第7話
2年が経ちました
いろいろ環境が変わりました
今回も説明回
2017/11/27:従魔の名前をリフィに訂正・変更。
そうそうライムについても話しておこう。
この2年でライムにも変化があった。
元々ライムは色が違うだけの珍種だったのだが、
俺がテイムした事により姿が変わるスキルを手に入れたスライムになっていた。
そのライムもこの2年でアイアンスライムに進化していた。
ライムのステータスは現在こうなっている
名前:ライム(種族:アイアンスライム)
魔物ランク:F→D
属性:なし→土
レベル:1→43
体力:5→580
魔力:1→650
力:2→520
防御:1→2543
スピード:4→154
知力:5→250
器用:3→300
使用可能魔法:
土:初級魔法(ロックボール→アイアンボール)、中級魔法(ロックニードル→アイアンニードル)
やっぱり鉄だけあって防御力が高い。
器用さはやっぱり主人である俺に似たのかな~?なんてね…
アイアンスライムに進化した経緯を話すと…
俺がティアから鍛冶錬金のスキルの使い方を伝授してもらいながら
基本の鉄のインゴットを作っていた時の事である。
鍛冶錬金スキルは前にも言ったと思うけど最上級スキルの一つであり、
本来は『抽出』『分解』『加工』『調合』の基本の4つのスキルを全て極めてからのみ
拾得出来る特殊なスキルである。
むろん俺はその4つの基本スキルなんてすっとばしていきなり最上級スキルを手に入れたので
鍛冶錬金スキルをきちんと制御出来なかったのだ。
このスキルを使いこなすには使って使って使いまくって数をこなして慣れるしかないので、
森の中の洞窟や岩山で鉄鉱石を採掘しては鍛冶錬金を繰り返していたのだが…
そう簡単に最初からちゃんとした鉄のインゴットが出来るはずもなく…
出来損ないの鉄のインゴットばかりを量産していた。
その出来損ないの鉄のインゴットをライムに処理してもらっていたのだ。
アイアンスライムへの進化の条件は、2つ
一つ、レベルが25以上である事。
そしてもう一つが、体内の鉄分の含有率が体積の80%を越えている事。
この2つである。
この進化の条件については、スライムの事を研究する会が王都にあるらしく、
スラッ会と言う名前の由緒ある研究会らしい。
そしてそのスラッ会が発行している会報誌に掲載されているとの事だった。
またスライムはこの世界でも最弱の地位にいるらしく、冒険者に成りたての初心者の討伐対象だったり、たいていのモノは消化してしまう為、生活に役立つ従魔としての人気も高い、との記載もあった。
元々スライムのレベルはそんなに高い訳ではない。
レベルが上がっていたとしても4か5くらいなので、そこまで脅威になる訳でもない。
なので自然に棲息しているアイアンスライムはそれなりの強さを持っているのだ。
それにしてもスライムを研究するスラッ会…私、気になります!
出来損ないの鉄のインゴットをライムに処理してもらわなくても、
その出来損ないを更に鍛冶錬金スキルで再び錬成し続けていれば良かった事に、ライムが進化してから気がついた。
うん、ライムが進化したから別に良いんだけどね…
なんでだろう、心の汗が…
さてそのライムだが、進化したおかげで魔物ランクがDに上がっており、更に属性を手に入れていた。
手に入れた属性は土。更に土系の中級魔法まで使える様になっていた。
ただ何故か分からないが放つ魔法が少しおかしかった…
通常、土の初級魔法はロックボール、中級魔法はロックニードルなのだが、
さっき見てもらったステータスにもあったんだけど、ライムが放つのは…
ロックボールではなく、アイアンボール。ロックニードルではなく、アイアンニードル。
なのである。
普通のロックボールやロックニードルだけでも結構な殺傷能力があるのに、これが鉄製なのだ…
しかも大きさや太さが変えられる事が分かった…
これが普通ではない事は俺にも理解出来た。
ティアやオリヴィエさんも詳しい事は分からないみたいだが、おそらく俺の魔力のせいじゃないか?と予測しているみたいだ。
俺はライムに影響がなければ別に構わないんだけどな…
進化したての頃に、属性が手に入って魔法が使える事が分かったのでロックボールを5cmくらいの大きさで撃たせてみたところ、土が鉄に替わり、ものすごいスピードで打ち出され、ざっと5mくらいのクレーターが出来上がった。
更にロックニードルを撃たせてみたらそこそこ大きな木を貫通した。
これを見た俺はライムを切り札にすることを決めた。
ただ、たまにライムのストレス解消の為に魔法を撃つ許可を出しているが、鳥の姿で上空からアイアンボールやアイアンニードルを撃って魔物を屠っていく姿には恐怖すら感じる時がある。
そしてライム以外にも従魔が2匹増えた。
まずはグリフォンのリフィ!
