親子二代
「ごめんね。家の花が」
「分かってくれるならそれでいいですよ……」
あれからおばさんは動揺こそはしたが、俺の顔見て花さんにげんこつ一発。
もうダメかと思ったが俺の顔を見て大体の状況を理解してくれたようだ。
その後おばさんに説教をされた花さんは俺ので座り涙目でうつむいている。
ちなみに裸エプロン猫耳尻尾付きのままだ。
何故か俺の手を執拗に握ろうとするが、右に左に交わす。
おばさんは変わっていないな相変わらず花さんと顔立ちがそっくりだ。
中々の年のはずだがふけているように見えない。
「あんたねえ……いくらお見合いが嫌だからってもっとましな方法あるでしょ?」
「仕方ないんだ! 僕にぴったりな異性と考えると金緑君しかいなくて!」
「だからってねえ! 金緑君に迷惑かけるんじゃないわよ!」
「だってここまですればいくら母さんでも思ったんだよ!」
「あんたねえ自分の立場考えなさいよ! 教師の立場で自分の学校の生徒となんて……せめて卒業してからにしなさい!」
うん? なんか変な流れになってる気が……
「確かに金緑君は凄くかっこよくなってるから気持ちはわかるけど、そういうのは合意の上でしなさい! いいわね! 仕方ないから見合いは白紙ね!」
「母さん! 僕と金緑君との関係を認めてくれるの?」
「もちろんよ! ただし学校卒業までそういうの我慢しなさい」
「ちょっとおばさんなんで?」
「なんでって昔から貴方がいい子だって知ってるし、この子もこんなに懐いてるし相手として最高じゃない! 確か金緑君お掃除とお料理できたわよね?」
「そうなんだよ! 金緑君は僕に足りない物を補ってくれるのさ! 一緒にいて楽しい顔だっていいからね!」
「そう、じゃあそうなるように頑張りなさい花」
あれ……完全に外堀が急速に埋まられている気が……
「そう頑張りなさい! 子供は早めにね? 初孫が楽しみだわ!」
「ちょっと二人とも――」
「ちょっと待った! 金緑の子供を最初に産むのは私! 美少女JK屏風風花ちゃんなんだから!」
そういって屏風が乱入してきた。
外堀が埋まり掛けていたので助かったといえば助かったがこれは荒れそうだ。
「花この可愛い子は?」
「僕の二つ隣のクラスの屏風ちゃんさ! 簡単に言えば僕のライバルの一人だよ」
「私……も……います……浅井……君……は……私……の……物……です」
「ゲロ! 私もよ!」
「違います! 金緑さんの正妻は私です!」
続いて豊穣、木下、九条院さんが乱入してきた。
「この三人もライバルさ! 僕の夫はモテモテだろ母さん?」
「豊穣ちゃんも大きくなって凄く綺麗になったわね。そこの三人もみんな美人だし、モテモテね金緑君。花、母さん的は孫が見れればそれでいいから頑張りなさい! 金緑君も花を一番に選ばなくても愛してあげてね!」
どうやら花さん親子は二代にわたってハレーム肯定派らしい。
「ハーレムなんて許しません! 金緑さんは九条院家に婿養子に入るんです!」
「違うわよ! 家の会社を継いでもらうんだから!」
「違い……ます……私……の……専業……主夫……で……す」
「ゲロ! 糞虫を生涯飼育するのは私よ!」
「すいません! 俺の意見は?」
「「「「「嫌なの」」」」」
有無を言わせない気の五人。
悪い気はしないけど。
選択肢は……はいないです。
どこまでいってもこいつらとの縁は切れない気がする。
それでも一番は選んでやらないとな。
これは一種のけじめ。
優先順位という名の俺の気持ちだ
俺は誰が一番好きなんだろうか?
誰かを選んで他の奴らを傷つけたとしても一番は一人だ。
これは変わらない。
こいつらはどう思っているのだろうか?
俺が誰かを選ぶというのはこの関係が終わりかねなこととだ。
こいつらはこいつらで何かいろいろと考えているのかもしれないな。
そんな事を考えつつお互いに主張しあう五人を眺めていた。




