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負けてられない

「おはよう! 金緑! どうしたの顔赤いけど」


 「あは……よう……ござい……ます……金緑君」


 『ようおはようさん金緑!』


 「よう屏風、木下、別になんでもねーよ」


 あれらから中々豊穣が放してくれず豊穣が鼻血を出して、ドクターストップならぬ海さんストップでやっと豊穣が放してくれた。

 心の声でブーブー言っていたが俺にしか聞こえないのでそれで終了となったのだが、恥ずかしすぎて豊穣の顔が見れない。

 豊穣も同じ気持ちで無言で着替えて朝食を取りいそいで豊穣の家を出た。

 何だかんだで結構時間がぎりぎりになってしまったからだ。

 海さんと陸さんがとても微笑ましげに俺たちを見ていたのが印象深かった。

 完全に親公認という奴である。

 そんな感じで顔が赤い俺をみて屏風がさらに言葉を続ける。

 

 「よく見たら豊穣も顔赤いね! なるほど昨日豊穣と何かあったわね! でもこれはエッチのじゃないわね! 豊穣の抱き枕にされたとかでしょ!」


 「なんでそれを! エスパーか!」


 屏風って何げに感がするどい。


 「やったー! 当たった当然次は私よね! さっさと抱き枕権を譲りなさい!」


 「なんだよ! 抱き枕権って!」


 「何って! 金緑を抱き枕にできてマーキングできる権利じゃない!」


 「なんでどや顔なんだ!」


 「いい……ですね……私……も……やって……欲しい……です」


 『ずるぞ! 屏風俺のやりてえ! ついでに子作りもセットで!』 


 「お前らな……」


 「だって仕方ないじゃない! 豊穣のニヤけ顔なんて初めて見たわ!」


 「まぁ確かに、こいつ普段表情そんなに変わらないからな」


 豊穣をチラリすると目が合ってそっぽを向いてしまう。

 口元がだらしくな緩んでいるのがばっちり確認できた。


 「そんなわけで再来週の親との挨拶の時、私の家に泊まってね!」


 「大丈夫なのか? 自分の娘が男を紹介して即日泊りって父親的に思うところあるだろ」


 「大丈夫よ! 貴方が紳士ならね! そういう話でお父さんと決着つけたから!」


 紳士なら?

 変な話になってなければいいが……だが屏風の性格的に何を言って無駄ろう。

 はぁ仕方ないな。


 「分かった分かった泊ればいいんだろ! 当然魚もそうなんだろ?」


 「もち……ろん……です」


 『当然だろ! 愚問ってやつだぜ!』


 「でもある程度加減してくれよ! こいつ朝になって、起きてからも放してくれかったし、危うく遅れるところだったぜ……」


 「そうなら私たちの負けていられないわ! 木下さんもでしょ!」


 「当然……です」


 『俺も負けてられねーな! 金緑を丸一日抱き枕にしてやるぜ!』


 「金緑を枕に布団の中で、今後の夫婦生活を語り明かさないといけないわね!」


 「皆さんおはようございます! どうしたのですか?」


 「豊穣……が……金緑……君……を……抱き枕……に……して……いた……話……です」


 「ほほうこれは未来の妻として聞き捨てならないですね!」


 「誰が妻よ! 金緑は屏風ちゃんの物なんだから!」


 「いえ……私……です」


 『こいつは俺もんだ! 渡さねーぜ!』


 またこれか、いつもとからぬ俺のヒロイン達の争いを傍観。

 言い争っても皆いい子だから結果的に仲良くしてくれるからいいが。

 すると右手に。


 「どうした豊穣?」


 「何でもないわよ……」


 『私もいつか皆みたいに素直に浅井君に好きって言えるかな……でも今はこれが精一杯』


 全くこいつは困った奴だ。

 俺は豊穣の手をぎゅっと握り返した。

 待ってるからなお前が正直になれる日を。

 

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