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俺の毒舌幼なじみの心の声が甘々の件について  作者: 師失人 
その一~毒舌幼なじみと俺たちの日常~
4/144

0003デートをしよう!

『浅井君、こういうものは普通二人きりじゃないかな』


 今日の豊穣の心の声はやけに不機嫌だ。

 それも仕方ない事で、あのシュチレーションじゃあ二人きりと勘違いしない方が少数派だろう。


 これは木下の指示に従ったまでの事だ。

 木下に指示された時は、豊穣が乗ってくるとは思えなかったが、案外乗り気で驚いた。

 心の声も狂喜乱舞してだだ甘だったし、しかし、当日現れた別人のように粧し込んだ木下を見て二人きりではないと気づき心の声は大幅にテンションダウン。


 気のせいかもしれないが豊穣のすました顔が残念そうにしている気がする。

 なんでも3人でデートをする事によって豊穣をヤキモキさせて、その反応を知りたいらしい。

 できればデート中スマホで豊穣の子事の声を実況してくれと木下は無茶な事を言っていたが、さすがに断った。


 デート中にスマホずっといじくってるって印象最悪だし。


 「でっきたわけだが、こりゃ一体どういうことだ……」


 俺たち3人がきたDランドにはツナギをきた着ぐるみで溢れ返っていた。





 「知らないの糞虫、ここDランドは今、中二魔道機械戦士プリティプリベルとコラボ中なのよ! 凄いわ! テレビシリーズ第二期26話『ツナギ塗れ』そのものね!」


 「ちなみにその内容はなんだよ!」


 「何ってツナギウィルスの回ね!」


 「なんだその怪しさMaxのウィルスは!」


 「ツナギウィルスはツナギウィルスよ! 感染するとツナギ姿になるのよ!」


 「なるほど、それで人を襲って感染拡大と」


 「何を言っているの? 感染者は人は襲わないわよ」


 はぁ?

 ゾンビ映画よろしく。

 こういうものは感染者が健常者を襲って感染者を増やしてなんぼだろ。

 

 「じゃあどうやって感染するんだよ!」


 「もちろん空気感染よ! 一人の感染者がいればあと五十人は近くに感染者がいるレベルよ!」


 「そのウィルスゴキブリか!」


 「それに近いわね。そしてツナギウィルスは僅か十日で世界の人口の半分の感染者を出したのよ!」


 「人類終わった!」


 「そして、それから十日後、全世界の人類がツナギウィルスに感染し全世界にツナギが溢れたのよ!」


 「ツナギで世界が滅びるってなんだよそれ……」


 「何を言ってるの? 滅びたらシリーズ完結じゃない」


 「はぁ? 全世界の人類がツナギウィルスに感染したんだろ? それで人類が滅びたってネタじゃ……」


 「ツナギウィルスに毒性はないわよ」


 意味が分からない。

 無毒なウィルスが世界を覆ってアニメ的にどんな意味があるのか。

 それでどんな客層を狙っているのか。

 謎しかねーよ。


 「ツナギウィルスは感染しても人体に影響は全くないわ。ただ、身にまとう衣服がツナギに瞬時に変化するの! 男も女も子供の老人も皆ツナギ姿よ! 大きいお友達からセクシー回と呼ばれるポロリシーンもあるのよ!」


