解決
「浅井……君……起きて……くだ……さい」
何だよ木下。
気持ちよく寝ているのに。
『起きろ! ゴラァ!』
「ダッフ!?」
気持ちのいいまどろみ中、突然腹に衝撃が走る。
驚いて目を開けると。
「木下か」
俺にのしかかる木下。
俺の体の上にダイブしてきたらしい。
随分と薄暗いがどこかの室内だろう。
「そう……で……す」
『ひさしぶりだな俺だぜ!』
「ひさしぶりだな木下、ってなんで俺の顔を掴む?」
グニグニと俺の顔いり出す木下。
頬を広げたり縮めたりしてくるが木下の手はすべすべで柔らかくて気持ちいい。
「偽者……かと……思い……まして」
『つーわけで答えろ俺はなんて言ってる?』
「答えろって言ってるだけじゃん! 質問なら要点を言え要点を!」
「本物……の……よう……ですね」
『変わっていないようで安心したぜ! 金緑』
「というわけだから説明よろしく」
「了解……で……す」
『そうだな教えてやろう!』
そうして事の顛末を教えてくれたのだが、改めて木下魚という人物が俺たちとは格が違うと思い知らされた。
移動のためのレンタカーの手配、装備の資金、九条院さんたちを脅すための証拠を集めるための伝手。作戦の立案制作。
ほとんど木下の功労だ。
計億近くかかったそうだが、流石の木下先生アニメ化キャッシュで一括。
億近く失ってもさらなる伝手を得て結果的にはプラスだそうだ。
このままだと木下に悪いので何かできる事はないかと聞くと木下は。
「そう……ですね……ここは」
『さてどうするかねぇ……』
「流石に俺の貞操をくれ! だとか私を孕ませてくれ! というはなしで」
「ええ……ええ……え」
『チッやっぱりダメか』
予想的中かい!
悪い気はしないがな。
「それ以外ならいいぞ、よっぽど滅茶苦茶ことじゃなければ」
「そう……ですか……では」
急にうつむいてもじもじし始める木下。
「なんだ木下?」
「私……の……事は……今日……から……魚……と……呼んで……くださ……い」
「そんな事でいいのか? 魚」
木下は口元緩めた。
いつもと同じく目元は前髪で見えないが喜んでいるようだ。
「うう……ふふ……ふ」
『やっぱり親密な男女は名前で呼ぶものだな!』
「そうか、喜んでくれてるならよかったぜ! ついでだから表のお前も俺を金緑って呼んだらどうだ?」
「いい……ですね……分かり……まし……た……金緑君」
「でいつまで魚は俺にのしかかってんだ? 第三者が見たら完全に夜這いかなんかだぞ?」
「残念……今……は……昼です……そして……ここ……は……私……の……寝室……です……邪魔者……はいま……せん」
『同じ部屋に想いあう男女が二人やる事と言ったら一つだろ!』
上着を脱ぎだす木下。
「ちょっとまて魚!」
「待て……ま……せん!」
さらにもう一枚脱いで上半身がブラジャーだけに、改めてみるとすごい迫力Gカップ行ってるんじゃないか。
木下はブラジャーに手をかけて。
ドキドキがとまらないだって俺も男のだもの。
鉄の意思でそういう感情を押しとどめてきたが、ここまで露骨だと俺だってどうにかなってしまいそうだ。
「「「ちょっとまった!」」」
暗い室内で扉が開き光が差し込んできた。
光をバックに見慣れた三人が。
「木下さん協定違反よ! そういうエッチいのは金緑が誰か一人選んでからの約束でしょ! 抜け駆けなんて私、屏風風花ちゃんが許さないわ!」
「ゲロ! やっぱりおとなしいふりして性欲の猛獣を飼っていたわね!」
「木下さんずるよいよ! 僕も入れて三人でしようよ!」
「邪魔……が……入り……ました……仕方……ない……ので……その日……まで……待ちます」
「花さんも久しぶり」
「む~心配したんだぞ! 僕の王子様!」
「何で泣いてるんですか花さん……」
涙を浮かべる花さんを見てそういう趣味はないはずだが、女の子に意地悪をする男の気持ちがなんとなく分かった。
女の人って泣いている時でも魅力的なんだな。
「そりゃうれし泣きに決まってるじゃないか! 君がいなくて豊穣ちゃんも影で泣きっぱなしだんだゾ!」
「ちょっと花さん」
「全く意地っ張りな子だね! まぁいいけど愛されてるねハレーム王君! 流石僕の想い人だよ二号候補の僕も鼻が高いよ!」
と花さん図々しいの潔いの分からない反応である。
本当に子供さえできればいいのいつもりらしい。
それから四人が何か騒ぎだしたが、いつもと変わらぬ日常に帰ってきたのだなと安心感が胸に灯る。
やっぱり平和が一番よく帰ってきてくれた俺の日常。
次の話で九条院がヒロイン枠に正式加入です




