うっぷんばらし
突然の乱入から少し時は遡って。
「ついたわ準備はいい?」
目的地についた四人。
花園は者車中の三人に声をかける。
現在地は披露宴の行われる九条院家所有の郊外にあるとある建物。
その広大な面積を誇る施設の入り口を守る高い門は固く締められ、屈強な門番の姿が二人見える。
門の前は公道となっており、この事に関与していない人々の日常が隣接している。
花園が車を止めたのは門から少し離れた歩行者道。
門番に目視されているのであまり長いは出来ない。
「ゲロもちろんよ! 花園さん!」
「当然私の金緑を絶対奪還するんだから」
「はぁはぁ、久しぶりに思うがままやっていいのね? 花園先輩!」
「ええもちろんよ! 殺さない程度ならね。まぁ貴方にやられたら社会的には死んだも同然だけど……」
「花園さんU子さんの武器その水鉄砲で大丈夫なんですか?」
そういって屏風はU子に視線を向けた。
U子の手にあるのは一万円でも出せば二、三個も買えそうなデザインの本格的な水鉄砲に見える。
背中には水鉄砲とホースで違った消火器ほどの大きさボトルの姿。
「大丈夫よ屏風ちゃん貴方たち二人は私たちが絶対守るから、U子のそれも結構強力な道具なのよ。U子の才能の異次元の無駄遣いの結晶なんだから」
「これで男性をむふふふ、カメラ、カメラっと」
不気味な笑みを浮かべるU子にたじろぐ屏風。
一方の豊穣は至って冷静だ。
今の彼女は金緑の事しか考えていない。
恋は盲目というし、恋する乙女に無粋な言葉など無用なのかもしれない。
「じゃあ作戦を開始するわよ!」
「ヒャッハーーーーー!」
開幕U子がいきなり車から飛び出した。
「全くもう! 二人は私達と離れすぎないでついてきて!」
花園は急いで迷彩柄のリュックを背負いU子の後を追う。
「なんだこの女!?」
「ヒャッフーーーーー!」
U子は手の水鉄砲のトリガーを二回引く。
勢いよく放たれた液体はU子の狙い道理の箇所へ。
――二人の股間にである。
「何だこいつ! いきなり水ぶっかけやがって」
「てっかお前、下半身が……」
「下半身? そりゃな水ぶっかけられたからって!?」
門番の一人が己の下半身に視線を向けた。
「服が溶けてる!?」
門番は顔を歪ませとっさにU子に怒りを込めた視線を向ける。
羞恥より怒りを優先したためフル○○を隠してもいない。
「この尼何しやがったっがががががが」
「相棒! てめぇなぎぎぎぎぎぎぎ」
「はい一丁上がり、二人共来て頂戴、私達と離れすぎないように」
「花園さん一体なにをしたんですか?」
「何ってU子の薬品で服を溶かして、気をそらしたすきに、針を発射すタイプのスタンガンで気絶させたの、ちなみに二百発分用意したから弾切れの心配は無しよ」
「それでこのありさまと」
倒れた下半身むき出しの二人を仰向けにし、パシャパシャと一心不乱にカメラをとるU子、まさに才能の異次元の無駄遣いである。
「じゃあ次はこの門の金具頼むわねU子。この先は男の人が沢山いるホットスポットよ」
「分かりました! 花園先輩! 宴の始まりですね!」
「そうよ貴方の薬品は生き物は溶かせないんだから思う存分やりなさい! 尻ぬぐいは私がやるわ!」
「イエーーーーイ」そうハイテンションで叫びながら薬品を水鉄砲より放つU子。
日頃の溜まりに溜まった鬱憤を晴らしてるためか徹夜明け三日のように輪をかけておかしなテンションである。
かけられた薬品は瞬く間に門の金具を溶かす。
そんなとんでもない薬品ではあるが当然U子水鉄砲は特別製溶ける事はない。
そのU子の無駄に天才的な知識と才覚は有効利用すれば、人類の進歩を数段は軽く進めてであろうが、本人にその気がこれっぽちもはないのは言うまでもない。
轟音をと砂埃を立て門が倒れた。
「二人共ここから先は大惨事よ。金緑君を助けるためにこれから起こる酷い光景には目をつぶって頂戴」
「ゲロ! 了解よ!」
「一つ聞きたいんですが、U子さんが取ってる写真何に使うんですか?」
「そりゃもちろん個人使用よ! このどれかが可愛い男の子の穴という穴に入る――」
「ほら行くわよ! U子とにかく写真は顔つきでたくさん撮りなさい! 木下先生の作戦の為よ」
語り出したU子に割り込み強引に会話を終われせる。
どうせ語らせたところで実のある話ではない。




