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俺の毒舌幼なじみの心の声が甘々の件について  作者: 師失人 
その三~フルフェイスの転校生~
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くれぐれも

「なるほど了解いたしました」



 【響お嬢様への報告はいかがしましょう?】


 薄暗い深夜の廊下。

 ここは九条院宅。

 金緑が囚われている場所である。

 ひげを蓄えたスーツ姿の老紳士はスマホに言葉を放つ。

 

 「それは結構です。響お嬢様は今回の件を深く気に病んでいるご様子。下手に伝えてしまうと思わぬ行動に出るやもしれません」


 【しかしこれを作った人間は一体何者ですかね? 明らかに素人ではありませんよ】


 「おそらく木下魚の仕業でしょう。ただの漫画家ではないようですね」


 【しかしよろしいのでしょうか? お嬢様は木下魚――ウッドフッシュの大ファンですよね?】


 「確かにそうですが、そのような相手の想い人奪い取るなど、心優しい響お嬢様にとては大きな負担でしょう」


 【なるほど確かにそうですね。しかし、きますかね?】


 「それは分かりませんが女性が執念深いのは古今東西の物語で幾度も語られるところです。おそらく何か仕掛けてくるではないのでしょうか」


 【たかが漫画家と女子高生ですよね?】


 「そのとうりですが、このネクタイピンに使われている技術はそれを遥かに超えています」


 【それは同意しますね。三十分おきに数秒だけ起動して信号を発信し停止、居場所を伝える機能があるとは私も驚きましたよ】


 「本来なら金緑殿を見つからない移動させるのがセオリーですが、そうすると響お嬢様が気づく可能性ありますので、二日後の披露宴までくれぐれもお願いしますよ?」


 【了解しました。来たとしてもJKと一戦交わせるなんて役得ですよ】

 

 「くれぐれも彼女らには危害を加えぬようにお願いします」


 【へいへい善処しますよ。響お嬢様のご要望ですから】


 「頼みますよ。貴方は当家の警備主任なのですから」


 【任せてください、たかがJKにのされるほど腕は鈍ってはいません】


 「くれぐれも用心を特に木下魚には、注意をお願いします」


 【分かっていますよ。彼女さえ取り押さえればいいだけですから】


 「それだけで済めばいいのですが……」


 【何か懸念でも?】


 「木下魚の関係者の多くが素性のしれない者達ですからね……どんな行動をしてくるのか予想が出来ません」


 【我々の情報網ですら素性がわれない者が多くいるとか……マジで、木下魚漫画家なんですかね?】


 「社会的地位ではそうですね」


 【まあまかせてください。二日後の結婚披露宴は私も楽しみにしていますから、しかし結婚披露宴と気が早い気が、まだ法的には結婚は無理ですよね?】


 「それほどまでに、九条院家の栄華に陰りが見え始めた事を危惧する者が多いという事です」


 【確かに昔はよかったってよく聞きますよ。これで当家は安心ですね】


 「それは披露宴が終わってからです。くれぐれもぬからない様に」


 【了解しました。用事が残っていますのでこれで失礼します】


 相手側が通話を切った事を確認し、スマホを弄り新たな相手に電話を掛ける老紳士。


 「金緑殿の精密検査の結果についてですが」


 そうして一日は終わっていく。

 二人の結婚披露宴まであと二日。

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