4件目 このよろず屋の社員旅行が慌ただしかった件 2/3
―――よっこらせっと…
俺は自分で掘った墓穴へスッポリと納まる。
お嬢による続けざまの奴隷命令により、砂の中へと身を委ねる結果となってしまった。
そして小娘共は胸の位置まで埋まった俺の周囲をさらに砂で固めていった。
辛うじて肩が出るかどうかというくらいに砂が盛られた為、本当に生首のような状態だ。
しかも俺は奴隷命令による直立不動付きである。
適当にローアングルを楽しんだら出て行こうとしていた目論見が完全に外れた。
砂の中から出ようと試みても両手両足が全く動かない。そして―――――
―――うん。だよなぁ…。
やっぱ目隠しするのかよ…クソが。
まさかこんなことになるとは想像もしていなかった。
流石だぜお嬢…そしてあの幼女…まじで俺の心が丸裸にされている気分だ…。
やましい気持ちを湧きあがらせてくる茜。
やましい気持ちが出るとすぐに察知する花音。
やましい気持ちが分かるとすぐ埋め立ててくるお嬢。
ずっと砂の中から出られねぇじゃねぇか…。
無限コンボかよ…。
「さぁ、スイカ割りを始めるわよ」
――ッ!!
え…えっえっえっ!?嘘…マジで…!?真っ暗でなにも見えないッ!!
「ここにスイカがあるです~」
「――ッ!」
なんか近くから幼女の声が聞こえたんだけど…。
おいまさか…俺の近くに置いてねぇだろうな!?
「私と花音ちゃんが誘導するので瞳ちゃんがスイカを叩き割ってくださいぃ」
「任せて。全力で叩き割るわ」
コイツらッ!何考えてんだ!!
スイカの横に人間埋まってんだぞ!!サイコパスかよ!!
くそがッ!これは俺も声をあげてこっちに来ないようにするしかねぇじゃねぇか!!
「おい、お嬢!俺はここだッ!!分かってんだろうな?やめろよッ!絶対こっちに来んじゃねぇぞ!!」
「スイカが呼んでるです」
「そっち?今行くわ」
―――ザリッ―――ザリッ
お、おいおいおい!?お前ら正気かよ…。
つかッあの幼女!今なんて言った!?
―――ザリッ―――ザリッ
一歩ずつ。
また一歩ずつ。
お嬢の足音が近づいてくる。
なぜこんなことに…もしかして俺は何か恨まれていたのか…?
一体何がお嬢を怒らせたって――――ハッ…ま、まさか……!
俺がたまにお嬢の浴室を凝視して想像を膨らませていたことが遂にバレて…?
いや、あれはホントに最初のうちだけだ!もうやってねぇッ!!
――ってちがうぅッ!今はそれよりもッ!!
この命の危険…どう対処すればいいっていうんだよ…。
もう諦めるしかねぇっていうのか…。
ハハッ……なぁ……俺たち人類はよぉ……今まで少しでも考えたことがあったのか?
割られるスイカの…気持ちってやつを。
――ジャリッッ!
こ、怖ッ――
―――ボスンッ
―――――ッ!!
フォォッッ!!び…ビビったァァッ!!
隣で砂が舞い上が――――――ッ!
うぉッ眩しッ!!
ふいに俺の目隠しが取られ、眩い光が目に当たった。
そして、目を薄くあけて見上げてみると……お嬢がケラケラと笑っていた。
しかもお嬢は目隠しなんて―――いや、そもそも辺りにスイカが見当たらない。
「どう?びっくりした?初どっきり大成功!!」
「えっ…恨まれ…ど…どっき…どっきり!?」
「仁が口をパクパクしてるです。お魚さんみたいです~」
あ…あぁ…あア嗚呼ァァァッ!
クソがッやられたッ!!そういうことかよッ!!