お察しの通り、オリヴィエさんの子供である。
この世界に来て1年くらい経ったらある日、オリヴィエさんから
「陸さん、これを…」
と、ニワトリの卵より少し大きいくらいの緑と水色の縞模様の卵を渡された。渡された卵はほんのり温かかった。
「オリヴィエさん、この卵は?」
受け取った卵を見ていると
「これは私が産んだ卵です。陸さん、よければこの子の主人になって下さいませんか?」
それを聞いた俺は、グリフォンって卵から生まれるのかぁ…あれ?でも確かオリヴィエさんって独身だよな?旦那さんがいるって聞いたことなかったけど…
なんて事を考えていると
「他の魔物はどうか分からないですがグリフォンはメス単体で卵を産む事が出来ます。別に番にならないいけない訳ではないです。強いオスに魅かれて番になる個体もいますが必ずしも…と言う訳ではありません」
と、相変わらず俺の心を読んだかのように疑問に答えてくれた。
それを聞いた俺は特に断る理由もないし、なにより従魔が増えるのは嬉しい事なので引き受ける事にした。
魔物を赤ちゃんから育てるなんてブリーダーっぽくてなんか楽しそうだしね。
「分かりました、ではこの卵はお預かりします。どのくらいの期間温めれば良いんですか?」
と聞くとオリヴィエさんは人差し指を顎にあて首を傾げて少し考える。
すると
「あぁ、魔物の卵を孵すのに温める必要はありません、毎日魔力を卵に注いで下さればそれで良いので…それと生まれるまでの期間は私にも分かりません。この子自身が判断するので…早くて半月…遅くて半年とかではないかと思われます…とにかくこの子が納得したら生まれてきます」
と解説してくれたので、早速俺は卵に魔力を注いでみた。すると僅かに卵は発光し緩やかに俺の魔力を吸っていった。
その日からの俺の日課に朝晩、卵に魔力を注ぐ事が加わった。
ちなみにこの日課はそこまで長くなくて約2ヶ月続いた。
受け取った時はニワトリの卵より少し大きいくらいだったのが孵化直前では受け取った時の約3倍の大きさにまでなっていた。
ある朝、魔力を与えていると珍しくオリヴィエさんがあわてて入ってきて
「まもなく生まれます」
と告げた。
やはり母親だからであろうか、生まれる時はなんとなく分かるそうだ。
そしてオリヴィエさんが部屋に入って少し経ったとき、ピキッと小さな音を立てて卵にヒビが入った。
俺とオリヴィエさんが見守る中、どんどんヒビは大きくなり
ついに割れた。
「ピーピー」と可愛い産声をあげて小さなグリフォンが誕生した。
オリヴィエさんは生まれたばかりの我が子をそっと胸に抱いて
「陸さん、本当にありがとうございました。おかげで無事に産まれました。」
とお礼を言ってきた。
その顔は母親の顔をしていた。
俺もそっと抱いてみる。ピーピーと小さな産声をあげているグリフォンの雛?を見つめていると
オリヴィエさんが
「陸さん、この子に名前をつけてあげて下さい。それでテイムした事になりますので…それとこの子は女の子なので可愛い名前をお願いします。」
と言ってきた。
名前をつける事は主従契約みたいなものなんだろうな…
名前をつけるなんて小学生の頃に飼ってたインコの名前をつけた時以来だな…
グリフォンの名前かぁ…女の子なんだよな?それも可愛らしいヤツ…か。う~ん、難しいな…
そういえばグリフォンって、グリフィンとも言うよな…
俺はインスピレーションで「リフィ」と名付けた。
「リフィ、君の名前はリフィだよ」
俺は自分の手のひらの上でピーピー鳴いているグリフォンの子供に語りかけた。
するとリフィが一瞬、淡く優しい青と緑の光に包まれた。
「気に入ったようですね…この子…リフィの属性は水と風のようですね。陸さん、良い名前をありがとうございます。優しい良い子に育ちますように…」
これがリフィの生まれた経緯だ。
生まれた時は手のひらに乗るくらい小さかったリフィだけど、この1年でずいぶん大きくなり
言葉も喋れるようになっていた。
生まれてすぐはライムの背中に乗ってたりしていたんだけど、最近ではそのライムを背中に乗せている。
アイアンスライムって重そうなイメージだけど重くないのかな?