 「ちなみに何のポロリだ」


 「もちろん、主人公たけしのち〇毛よ!」


 「予想外すぎるわ! 映しちゃダメだろ!」


 「何を言ってるの? 五秒後にはガラスの落書きだと判明する妄想を掻き立てる系のポロリよ! 言うならば疑似ポロリね!」


 「つか、誰が喜ぶんだ! やっぱりベンチのいい男か!」


 「違うわよ! たけしのち〇毛ポロに興奮する大きいお友達たちはノンケよ! ただ、男の子に興味深々なだけ!」


 「完全に予備軍じゃねーか!」


 「その大きいお友達は、いつか810バーをかねているという、有名な公衆トイレにいつか行きたいらしいわね!」


 「完全に末期のガチじゃねーか!」


 「そして世界の人々は知るのよ! ツナギの素晴らしさを! 中二魔道機械戦士プリティプリベル屈指の感動回ね!」


 「オイ待て! お前の説明で感動の要素欠片もねーぞ!」 


 「それは、あれよ! ツナギの妖精ジャスミンが……これ以上は言えないわね!」


 「誰だよ! ジャスミンって! つか、ツナギの妖精ってなんだ!」


 「分かってないわね! 糞虫! たかしのツナギには三人の妖精が宿っているのよ! 脳内妖精だけど!」


 「完全に、たけし病気じゃねーか!」


 「何を言ってるの? ツナギの妖精ジャスミンの機転によって、日本は核攻撃を免れたのよ! ツナギウィルスが無毒であると知らないゆえの悲しい行き違いね!」


 「脳内妖精なのにジャスミンスゲー!」


 「それも仕方ないのよ! ツナギウィルスの開発者は何を隠そう主人公たけし、冒頭シーンの爆発事故から全てが始まりのよ!」


 「元凶たけしかい! 何考えてんだ!」


 「仕方ないのよ! ツナギウィルスの開発はツナラーの長年の悲願、たけしが開発途中の毒性の強いウィルスを無害なウィルスに変質させなかったら、きっとありきたりなゾンビ映画的な展開で世界はツナギによって血に染まっていたわね!」


 「何気に事故起こさなかったら偉業じゃねーか!」


 「そのとうりよ! 初期のツナギウィルスは感染するとまるで大きい物を無理やりぶち込んだように、お尻の穴から血が出てしまう。恐ろしいウィルスだったんだから!」


 「結局あの人に繋げるんかい! 血が染まるのそこかよ!」


 「そして、ツナギウィルスのワクチンが開発されて、世界からツナギウィルスは根絶されたの! その日からツナギはメジャーな衣服として世界に広まったのよ! 多くの人々にツナギウィルスがツナギの素晴らしさを身を持て体験させたことが大きいわね!」


 「一体何なんだよ! 中二魔道機械戦士プリティプリベル!」


 「そろ……そ……ろ……行き……ま……しょ……浅井……君……豊穣……さん」


 『二人の漫才は堪能したから早いとこアトラクション行こうぜ! 二人とも!』


 木下の声で我に返る。

 中二魔道機械戦士プリティプリベルのネタはツッコミどころが多すぎるせいかついツッコミ過ぎてしまう。

 

 「そうな行きましょう。糞虫! 雌ブタ一号!」


 『そうだね。木下さん。浅井君と話すのも楽しいけど。遊園地も楽しまないと』


 豊穣はご満悦なようだが、その気遣い表面に少しばかり出していただけませんかね?


 「どうしたの糞虫」


 『私、浅井君に本当の気持ちをぶつけれられないからって酷い事言い過ぎたかな……』


 「……なんでもない。どれから乗る?」


 「なら当然、あれね!」


 豊穣は開け放たれたツナギの股間部分を指さした。


 なんだよあれ、気づかなかったけど凄い装飾だな。

 地面のコンクリートと建物にツナギの絵が描かれておりアトラクション入り口は丁度、開け放たれた股間部分になっている。

 趣味が悪いってレベルじゃねーぞ。


 「イキましょう糞虫!」


 「ナニがイキだよ! 聞き方によってはアウトじゃねーか!」


 「ナニってナニの入り口から入るんだから、仕方ないじゃない!」


 お前なあ。完全に白のブラウスの黒のスカートというこじゃれた格好だから少しはおとなしくするか思ったが、変わらず平常運転じゃねーか!


 『金緑聞こえるか! 俺だ俺! こっちみろ!』


 木下の方へ顔を向けた。

 そういえば服装はこの前コンビニの時と同じだな。

 もう少し粧し込むのかと思ったが少し残念。


 『おっ! これが聞こえたってことか! 金緑よく聞けこの声はどうやら一定量の伝えたいって気持ちで聞こえるらしい! 後で豊穣の心の声のレポート期待してるぜ! 以上!』

 

 『ツッコミの途中でどうしたんだろう……浅井君。ちょっとアトラクション卑猥な選択だったかな……調子のちゃったかな……』


 『金緑、豊穣に構ってやれ、いやこれは俺の相手をしている方が正解か、悩むぜ!』


 木下お前……まあいいか。


 「まぁ行くだけ行ってみるか二人とも」


 