ったく…やけに楽しそうにしていたわけだ…こっちは冷や汗もんだったっていうのに…。
「仁!感想を聞かせて?」
「ふぁ?…か…感想?……ど、ドッキリが刺激的すぎて超ビビりました。…ってッなんで感想言わせんだよッ!割られるスイカの気分だったんだぞ!」
「…!?」
俺がお嬢にツッコミを入れた瞬間、お嬢は少しだけ目を丸くした。
憔悴させてしまったようにでも感じさせてしまったのだろうか。”意外”といった表情だ。
だが少し思案した表情を見せた後、お嬢はクスッと笑った。
そして俺の方へ優しい視線を向けてくる。
「ちょっとやりすぎたかしら?でも安心して!アンタは大切な私の奴隷なんだから!」
お嬢にとってはスキンシップのつもりだったのだろう。
だが俺にとっては命の危険すら感じたドッキリだった。
相変わらずエゲツねぇ性格してやがる…。
絶対ドッキリに慣れてない!加減を間違えてやがる!!
しかし……まさかお嬢にどっきりを仕掛けられるとは思いもしなかったな……。
それ自体にも驚きだが……誰かが入れ知恵でもしやがったか?
エゲツない性格ではあるが純真無垢な所もあるお嬢に対して悪知恵を教え込みやがった奴は…。
まぁいい…。とりあえず今回の件……俺は男として必ず仕返しをせねばなるまい!!
「やったわね」
「成功ですねぇ」
「面白かったです!」
―――だが仕返ししようにも今置かれている状況が悪い…。
しかも3対1の構図だ……全く勝ち目が見えねぇ…。
それにしてもアイツら……三人でハイタッチ交わしてやがるじゃねぇかッ!
く、悔しい…だが…どこかで必ずチャンスは訪れるはずだ…。今はまだ時ではない!
もし…チャンスが訪れた際には覚悟しておけよ小娘どもッ!目にもの見せてやる!
「じゃあ、楽しんだところでそろそろお昼ごはんにするわよ。花音、一緒に買いに行く?」
「いくですー!」
「あ、瞳ちゃん。パラソルはここに立てればいいですか?」
「そうね。そこでお願い。少し食べ物を買ってくるわ」
「分かりましたぁ」
お嬢たちは俺へのドッキリ大作戦を実行した後、俺の後頭部側へと歩いていき昼食の話をする。
その後ガサゴソと荷物をまとめるような音が聞こえた。
ん?お嬢と花音は……近くの飲食店で食べ物を購入してくるのか。
そして茜はパラソルの準備か。……多分1人では大変だろうな。
ふむふむこれは……お手伝い名目で砂から出られる可能性が―――
――ザシュッ――ボスッ――ドスッ
――カンカンカンッ
――ッ!?うそッ!手際良すぎッ!
俺の後頭部側から迷いのない動作音が聞こえる。
そして背後の音が静かになったことでパラソルの設置が完了したことが推測できた。
だが茜よ…手際が良いことは認めるが、お前は1つ重大なミスを犯している。
それが一体何だか分かるか?俺の立場になって考えてみればすぐ分かることだぞ?
まぁ……答えはとっても簡単だ―――
―――ちげぇだろうが!パラソルの設置位置がよぉッ!
俺の視界から外れる形でパラソル立てやがって!
俺の前に立てろよッ!もっと水着を見せろよッ!
もっとたわわを拝ませろよォォォッッ!!!
――ぐるんッ!!―――――ボキッ!!
「―――ッふぅ゛んッ!!」
首の回転が90度に差し掛かった時…俺の軟骨が悲鳴をあげた。
や、やべぇ……一瞬正気を失った!下手すると死ねる!
物理的かつ間接的に殺されるとか洒落にならん!
死因:水着の魔力……とか恥ずかしすぎてもう一回死ねる!!
いや、今はそんなことを考えている場合じゃない。
野生のサルと同レベルまでIQを落とされたが……正気に戻ることができたようだ…。
あのアルバイター……お金を集めるだけじゃねぇ。
俺の視線まで集めようとしてきやがるとは…なかなかやるじゃねぇか。
俺が考えていたのはこの墓穴生活からの脱却だったはず。
なのに……あの禁断の果実が頭で邪魔ばかりしやがる!……もう助けを求めよう。
「なぁ、茜!そこにいるか?いつまで――」
「茜。お昼を買ってきたわ。一緒に食べましょう」
「あ、はぃ~」
「俺を砂の中に――」
「パラソル凄いです!快適です~」
「そうね。それじゃあそろそろ…」
「おいッ!そろそ―――」
「スイカ割りをするわよ!!!」
――えっ?
