごせばいいです」

「断る!下手したら捕まるわ!……っと…お、あった!」


――ガサゴソ


「…んで、花音はさっきから何してんだよ」

「瞳お姉ちゃんと一緒の鞄に着替えが入ってるのです。でもどれが今日の着替えか分からないです…」

「そうかよ。ちゃんと自分の荷物を把握してないからだ」

「ぅ~ん……あっ!!」

「――ッ。どうした?……見つかったのか?」

「これを見つけたです!」

―――ちゃちゃーん!!


「そッそれは……お嬢のッ!!」


「瞳お姉ちゃんのパンツです!」

「お、おう…それがどうしたんだよ……」


―――スっ


――ッ!!シュババッ!!


 体が反射的に回避行動をとった。


「………どうしたです?…仁は自分の鞄を漁らないのです?」


 花音の表情がエゲツない笑顔へと変化したのが見えた。ゲスな遊びを思いついたガキの表情だ。

 やばい…つい反応しちまった…。幼女を楽しませてしまうだけだぞ俺!!


「おいやめろ!こっちに近づけるな!」


 花音がお嬢のパンツを両手で持って近づいてくる。

 

 くそがッ……なんてプレッシャーだッ!!


「これは未使用なので大丈夫です!」

「そういう問題じゃねぇよ!!」

「これで仁と鬼ごっこです!」

「うぉぉッ!!こっちくんじゃねぇ!!」


 そして、幼女との鬼ごっこが大部屋の和室で開催された。


◇◇


 一方、瞳は茜と女湯の入口付近まで歩いてきていた。


「ここの温泉は昨日と違って豪華絢爛って感じですねぇ。それに広いですぅ」

「そうね。昨日の落ち着いた和の感じもいいけど、こういうのも悪くないわね」


 落ち着いた和を感じさせる装飾が多い中、金箔貼りの鳳凰や漆塗りの柱など、高級感溢れるものもちらほらと目に映る。昨日のヒノキや盆栽がアクセントになっていた温泉とはまた違った様相である。

 

 瞳と茜は、そんな豪華な装飾が施されたものを目に映しながら、女湯入口の暖簾をくぐろうとした。

 だが、暖簾をくぐり終わった時、瞳は何かを思い出したかのように足を止めてしまうのだった。


「あれ、どうしたんですかぁ?急に立ち止まって」

「そういえば……保湿クリームを忘れてきたわ。茜、取りに戻ってもいい?」

「大丈夫ですよぉ。あ、でしたら花音ちゃんも一緒に連れて行きましょう」

「うん。そうね」


 瞳と茜は、忘れ物を取りに一旦部屋へと戻ることにした。


◇◇


――ドタッ―――ドタバタッ!


「…おい幼女……それ以上近づくんじゃねぇ…」 


 花音が両手にお嬢のパンツを持ってこっちとの距離を詰めてくる。

 俺は持ち前の瞬発力で花音の攻撃を回避するが、花音が大部屋の入口を固めている為、なかなか脱出できない。

 もし、お嬢のパンツに少しでも触れてみろ……どこかで必ずバレる!そして…その報復がやってくる!


「どうしたです?考えごとです?」

「どうしたもこうしたもねぇよ!これをお嬢に見られてみろ!!死刑確定だぞ!!」

「大丈夫です。瞳お姉ちゃんは今頃温泉でほっこりです!」

「それでもだ!俺は犯罪には手を染めねぇ」

「仁はカタブツです~。でも、だからこそ反応が面白いです!そしてもう…逃げ場がないのですぅ~」


――パサッ


 幼女の手から白い布が放たれた。 


「フォォォッッ!!」


――パシンッ


 うぉッ…びっくりして上に弾いてしまったッ!!


――ガラッ


「花音?一体どうし―――」

「えっ!?おじょ―――」


――パサッ


 んぁ?何かが頭に………白い…布?――ぁッ!!あ゛ッ!!あ゛あ゛ッッ!!!


――カシャカシャッ


 茜ッ!?携帯カメラ!?


「衝撃スクープですぅ」


――しまッ!!


