勝利したのは
「これで詰みだな! いくらなんでも武器すら持たない足手まとい二人を連れて乗り込んでくたぁ、自惚れが過ぎるぜ!」
にらみをきらせ勝ち誇る男。
これだけ密着していればそう簡単に花園は手は出せないと踏んでいるからだ。
「まさか、U子の薬品を利用して死角を作るってそこにスタンググレネードをかぶせてくるとはね。大丈夫U子?」
「なんとか、後三十秒ほど回復にはかかります」
まともに閃光を至近距離で喰らったU子の目は暫く使いものにならない。
豊穣と屏風はとっさに目をつぶったため軽症だ。
「戦場はルール無用、卑怯とは言わないけど、屏風ちゃんに何かしたらただじゃ置かないわよ!」
「それはお前ら次第だな! やっぱり遊ぶなら若い姉ちゃんだろ!」
「豊穣あんたは先に行きなさい! こいつは私が片づけるから!」
ピンチにもかかわらず屏風が叫ぶ。
「お前状況わかってんのか?」
「分かった! 屏風ちゃん先にいくね!」
「全く妙な所で素直になって、普段からそうしなさいよ可愛いんだから」
「待て! それを俺が許すわけ――」
「あなた本当に足手まといの私たちが何の対策を取らないでここまで来たと思う?」
「へぇそうかい仮にお前が身につけているのが漫画みたいな極薄のパワードスーツだとしても、この距離ならお前を気絶させる程度は朝飯前だぜ? おじさんを舐めないでくれるかな!」
「パワードスーツ? 違うわねこれは――」
先に進む豊穣を後目に首に当てられたむき出しの男の右手を掴む屏風。
先ほど手袋を脱いだのは、スタンロッドに被せる事で空中で溶けた時、面積を広げ正面から見たU子の死角を作るためだ。
そしてその作戦は成功し、後はU子の目が回復する前に、屏風を盾に花園を排除するだけだ。
だが屏風が何をしているか男は見当がつかない。
彼女はとても落ち着いていてピンチの人間には見えない違和感が男に思考を巡らせる。
彼女の言葉を信じるなら右手を握りつぶすわけではないという。
ならばなんだ――。
なにものたず何ができるというのだ――。
ただの一般人の女子高生が――。
思考は順々するがここで手を離し、この優位な構図を手放すのはナンセンスだ。
この女が何をしかけてこようがたかがJK、傭兵として二十年前線に立ち続けた俺が、こんな見え見えのブラフに怖気づくなどあり得ない。
仮に何か仕掛けてきたしてその動作を見逃すほど俺は落ちぶれていないのだ。
そう結論しよりいっそう屏風の首にかける腕の力を強めた。
「そんなブラフに引っかかるかよ! こいつの綺麗な顔を傷ものにしてほしくないなら、獲物を捨てな!」
「流石木下さんね。本当に言った通りの展開があったわ!」
「何を言ってやがる! っががががががががが!」
屏風の着ているライダーシーツから火花が走り、屏風が掴んだむき出しの右手より伝わり奇声を上げる男。
男は痙攣して屏風の首から手を離す。
「ハイ終わり! 貴方の敗因は恋する乙女を舐めすぎたせいね!」
多分お気づきでしょうが豊穣と屏風の身につけているモノは、電気が出ます。
そんなもないダると思える極薄のライダースーツですでたった二回しかでませんが。