――バコンッ!!
――ビクッ――!!!!!
「割れたです!!」
「きれいに割れましたねぇ」
「じゃあ早速食べるわよ」
あ…あぁ…ちょっとビビったぁ…。
俺を割るわけじゃないよな?……驚かせやがって……ていうか……
”スイカ割りをする”んじゃなかったのかよ!
目隠ししてスイカ割るゲームをするってことじゃねぇのかよ!
ガチでスイカを叩き割って食い始めやがったぞ!何考えてんだ!!
ったく…こいつら心臓に悪いことしかしやがらねぇ。
今日だけで俺の寿命がどれだけ縮んだと―――
――ザリッ――ザリッ
ん?――うぉッッお、お嬢ッ!?
何故かお嬢が俺の前まで歩いてきた。
逆光によりお嬢の影が俺の顔にかかる。
――ザリッ
「…ねぇ仁。スイカよ。食べなさい」
「………へっ?」
俺はその光景を直ぐには理解できなかった。
お嬢が俺の目の前で両ひざをついたのだ。
煌めく水着姿と美しい御御足が俺の視界に入る。
そして……お嬢の白雪のような手に持たれたスイカが俺の口元まで差し出されてきた。
えっ…まじかよお嬢……今日はめっちゃやさしいじゃねぇか…。
「どうしたの?食べさせてあげるって言ってるのよ?いらないの?」
「お、おぅ…じゃあ…頂くぜ」
――シャリッ
――ッ!うん!甘くてみずみずしくてうまい!最高だ!!
それに…今のお嬢の姿勢……素晴らしいアングルじゃねぇか…。
そのままスイカを食べさせ続けてくれてもよいぞ!!
「あ、仁さん。桃をむきましたぁ。おいしいですよぉ。はい」
茜か。おいしそうな桃を持ってきてんじゃねぇか。
「お、さんきゅ」
――ぱくっ
うん!桃の甘くて芳醇な味わいがたまらない。
絶景の中での桃も悪くないものだ。
ついでにそのたわわな果実も頂ければ幸いです。
「仁、これも食べるです?」
「あぁ、食べ――――」
…おい幼女。
何でテメェはおでん持ってんだよ?
少しは空気読めよ?あの流れからどうしておでんが出てくんだよ!?
つかッ!何でここの海水浴場はおでん売ってやがるんだよ!
充実する方向が間違ってるだろッ!!
「仁~」
お、おい…やめろ……大根をこっちに近づけるんじゃねぇ。
「あーん」
あーんじゃねえッ!!
「あっづう゛ぅぅぅっ!!!!」
「おぉーッ!?」
「クソが…おい花音…おでんはいらねぇ!他の食べ物を持ってこい!」
「ん!」
――ザッザッザッ
なかなか物分かりがいいじゃねぇか。
さっさと夏に相応しい食べ物を持ってこい!
――ザッザッザッ
……ん?この足音…戻ってくるのが早いな。
「もってきたです」
「おう、さっさと食わせ――」
―――ジュゥゥッッ…パチパチ
……おい、なんで鉄板ステーキ持って来てんだよ。
油が飛び跳ねてんだろ…つか砂浜で食うもんじゃねぇだろ…。
「じゅー」
ジューじゃねえよ!!
「アッづゥッッ!!」
「おほぉーッ!?」
やめろ!!俺にリアクション芸させんじゃねぇぇ!!!
「クソが…花音…もういい…熱い…食べ物はいらないぜ?」
「ん!」
――ザッザッザッ
これでいい…これでやっと…
――ザザぁぁッッ
………おい幼女。なに滑り込んできてんだよ…。
しかもその手に持ってる生物はなんだよ……カニ持ってくんなよ…食べ物じゃねぇだろ…。
「あーん」
するわけねぇだろッ!!!!
「……ぁッ!!あはぁ~」
コイツ…今笑いやがった…ッ次は鼻に…おいッやめッ…
「アッ――――――――!!」
その数分後、俺はお嬢達に救出された。
◇◇
砂の牢獄から解放された俺は、砂だらけになった体をゆっくりと起こし立ち上がる。
幼女によるスペシャル拷問タイムの開幕間際での救出劇。
流石の俺もマジで助かったとしかいいようがない。
だがそんな気持ちを知ってか知らずか…。
この拷問幼女が俺の横腹あたりに頭突きした後、両手で抱きついてくる。
「仁で遊ぶの楽しい!好きー!」
何が”スキーッ”だッ!!”俺”で遊ぶな!お前のオモチャじゃねぇ!
