予兆
「また別にいいけど、放課後だね」
「よろしくお願いします」
「ゲロ! 性懲りもなく全く困ったメット野郎ね!」
「すいません……豊穣さん」
む? 九条院さんらしくないないつもならスルーするのに。
「また変な事じゃないでしょうね! 九条院さん私の金緑なんだからね!」
「私……の……です……屏風……さん……でも……同意見……で……す」
「すいません今回はそういう事柄です」
「なによそれ! まあいいわこの金緑が私たちの約束を破るわけないモノねー金緑」
まぁそうだけど。
九条院さんは一体俺に何を言う気なんだ?
「では放課後よろしくお願いします」
そういってヘルメットを頭につけて先に行ってしまった。
やっぱりおかしい気がするいつもなら一緒に登校するのに。
それとも俺の自意識過剰すぎなのか?
「ゲロ! メット野郎変ね!」
「確か……に……そう……です……ね」
「確かに悩みでもあるのかしら、出番よ金緑」
「なんで俺が」
「何って女の子はできれば好意を持っている異性に悩みを打ち明けたい物なの」
「そういうものか?」
「そりゃそうよ! 好きな相手が悩みを解決最高じゃない! 好きという気持ちがワンランクアップよ!」
「お前は九条院さんに俺を取られたくないんじゃないのか?」
「そうだけど、好きな相手が同じ仲間だしね! いい女はそんな小さなことは気にしないの!」
「私……も……浅井……君……なら……出来る……気……が……しま……す」
「ゲロそうね!」
『そうだね。木下さん浅井君ならきっとできるよ!』
「そうかじゃあ頑張ってみるよ」
その時はそうは言ったものの、九条院さんの事情はかなり込み合っていたのを当時の俺は知る由もなかった。
まさかそこまで強硬手段を使ってくるとは……。




