答え
その言葉に俺は一瞬息が詰まる。
俺は一呼吸して覚悟を決めた。
このままずるずると答えを先延ばしにするのは、九条院さんの俺に向ける好意に対する返答としては駄目だ。
ゆっくりと口を開いた。
「ごめん……九条院さん」
その言葉に九条院さんの目から涙がポロポロと溢れ出す。
俺は三人と交わした約束を取ったのだ。
無論九条院さんの魅力がアイツらに劣ってなどはいない。
だが、俺はアイツらと出会って約束したのだ。
今更約束を違える気もない。
「分かっていました……貴方がそうおっしゃることは、だからこそ私は貴方を好きになったのです。いつも優しい貴方を……」
やっぱりこういうのは柄じゃないな。
俺は予想以上に女の子の涙に弱いらしい。
思わず目をそらし下方へ視線を向けた。
「ごめんなさい……」
何故か謝る九条院さんに驚いて下方に向けていた視線を正面に戻す。
「本当にごめんなさい……これから起こる事は私の意思では決して……」
「何の話? よく意味が分からないだろけど……」
「ごめんさい言えないです……言ったとしてもそれを防ぐ手段が……一族の総意では私には覆しようがないのです……」
? さらに分からなくなる。
防ぐ手段がない?
一族の総意?
一体なんの話だ?
「でも安心てください……私は金緑さんを全身全霊で愛します……絶対に幸せにします……だから私を恨んでもいいです……私達の愚かな行動に対しての当然の報いですから……」
何かさっぱりわからないが随分と深刻なようだ。
俺が何かされるのは豊穣で慣れているが、九条院さんは慣れていないのだろう。
フォロー入れておくか。
「何かは分からないけど。直接九条院さんの手でやるわけでもないなら、俺は九条院さんを恨まないよ。安心して」
さらに九条院さんの涙は零れ落ちる雫の数を回し、九条院さんが俺に抱き付いて。
「金緑さんありがとうございます……絶対幸せにしてみせます……先に帰らせていただきます……また後ほど会いましょう」
涙をぬぐい九条院さんはふらふらと力なく歩き出す。
何故か声をかけられず、よくわからないけど、お礼を言われたので九条院さんの何かためになったのだろうと思う事にして、去り行く九条院さんの背中を俺は見つめていた。
そろそろ金緑を拉致ります




