コンパクトにされるってマジ?
それから二十時間以上たった。
でもそれは俺が気がついてからの話で、どれだけの時間気を失っていたのかが分からないので、あれからどれだけの時間が過ぎたのか詳しくわからない。
俺が監禁されている部屋は時計と水洗トイレ冷蔵庫が完備されていて、鎖はその範囲に届く長さなので、快適という程ではないが衣食住が揃い人としての尊厳は守られている――のか?
俺の頼みの綱は左手に握りしめた木下特製のネクタイピンのみ、少し前にメイドさん服を脱がそうとされたので自分で脱ぐと言ってそのすきに左手に避難させた。
握っていてわかったが三十分おきに細かく動いているようだ。
それから血液と唾液を採取された。
よくわからないが俺が病気もちか調べたのだろう。
俺を採血をした白コートのいかにも医者といった様子の妙齢な女性によると精密検査は後日だそうだ。
制服の代わりに着せられたのは入院着はそのためだろう。
その時まで左手の最後の希望は死守だ。
精密検査なんぞされたら即取り上げられてしまう。
木下を信じていないわけではないが、ここからどうやって俺を救出するのかさっぱりわからない。
三食の食事は九条院さんと一緒に食べさせられ、ほとんど九条院さんの手作り完全に新婚状態である。
食事は美味しいけど気になるのはアイツら事だ、手作り料理を女性に振舞われて、そんなことを考えるのは失礼なのかもしれないがアイツらにとって俺が必要なのは重々承知なのだ。
特豊穣、俺がいないとどんなトラブルを起こすかわからない。
木下がいるので何とかフォローしてくれているだろうが心配だ。
そんなことを考えていると部屋のドアが開いた。
「大丈夫ですか金緑さん……」
九条院さんの表情は暗い。
かなり気に病んでいるようだ。
「まあなんとか……」
「本当にごめんなさい金緑さん私のせいで……」
「いいよ気にしてないし、アイツらが何とかしてくれるだろうし」
「それは難しいかと九条院一族は様々な業界にコネを持ています。それを敵に回すことは……」
「それでも俺はあいつらを信じてる。なんせアイツらの中から一番を選ぶって約束したからな」
「ほんとにあの方たちを好いているのですね」
「まあな。いつまでも一緒にいたい女の子たちだからな」
「それには私は……愚問でしたね……」
「俺的には九条院さんも大事な友達だからずっと一緒にいたいけど」
「友達ですか……やはり私は豊穣さんたちには勝てないのですね……」
その言葉に俺は言葉を飲み込む。
これ以上下手な事をいって九条院さんに希望を持たせるのは酷ってものだろう。
九条院さんはまだ友達の関係でしかないのだから。
「九条院さん俺が最後まで九条院さんをこばんだら俺はどうなるの?」
「大変いい難いのですが、私が運べる程に金緑さんの体を……」
つまり俺がぎりぎり生きているレベルにコンパクトにされると、なにそれ滅茶苦茶怖い。
「ですから表向きだけでいいですので従順な振りをお願います……」
仕方ないな、そんな姿にされたらアイツらと永遠に会えなくなってしまう。
可能性を意地で潰すのは馬鹿がする事だ。
俺は約束を守らないといけない。
「分かったよ……」
そう力なく答えた。