 そのアトラクションは入り口は卑猥な物だが、中々混んでいた。

 パンフレット見ると、このアトラクションはジョットコースターらしいが、どんなネタで来るのだろうか。


 「さすがね。原作ファン納得という評便は確かね!」


 「評判な。あえて間違えたかは聞かんが、でこの悪趣味な入り口の装飾は何を表してるんだ!」


 「オープニングよ! ツナギの股間が開く所からオープニングが始まるのよ!」


 「最低だな!」


 「だからこそ多くの人を惹きつけるのよ! 意味深で結局意味が分からないナレーションがいい味出してるの!」


 「どんなナレーシュンだよ!」


 「有名なのは第一話『ツナギは母の泉、だからこそ人はツナギとなる』ね!」


 「訳が分からんわ! 結局意味が分からないで終わるってネタだろ!」


 「ご明察よ! 糞虫! この意味を知るの監督だけよ!」

 

 「その監督とっちめてやろうか!」


 「だめよ! 監督は千人突きを達成したという猛者なんだから! 貴方なんてすぐ食べられてしまうわ!」


 「元凶の監督はそっち系の人か! 納得したわ!」


 「女の人も行ける両刀だそうよ!」


 「どっちにせよ! 変態じゃねーか!」


 「だめよ! 糞虫! そっちん系の人を偏見で見ちゃ! 

中二魔道機械戦士プリティプリベルの監督は0歳児から男女両性具有問わず120歳まで守備範囲なんだから! 監督の心の広さを見ならないなさい!」


 「ただの究極の節操なしじゃねーか! 両性具有なんてマニアックすぎるわ!」


 「お静かにお願いします」


 係員に怒られてしまった。

 豊穣に小声で忠告する


 「豊穣アトラクションないだと俺ツッコめないからな静かにしてけよ」


 「ゲロ仕方ないわね。糞虫」


 『こりゃレポート必見の箇所だな楽しみ! これでどうだ!』


 『!?』


 豊穣の驚きだけは伝わった。

 木下は俺から右片腕を抱き寄せ豊満な胸を押し当ててくる。

 この感触はやばい。

 やんわりと振りほどこうとするが。


 『我慢しろ金緑! 豊穣を見とけ!』


 『あっずるい! 木下さん! 私だって!』


 まさかやる気か、豊穣をチラリとみると豊穣はガチガチに固まっていた。

 無表情なので分かりにくいが。


 『私だって、でも恥ずかしいよ! 大好きな浅井君と腕組みなんて! 木下さんって見かけによらず大胆だな……私もそれぐらいの勇気があれば、浅井君に大好きって言えるのに……』


 助け舟を出すか、なんだかんだ言っても豊穣に甘いな俺も。

 