「ふ~ん………最後に良い思い出が残ったわね………仁!!」

「ごッ!誤解だッ!」

「誤解?その手に持っているものは何?」

「あん?…なんだこの布―――」


 ――ッ!!!

 フォォォォッ!!

 お嬢のパンツ2枚目ぇぇぇぇッッ!!!


――カシャッ


「現行犯逮~捕ですぅ」


 タイーホ!?


「そこの奴隷!全力で土下座しなさい!!」


―――ぐぞがッ!


 俺は土下座をさせられた。

 額を畳の床につけて全力の土下座をする。


「それで……弁解させてあげる。何か言うことは?」

「俺はやってねぇ!」

「この状況なのに?」

「それでも俺はやってねぇッ!!」

「そう…ちょっと頭が固くなっているのかしら?私が直々にマッサージしてあげるわ!」


――ゴスッ!――ぐりぐりっ


 ぐぉッ!!足踏みマッサージかよッ!!

 ドMだったら泣いて喜びそうなシチュエーションだが……ぐぉッ!


「ちょ…お嬢…そこ肩じゃなくて後頭部なんですけど…」

「頭のコリを解しているからに決まっているでしょ?どう?そろそろ解れた?」

「お嬢!だから誤解だ!く…くッそッがぁぁぁぁッ!!」


 俺は奴隷命令の束縛を全精神力を振り絞ることでなんとか脱出し、お嬢のマッサージから抜け出した。

 そして這いつくばる形でお嬢の顔を見上げて話そうとするが―――

 

―――あ…ダメだ…目が死んでいる……超冷たい目で見下されている…。


 やばい…やばいやばいやばい!!

 どれだけ弁明しても納得させられる自信がねぇ!!どうしたら信じてもらえる……


「瞳お姉ちゃん……鬼のようです……」


 お嬢の鬼の所業に怯え、固まっていた幼女。

 口から心の声が漏れる。


――あ、そうだ!!


「おいそこの幼女!俺を弁護しろ!詳細を話せ!!」


 幼女ならこの状況を説明できる!

 しかも幼女相手なら俺より酷い仕打ちにはならないはずだ!

 そしてこの状況……元凶は全てお前にある!!俺を助けるのは当たり前なんだ!!だから説明しろ!!

 早くこの惨劇を…回避させてくれぇぇッ!!


「……わ、分かったです」


 意を決したのか、幼女はお嬢に声をかけ、事の顛末を話し始める。


 よし、いいぞ!!


「わたしがごろごろし終わった時に、仁は鞄の前に座っていたです」


 そうだ。


「それで、ちょうど仁は(自分の)パンツを漁っていたです」


 ん?


「それから(わたしが)瞳お姉ちゃんの鞄からパンツを見つけたので振り回して遊んだです」


 おい…


「悪いことをしたです…。でも、仁が(パンツから逃げて)踊ってる姿は面白かったです~」


 ちょっ…


「それでパンツを(わたしからはたいた結果)たまたま顔にかぶっちゃっただけです。全て偶然なのです!」


 まっ…


「そう…よく分かったわ」


 ウォイィィィィッ!!!

 弁護する気ねぇだろこの幼女ォォォッ!!

 言葉が足りなさすぎだろォォッッ!!

 全然伝わってねぇよォォォッッ!!