ったく…やはりこの幼女は俺が動けないのをいいことに散々リアクションを楽しんでいたようだな。
恐らく俺の表情の変化を楽しんでいたのだろう……子供が持つ悪意のない残虐さを少しだけ垣間見た。
「もう十分だろ?俺は海で泳ぐからあっちいってろ」
俺はこの人懐っこい幼女の頭を軽く撫でた後、体から引き剥がして回れ右をさせる。
俺から離れた花音はお嬢の方へ向くと浜辺付近の湿った砂浜を指さした。
「次は砂で何か作るです!仁は当然お手伝いです~」
完全無視かよッ!しかもこの幼女…さんざん俺の顔を弄んだくせに今度は砂遊びに付き合えってか?
手伝う訳ねぇだろッ!そろそろ海で泳がせろよッ!俺の体は砂だらけなんだぞッ!!
それに…俺は大人だ。子供の砂遊びなんぞとっくの昔に卒業したッ!
ゆえに幼女…お前がどれだけ願おうが手伝うことはない!
砂で何かを作りたい……だと?
一人で埴輪でも作ってろッッ!!
「いいですねぇ。何を作りましょうかぁ」
茜が参加を表明した。
お、良かったじゃねぇか花音。お手伝いさんが来てくれたぞ?
二人でおままごとでもやっているがいい。
「なら私も一緒に手伝うわ」
――えっ?お嬢もやるの!?
やべッ!嫌な予感しかねぇッ!…さっさと逃げよッ!!
俺はお嬢たちに背を向け、見つかる前にそそくさとその場を退散―――
「仁!どこ行くです?さっさと手伝うです!」
「仁!花音を手伝いなさい!海に行くのはそれからよ!!」
―――できなかった。
やっぱそうなるのかよ…。お嬢は花音に対して甘い。
しかも俺を花音のお守り役として見ている気がしてならねぇ!
俺は半分諦めてお嬢と花音の方向に振り向いてみる。
するとそこには”参加するのは当然”といった様子の二人がこっちを見返していた。
お嬢がいる時点で俺に拒否権はないに等しい。
例え抵抗しようが、奴隷命令により強制奉仕が実行されるのは明白である。
「あぁ…」
お嬢とのパワーバランス…四面楚歌……既に結果は見えているだろ俺…。
「分かった……」
この状況下……もう必然だろ……ここから導き出される結論は………
「俺は……」
分かっているさ……頭の中ではな。
「”海に行く”にッ決まってんだろォォォォッ!!!!」
――ダダダッッシュッッッ!!
「ッ!!――そこの奴隷!!花音を手伝いなさい!!!」
―――ザブンッ!!!
「ッッ!!不覚だわ!!奴隷に逃げられたッ!!!」
「瞬発力が異常ですねぇ……」
「最近の仁は逃げ足が速いです」
フハハハハッ!!どうだ見たかッ!!俺の不意打ち全力ダッシュをッ!!
”参加する”―――――わけねぇだろうがッ!!!!
海が俺を呼んでいるッ!海が俺を助けてくれる!!
お嬢の声さえ届かなければ…俺は一般人類だ!!
このままちょっと遠くまで泳いで…お嬢の呪縛から逃げ切ってやるぜぇぇ!!ざまぁみろッ!!
俺はお嬢のいない平和な浜辺を目指して海の中を潜行する。
そして大体泳いだ距離から安全だと思われるタイミングを見計らい、息継ぎをする事にした。
―――っと、そろそろか。
また長く潜行する為に…息継ぎをしないとな…っと…
「ぷはぁッ――――あ~気持ちいい!……ん?………あっ……」
「そこの奴隷!浜辺まで泳ぎなさい」
「うごぉッ!?」
――ザパッ――ザパッ――
バカな!?浜辺までオートスイミングだと!?
体が全く言うことを聞かない!!うぁぁッッ!と、止まらねぇッ!!
浜辺に打ち上げられるぅぅぅッ!!
