脅し
その言葉に会場にはどよめきが湧き上がる。
木下は一体どんな手を使うのだろうか。
【この場の皆さんスマホもしくは携帯にたった今メールを送りました。それをご覧ください】
その木下のPCの言葉に周りの人間が懐を探り出し、画面を確認している。
そして次に皆顔が引きつった。
【これはこの場の皆様の日頃犯した罪をもみ消した証拠の一部飲酒運転から脱税ありとここ十年あらゆるものが揃っています、添付した画像は外の警備の人間の下半身の写真でです。もし今後我々に危害を加えようというならばこの全ての証拠と写真を世界三十ヵ国のネット上に即座にばら撒くすでに準備ができています】
その言葉に会場はざわめきすら消えて、水を打ったように静寂に包まれる。
会場の先程までにこやかだった来場者の顔色は悪い。
確かにこれなら流石木下だ。
真偽はともかく事件の証拠と称した物を世界ばら撒けば、九条院さんたちの評判とメンツは丸つぶれた。
下手したら破産である。
さらにそんなものを公開すれば写真をばら撒かれた警備の連中だって黙ってはいない。
これが国だったらクーデターでも起きかねないだろう。
【私達が要求するのはたった一つ私達に手出し一切無用! ただそれだけです。何かあり次第即座に証拠と写真を世界に公開します。皆様の賢明な判断をお願いします】
「ゲロ! そういう事よ!」
「なんでお前が誇らしげなんだよ……」
「全くさっきは素直だったのに全くもう!」
屏風は肩を竦ませる。
さっきてことは豊穣は屏風にまでも素直になれたってことか。
良かったじゃないか。
豊穣に視線をると目が合ってそっぽを向いてしまった。
その頬には薄っすら朱に染まっていたる。
【言っておきますが取引は一切しません。これだけは約束します。私たちに何もしなければ公開は決してしません。では失礼します。金緑さんを連れてきてください】
「以上です。反論は認めません。帰りましょ皆!」
花園さんがそういったが屏風が。
「あーちょっと待って」
屏風が俺に抱き付いてきた。
そして豊穣を手招きし耳打ち。
すると豊穣も俺に抱き付いてきた。
「どうした二人共?」
「これは私たちに心配をかけさせた罰よ!」
「ゲロ!」
「何だよだぁあああああああああ!?」
突然体がばちばちと痺れてさっきの豊穣が使った奴か?
何で俺にまで……今回なんの活躍をしなかった俺への罰だというのか……そんな理不尽を感じながら俺の意識は闇に落ちていった。