そう思ってライムとリフィに聞いてみたところ、
ライムからは
「重さ変えられるよ?」
リフィからは
「ライムちゃん、ちゃんと軽くしてくれてる」
とほぼ同時に答えが返ってきた。
うん、仲良しだ!
なお言葉はライムみたいに魔力による繋がりではなく普通に話せている。
ちなみにリフィのステータスはこうなっている。
名前:リフィ(種族:グリフォン)♀(0歳8ヶ月)
魔物ランク:A
属性:風、水
レベル:24
体力:1250
魔力:448
力:650
防御:350
スピード:790
知力:589
器用:756
使用可能魔法:
風:初級魔法、中級魔法、上級魔法
水:初級魔法、中級魔法、上級魔法
やはりスピードが高いよな~。高速で動いている時、たまに見失う時あるし…
あと属性魔法も両方とも上級まで使えるようになってる。これはオリヴィエさんが先生として教えているからだろう。
そしてその母親のオリヴィエさんが魔物ランクSSだからだろうか、生まれたリフィもいきなりAランクである。
まだ1歳にもなってないのに…
そしてもう1匹が、アイアンスパイダーの十六夜である。
十六夜はリフィが生まれる少し前にテイムしたのだが、テイムした経緯がかなり間抜けな話なのだ。
ある夜中に眠れずに外で空を見ていたら木々の隙間から綺麗な三日月が見えていた。
この世界に来て初めて見る三日月をしばらく眺めていると
【システムメッセージ】
《アイアンスパイダー テイム可能です。テイムしますか?》
Yes or No?
え???は???テイム???
あの三日月、魔物だったの!?
しかもスパイダーってことは蜘蛛!?どういう事?
訳が分からないままとりあえずテイム出来るのなら害はないだろうからYesと答える。
するとライムをテイムした時と同じように発光してすぐに収まった。
すると体長50cmくらいの大きさの蜘蛛が姿を現した。
どうやら三日月に見えていたのは背中に負った傷だったようで、
全体が光沢のある黒に近い感じの灰色の身体をしている、そこに背中の薄い黄色い傷があって結構目立つ。
それに身体のあちこちに傷があってそこ緑色の体液が出ている、それだけでもかなりの深手である事が分かる。
「主…名を…名を頂けるか?」
目の前のどうみても重傷な蜘蛛さんからなかなか渋めの声が聞こえてきた。
「君、名前より怪我の治療しなくていいのかい!?」
俺がそう聞くと
「名を…頂け…れば傷は全快…す…る。」
なんだそりゃ…便利だな、おい…
名前か…月と間違えたんだから月に関した名前にしたいけど急いだ方が良いな…
「あ、十六夜!君の名前は十六夜だ!どうだい?」
目の前の蜘蛛にそう語りかけると
「おお、素晴らしき名前!ありがたく頂戴致します、主」
そう言い終わるとこれまたライムと同じように鈍く光り出してすぐに収まった。
すると身体中についていた体液はすべて無くなっていたが、背中の傷は消えなかった。
「ふむ、これも主との絆と思えばまた風流であります」
なんか話し方が古風な気がする。
十六夜のステータスはこうなっている
名前:十六夜(種族:アイアンスパイダー)♂
魔物ランク:D
属性:土
レベル:18
体力:450
魔力:188
力:267
防御:550
スピード:790
知力:335
器用:504
使用可能魔法:
土:初級魔法、中級魔法
アイアンスパイダーだからと言って魔法がアイアンになる訳じゃないんだな…
やっぱりライムが特殊なんだな~。
翌朝、十六夜を見たティアはテイムした経緯を聞くと驚きながらも
「あっはっは、陸らしいわ!」と褒めて?くれた。
従魔を全員出しきってしまいたかったので長くなってしまいました。
次回新キャラ数名登場です。
その中にメインヒロインがいます。
お読み頂きありがとうございます。