 「豊穣お前も腕組みするか、片側だけされているとむず痒いんだが」


 我ながら、こっぱずかしいセリフである。


 「糞虫がそういうなら仕方ないわね」


 豊穣はその言葉に乗って腕を絡ませた。

 感触的には胸がある分、木下の方が上である。


 『あわわ、これが浅井君の腕、女の子みたいに柔らかくなくて固いけどなんだか安心するな』


 『よし! この時、豊穣が何を考えていたか楽しみだぜ!』


 「次、俺たちみたいだぜ」


 コースターは一列二人乗りで、ツナギの姿が描かれている事を除けはいたって普通に見える。

 木下をチラリ。

 指示を出しかもしれないからだ。


 「二人……が……前で……いい……で……す」


 『ここは様子見だな』


 「それでいいか豊穣」


 「糞虫の隣なんてゲロ最悪だけど、仕方ないわね」


 『やった! 木下さんありがとう! 大好きな浅井君の隣えへへ』


「ゲロ気持ち悪いわね……」


 豊穣はいつもと変わらず毒吐いている――ように見えるが、本当に吐きそうな青い顔をしていた。


 「お前、ジェットコースター苦手なら先に言えよ……」


 ジェットコースターはツナギの絵が描かれているだけでいたって普通だったが、豊穣はこのありさまだ。

 絶叫こそはしなかったが、心の声では叫びまくっていた。


 木下は気を利かせて、飲み物を買いに行っている。

 吐きそうなときに飲み物を進めるのはあれだが、少量なら気分点転換ぐらいにはなるだろう。


 「以外だな。お前こういのの好きそうなのに」


 「だ……大好きよ! ただ今日は調子悪いだけ……」


 『大好きな浅井君と一緒なら大丈夫だと思ったんだけどな……』


 「背中でも擦ってやろうか?」


 『!?』


 「いらないわよ! 糞虫の汚らわしい手で擦られるなんて使用済み便器ブラシで、擦られた方がましね」


 『あううう、何で断ちゃたんだろ、せっかく浅井君の体と触れられるチャンスを、私のバカバカ!』


 何というか難儀な奴だ。

 これが本当に豊穣の心の声かは今はわからないが、ちょっと実験だ。


 「何をしてんのよ!」


 「何って背中をさすってんだよ。心配するな昨日洗ってまだ一度も使ってないハンカチを手に巻いてる」


 『あううう、気持ちいいよ。大好きな人の手ってなんでこんなに暖かいんだろ』


 背中を撫でいるあいだ豊穣は凄い静かだった。

 怒らないところをみると撫でられるのは嫌ではないらしい。

 ――本当に心の声ぽいな。

 普段とのギャップがありすぎて未だ半信半疑だが。


 「戻り……ま……し……た」


 『戻ったぜ!』


 「おう、悪い木下、早速で悪いがジュース貸してくれ」


 俺は木下からツナギ姿の男が描かれたジュースの入ったカップを受け取り、豊穣の口元にストローを向ける。


 『できれば口移しで飲ませてほしいな』


 その言葉に一瞬動きが止まってしまうが、すぐに心の声だと気づき平静を装う。


 「ま……まぁ飲めよ、気分が落ち着くから、でも気持ちが悪いんだからあんまり飲むなよ」


 「ゲロいただくわ」


 『浅井君に本当の言葉で言ったら口移しで飲ませてくれたかな? 無理だろうな……普段の私の姿はとても変だもの、いつか浅井君に大好きって本当の言葉でいえるかな……』


 豊穣って俺たちが見えていた人物とは違うのかもしれないな、心の声は恋に悩む普通の可愛らしい女の子の思考だし。


 「ゲロ落ち着いたわ! 糞虫汚ならしい肉欲に塗れた手で触るのを止めなさい!」


 『ありがとう浅井君、もう大丈夫。木下さんが見てるし恥ずかしいよ……』


 「わかった、分かったから怒るなよ」


 『えー! もう止めちゃうの? なんで正直になれないの! 私のバカバカ!』


 どうしろってんだ。

 表の豊穣は怒っていても、心の豊穣は甘々だし、どっちを取ればいいんだよ!

 と一人虚しく心の中でツッコミを入れれも当然誰も答えない。

 しかたないか、なるようになれだ。


 「この後どうする?」


 「ゲロお腹がすいたわね! 食事を所望するわ!」


 「わた……し……も……です」


 『豊穣に賛成だ金緑』


 「じゃあ、そこの売店行くか」


 ◇

 「ゲロ注文ね! この810セット下さるかしら」


 「810セットは男性向けの味付けとなっておりますが大丈夫でしょうか?」


 「ゲロ男性向きなの、じゃ女性向けの味付けの下さる二人分を」


 「ありがとうございます。こちらが801セットとなります」


 なんだこの売店、メニューの名前がおかしいんだけど。

 たけしカルピスとか、ツナギバーガーとか、ジャスミンコーラとか店員の女性は中々の美人さんだけど。

 810とか801って大して変わらない気が、もしかしてこの数字別の読み方がるのか?

 考えるのは良そうきっと食う気がなくなる。


 「じゃあ、俺は810セットで」


 810セットはハンバーガーとフライドポテトとミニサラダ、ジュースのセット他のは名前からして、ちょっと怖いのでメニューを見てこれに決めた。


 「そうですか、はぁはぁ」


 「大丈夫ですか?」


 俺の注文に鼻息を荒げる店員さん。

 一体どうしてってんだ。


 「すいません。ちょっと想像しちゃって」


 「まぁ、お願いします」


 「ドリンクはいかがいたしましょう?」


 ドリンクが選べるのか?