―――ざぱぁぁぁ……ん……
俺はうつ伏せ状態のまま浜辺に打ち上げられた。
そして沖の方から次々と押し寄せる波に揺られつづける。
まるでアザラシになったような気分だ。とっても新鮮だぜ…。
「ウォィィィィッ!!どうしてそこにお嬢がいるんだよォォッ!もっと泳がせろよぉぉッ!!」
俺はうつ伏せ状態から首を横に捻りお嬢を見上げて抗議する。
「浜辺を走って追跡したの。それだけよ?さぁ、砂遊びを始めましょ」
「違う!なぜ俺の位置がバレたかってことだ!海の中はあまり見えねぇだろ!!」
「あ、はい。ですので、私がその見えにくい仁さんの影を追いましたぁ……危うく見失うところでしたぁ」
マジかよ!!そんなバカな!?
「茜は目がとっても良いことは知ってるでしょ?沖の方に逃げなかったのが間違いだったわね?」
クソがぁぁぁぁぁッッ!!
何俺を見つけてやがるんだよッッ!!
金だけ見つけとけやこのエロ娘ェェッッ!!
「それじゃ…そこの奴隷!これからみんなで砂遊びをします。参加しますか?"YES"か"Join"かで答えなさい!」
「YESであ゛りまずッ」
「よろしい!それじゃあ、仁の強制労働が決まったところで……花音、何を作りたいの?」
「あ!そうです……う~ん……う~~ん?」
お嬢のその言葉に花音は突如深く考える様子を見せた。
その眼差しは真剣そのものだ。視線に少しの揺らぎもない。
いきなりどうした?ずっと一点を凝視してやがるな……なんか目力がすごい!
しかも…まるで時間が止まったかのように動かない!
ちょっと真剣に考え過ぎだろ…一体何を作るつもりだよ。
海の向こうの地平線の先に何を見据えて―――――って……そういうことか…。
俺は花音の視線の先を辿ってみる―――するとそこには茜が立っていた。
俺がちょっと茜を呼んで動かすと、花音の視線が追いかけていくのが見える。
茜の胸を凝視してただけかよ!やらしいやつだ!気持ちは分かるが!
「――ッ!そうです!茜です」
花音が何か閃いたように口を開き、お嬢に相談する。
「まず茜を砂で作るです!次に瞳お姉ちゃんと仁とわたしです」
またスゲェ難題ぶっこんできたな…。
「できるかしら?やってみる?」
「やるです!まずは茜からです」
花音の号令と共に、本格的な砂遊びが開始された。
俺は奴隷命令から解放され、自主的に砂をかき集める。
砂を大量に集めて山のように固め、そこから少しずつ削って茜の形へと整える。
そして作業中に崩れてしまった部分に関しては、固めた砂をつけることで補強していった。
「おぉ…?なんとなく茜っぽくはなってきたが…太った茜がこんな感じか?……雪だるまみたいだな」
「仁さん……例えが悪いですよぉ…」
「だいなまいとぼでぃです~」
何言ってんだこの幼女?この雪だるまがダイナマイトボディ?
こいつッ!笑わせやがるぜ!つるペタ幼女が理解するには10年早いわッ!
「私の体の……なんだか恥ずかしいですぅ…」
「達磨の形で何恥ずかしがってんだよ。まだまだこれから―――」
「完成です」
――ッ!?へっ…これでいいの!?関取じゃん!?
「次は瞳お姉ちゃんです!仁!砂を集めてほしいです!」
「もういいのかよ……なんか納得いかねぇが…仕方ねぇ」
俺はしぶしぶ幼女の命令に従い、シャベルを使って周りから砂を集める。
ただ”重労働で面倒だなぁ”と思っていたが、やってみると意外と楽しい。
そして砂集めの最中にお嬢達を見てみると、皆で楽しそうにはしゃいでいる。
幼女だけでなくお嬢も茜も砂遊びに夢中な様子だ。
みんなで砂遊びか…。
こんなことガキの頃以来だがこれはこれで意外と……まぁ適度に手伝ってやるとするか。
俺の鍛えられたナイスボディを砂で作ってみるってのも………一興かもしれないしな。
そして俺達は浜辺での砂遊びに全力で嵌っていった。