「お嬢!全然分かってねぇ!!俺は無罪なんだよぉぉぉッ!!」

「まだ言うの?花音が説明したでしょ!?」

「くッ…クソがッ…どうしたら信じてくれるんだよぉぉ……」

「めんどくさいわね!なら…そこの奴隷!正直に全て話しなさい!!」


―――あっそ、その手が……


 そして俺は、心の底から正直に事の顛末を説明した。



◇◇



 俺はお嬢に対して心の底から正直に話をした。

 すると、俺に向けられていた凍えるような視線が徐々に緩和されていくのが分かった。

 お嬢は見たままの状況から推測した回答と、奴隷命令で正直に話させた内容が乖離していたためか、首を傾けてこっちを見ている。


「……おかしいわね?想像していた答えと全く違うじゃない」

「だから言ってんだろ!この事件は冤罪だ!」

「……ぅ~ん……」


 そしてお嬢は少し思案した後、花音の方に振り向いた。


「……か・の・ん?」


―――ゴロン―――ガシッッ


 お嬢は花音を仰向けになるよう転がし、馬乗り状態でホールドした。

 幼女は一瞬の出来事に理解できていないのか、目を丸くして固まっている。


「茜!花音の手を抑えてなさい」

「あ、はい。…ごめんね花音ちゃん」


――ガシッ


 ごめんと言いつつも躊躇なく実行に移す茜…。

 そしてとても嬉しそうに両手を拘束―――いや…つないだ。


「…ッ!!あ、…あかねぇぇ!!」

「はい。茜ですよぉ~」


 これから起こるであろう未来を察した幼女は、全力で茜に助けを求める。

 しかし、幼女の願いも虚しく、茜は笑顔のままつないだ手を離さない。


「じ、じん…」


 こっちを見て助けを求めてきた。だが俺はすぐに目を逸らす。


 幼女よ…ここが年貢の納め時だ。お前は越えてはならない一線を越えたのだよ。


「ひ…ひとみお姉ちゃん…」


 今度はお嬢に対して許しを乞い始めた。目と表情でごめんなさいを訴えてかけている。


「私の下着で悪いことをしちゃダメでしょ?」


 お嬢の今の表情…花音でなくてもこれはわかる。

 笑っているが……笑っていない。


 そしてお嬢の両手がわさわさと動きだした。

 あの動き…完全にくすぐりの刑だ!花音は既に察している様子である。


「うん…ダメです。分かったです。もうしないです。だから…許して…くれる…です?」


 遂に花音は目をウルウルさせながらお嬢を見上げはじめた。

 あの目…まるで追い詰められたポメラニアンだ!

 花音は9歳だからこそ許される奥義を惜しげもなく使用した……末恐ろしい幼女である。

 俺だったら簡単に許してしまうな……これには流石のお嬢も―――


「うふふっ…だ~メッ!!」


 許さなかった。


「ぁきゃぁぅッッ―――」


 その後、5分にも及ぶくすぐりの刑が執行され、花音は死んだ。



◇◇



 お嬢による刑の執行が完了し、その場には人として死んだ幼女が残されていた。


「ァハッ…ぁひゃッ…」


―――ビクッ―――ビクンッビクンッ


「花音ちゃん……かわいいですぅ―――」

――じゅるりッ


―――ッ!!


 舌舐めずりしてるよコイツゥゥッッ!!

 やばい…茜が…やばい…。

 この後温泉で花音の身を心配せざるを得ない。


――カシャッカシャッカシャッカシャッ


 そして追撃のシャッターチャンス!半分白目での思い出づくり!!

 転がって動かない幼女の遺棄現場が次々と写されていく!!

 お嬢に続き茜も容赦がない!!シャッター攻撃が連写され続ける!!


「さぁ花音ちゃん。一緒にお風呂へ行きましょうねぇ」


 十分に撮り終えた茜は、花音をズルズルと引き寄せてから愛で始める。

 そして、お姫様抱っこフェイズに移行し、そのまま幼女の誘拐を開始した。

 花音はぐったりとした様子で茜に回収されていく。


「じ…ん…」


 俺を呼ぶ……か細い声が聞こえた。

 ……ふっ……さらば花音。


――バタンッ


 その断末魔…たしかに聞き届けた。


「仁…ごめんなさい。…花音のいたずらだったのね…」


 お嬢が珍しく謝ってきた。まぁ当然ではあるが…。


「お、おぅ…いいってことよ…俺も役得…いや、なんでもねぇ」

「?…そう…なら私ももう温泉に行くわ。仁もゆっくり疲れを癒しなさい。それと、もう私の鞄は漁っちゃダメよ?」

「漁らねぇよ。つか漁ってねぇよ!」

「ふふっ…ならいいわ。お先に」


――バタンッ


 ふぅ…なんとか事件解決だな。容疑者の幼女は茜警察に連行された。

 多分温泉でたっぷり尋問されることだろう。

 

 ……よし、俺も温泉に入ってこよっと!

 せっかくの高級リゾートだ。ここの温泉もさぞ快適なんだろうなぁ。


 そして俺は何事も無かったかのように温泉へ浸かり、一日の疲れを癒した。


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