二つ名
「次行くわよ! ついてきて二人共!」
花園の先導でさらに先に進む。
四人の侵入に気気付き屈強な男たちが、施設を進むたび四人の前に立ちはだかるが、U子の水鉄砲の効果は凄まじく本物銃らしき物でさえ数秒で融解、当然股間を狙う事は忘れていない。
それに続く花園の射出タイプのスタンガンによって次々に下半身を露わに地に伏していく。
そしてそれをU子がパシャパシャとカメラ撮影。
これは総勢五十人におよぶ警備の人間は弱いわけではない。
ABCの3ランクで強さを言えば彼らギリギリAランクに相当する。
しかし、それは集団での話であり単騎にAランク上位の凄腕である花園とU子の二人の連携の前ではこの程度の数とレベルの集団では相手にならないのだ。
「ついに来たわね! 私達の得た情報だとここをまがった先が目的地よ! 覚悟はいい?」
「ゲロ! もちろんよ! とんだイージーゲームだったわね!」
「確かにそうね。完全に私達いらないんじゃ……」
「何ってるのよ! 姫を救うのが王子様の役割なように、王子様の境地を救うのもまたお姫様の役割よ! 私たちは物理的には救うだけ、精神的に救うのは貴方達の仕事よ!」
「一杯撮れた! これで暫くはぐふふふふ」
U子はさらにぐふふふと怪しげな笑みを浮かべる。
沢山の局部の写真が取れてご満悦の様子だ。
それをU子が何に使うかは性癖がそっちの意味で腐っていなければ知らなくてもいいだろう。
「この先から猛者の気配がするわ! 二人共いざという時はわかってるわね? じゃあ行くわよ!」
そして通路を四人は飛び出した。
大きな白塗りの扉の前に男が一人。
「これまたまさか伝説の傭兵コンビ戦慄の変態奇女と暴風の鬼女とはこりゃ雑魚は相手にならんわな」
そこにいたのは一人の中年男性。
歳は三十後半から四十前半といった所。
短髪に無精ひげ、迷彩柄の服装を身にまとい。
使い込まれた筋肉の盛り上がりと厳つい顔に刻まれた無数の傷と対峙した者が感じる異様な圧力は彼の実力を指し示していた。
「俺の部下はもういない。月並みなセリフだがここを通りたかったら俺をうぉ!?」
突然の液体の発射を間一髪交わす。
液体は地面当たりドロドロになって穴が開いた。
「チッ! 外したわ!」
「てめえ! 俺のセリフぐらい真面目に聞け! 噂道理話を聞かない奴だな!」
「問答は無用よ! 金緑君は先生の元に返してもらうわ!」
花園が息巻く。
「そういえばそいう名前だったな響お嬢様の結婚相手、だが悪いが俺も仕事なんで俺を倒してからうっお!」
再度の液体の投射下半身を狙ってだ。
「また外したわ!」
「てめえ! いい加減にしろ! 口上ぐらいさせやがれ! あーもうめんどくせえ細かい事は抜きだ! 二人まとめてかかってこい!」
「私達の二つ名を知っておじけつかないなんて、腕に自信があるようね!」
花園の問に男は答えない。
ここで応えればU子は再度狙ってきただろう。
その気持ちを締めた立ち振る舞いから隙は無い。
「いくわよ! U子!」
「ええ花園先輩! この人のアレ大きそうだから、写真の撮りがいがありそうね!」