 801セットを頼んだ豊穣は聞かれていないんだけど。


 「お勧めは、濃厚どろりとした白濁液たけしカルピスです。はぁはぁ」


 「まさかの腐女子かい!」


 「でいかがいたしましょう?」


 「じゃあジャスミン液コーラで」


 「ちっ!」


 「いま舌打ちしたよね!」


 「気のせいです。お客様決して私は、たけしの白濁液をお前のけつから流し込んでやろうかなど言っていません」


 「もっとひでーじゃねーか!」


 「ではご注文の確認です。810セットお飲み物はたけしの白濁液濃厚ですね!」


 「違うわ! ジャスミン液(コーラ)だよ。その言い方だと絶対飲み物じゃねーよ! カルピスつけろ!」


 「ちっ! マジで掘られちまえ! けつで飲まないならせめて上の口からは白濁液飲めよ!」


 「普通に丸聞こえだからな! お前!」


 「でわ、もう一度ご注文を確認します。810セットたけしの白濁液原液ですね!」


 「誰がそんな気持ち悪いモノを飲むか! いいから注文したもんちゃんと持ってこい!」


 やたらと白濁液を飲ませたがる、売店の店員(腐女子)との攻防はしばらく続いた。

 中々の美人なのにまじもんの変態じゃねーかよ……

 


 ◇

 「あの店員なんなんだよ……」


 やっと腐った店員の勧める白濁液を飲まされることは回避したが、出てきた801セットを見てげんなり、サラダに白濁したソース――マヨネーズがこれでもかとはみ出さんばかりにかけられていた。

 サラダ1に対してマヨネーズ同量の1という大盤振る舞い……。

 見ているだけで胸やけがしてくる。

 さっぱりしたサラダの良さを完全に潰している。


 しかし、何を言っても無駄とすでに痛感していたので何も言わなかった。

 そしてニヤニヤとしながら「ありがとうございました。はぁはぁ」と息を荒げる店員を女性にたいしてあるなまじき行動をしたい衝動にかられたが、


 相手はガチの変態であるため喜ばせるだけな気がするので自分を抑え、売店前方にある丸テーブルの隣に置かれた複数の椅子に座る二人の元へ向かう。

 

 「ゲロ遅かったわね。糞虫なにその白いの残飯?」


 『遅いよ浅井君、その白いのなに?』


 「遺憾ながら、その言葉はあながち間違っていない」


 げんなりしながら言う俺。


 「も……しか……し……て……それ……マヨネーズ……です……か」


 「そうだよ! あの店員、白濁液を俺に何かにつけて飲ませようとしてな。たけしカルピスを断ったらこうされた……」


 「まさに、糞虫に相応しい残飯ね!」


 「ひでーなお前!」


 「冗談よ! 冗談! たけしだけに」


 「たけしと一ミリもかかってないだろ!」


 「冗談! 冗談! は中二魔道機械戦士プリティプリベル第二期27話の決め台詞なのよ!」


 「いったいどうやったら決め台詞になるんだよ!」


 「簡単よ! 27話はね。たけしは作中の会話全て冗談! 冗談! と全く同じセリフを繰り返したのよ! いわば全てが決め台詞ね!」


 「なんだよそれ! ツナギウィルスの次話、冒険しすぎだろ!」


 「だからいんじゃない! 事件が発生しても冗談! 冗談! と言い続けて事件を解決したのよ!」


 「それ、事件より周りの人間の理解力の方が大事件じゃねーか!」


 「その通りね! 作中たけしは冗談! 冗談! しかいわないに周りの人間がたけしの意図を正確に聞き取っているのは意味が分からなくて目が離せないのよ! 結局たけしは冗談! 冗談! っしか言わないし、字幕も冗談! 冗談! しかでないし、中二魔道機械戦士プリティプリベルの謎の一つね!」


 「意味わかんねーぞ!」


 「謎は物語を魅力的に飾る星なのよ!」


 「いいこと言っているようで、飾っている星くすんで光ってないからな!」


 「なに言っているによ! たけしはいつだって光っているは! だってたけしの体には金があるもの!」


 「それ光ってないからな!」


 「何をいっているの? 卑猥な物と混同しないでくれる!」


 「じゃあなんだよ!」


 「それは金歯よ! 自爆装置つきの!」


 「普通のようで普通じゃない! たけしはスパイか!」


 「そうらしいはね! 作中たけしは俺は股間スパイだ! 名乗っていたし!」


 「最低だ! どうせそれも説明されてないんだろ!」


 「ご名答よ! 股間スパイ発言は一回だけ! 全く謎だらけで深い作品よ!」


 「謎深すぎだ! 底なし沼か!」


 「いえアリ地獄よ! 彼は自分の股間はアリ地獄だと言っているもの!」


 「どんな下半身だ! 化けものか! たけし!」


 「だから、26話のちんポロは誰しもが注目したのよ!」


 「それ、アウトギリギリだからな! 毛をつけたって同じようなもんだがな!」


 「たけしの性癖はまだ明らかになっていないのよ! そっち系じゃくて女性が好きかもしれないのよ!」


 「果てしなくどっちでもいわ! そんなこと言うってことはそっち系だと少しは思ってる証拠じゃねーか!」

 

 「希望はあるのよ! 作中女性【幼女】をみて美味しそう! って言ってたんだから!」


 「違う意味の意味の問題がでてきたじゃねーか!」


 「だからたけしの性癖は永世中立(えいせいちゅうりつ)ス〇スとファンの間では言われているのよ!」


 「ス〇スに謝れ! だだの監督と同じく節操なしじゃねーか!」


 ん? 袖を引っ張られていた。

 木下の方を向く。


 「これ……全て……マヨネーズ……入り……で……す」


 「ほんとだ……あの野郎!」


 木下が見せてきたはハンバーガーの上部のパンズのしたは見事にマヨネーズ塗れ、ポテトも同様で箱のそこは白濁したマヨネーズがみっちり流し込まれており、ジャスミンコーラのカップのふたを開ければ白い流氷如きマヨネーズがジャスミン液(コーラ)の海を漂っていた。


 しかもすべてばれにくいように巧妙に隠しながらだ。

 凄まじい執念すら感じるレベル所業である。

 まじ一体何だよあいつ……ここまで俺に白濁した物を食べさせたいのか。


 「あれ金緑じゃない」


 やけに聞きなれた声がした。

 


 「屏風じゃん。なんでお前が……」


 「なんでってDランドの遊びに来たんだけど」


 「一人でか?」


 「仕方ないじゃない急に行きたくなったんだから、悪いの?」


 「そいうわけじゃなーけど。凄い格好だからな、友人と来ているのかと」


 屏風の格好は大量のハートの描かれたスカートにでかでかとハートの描かれたブラウスと全身ハートづくめ。

 まるで女性芸人の出オチを狙った服装に見えなくもない。

 こんな痛々しいモノを着て一人とは屏風の度胸は大したものだ。


 「いいでしょ。気に入ってんのよこれ」


 「そ……そうか」


 屈託のない顔でいう屏風に若干引きつりながら言葉を返す。


 「ところで金緑はなにしてんのよ」


 「何ってデートだよ。二人と」


 「デートですってなんで私を誘わないのよ! こんなやつ誘わないで私を誘いなさい!」


 豊穣を指さす屏風。


 「これだから雌ブタ二号は、貴方の優先順位は最下位だというのをわかっていないようね!」


 『むう、ひどいよ屏風ちゃん。私が悪いにもわかってるけど』


 「豊穣! 貴方に金緑は渡さないんだから! 金緑とコンビを組むのは私よ!」


 「何を言ってるの? 雌ブタの末路なんてペット以外存在しないじゃない!」


 『大好きな浅井君は渡さないんだから!』


 「また雌ブタって言ったし! 金緑~~~~~」


 「俺に泣きつかれてもしらねーよ。この残飯をどうするかで思案中だ」


 「私よりそんな物が大事……ってマヨネーズ塗れね。金緑マヨラーもほどほどよ?」


 「違うわ! あの変態店員にやられたんだよ!」


 問題の元凶を指さした。

 何故かあいつが悶えて興奮する光景が見えた気がした。


 「ああそいう事、白濁の絹子にやられたのね」


 「なんだのその二つ名!」


 「彼女の名前は白絹子(はくきぬこ)筋金入りの腐女子よ」


 「一度しか多分使わない人物掘り下げるのかよ!」


 「彼女は白濁した液体を男の人が、口から取り入れるのがなにより興奮するらしいの。だから男性とみればカルピスを強引に進め、断るとマヨネーズをかけるらしいけど。金緑貴方そうとう気に入られたわね。ここまでマヨネーズをかけられるってそうそうないわよ」


 「マヨネーズの量が好感度てどいうことだ! 首になっちまえ!」


 「実際、苦情もあってそうなり掛けたそうよ。でも一部のファンが彼女を擁護して今では隠れた名所よ。なんでも白濁液を飲むことが大好きな大きいお友達と名乗っていたそうだけど」


 「嫌な予感しかしねぇ!」


 「何でも、26話で想い人がちんポロしない腹いせでもあったと言われているけど」


 「どこ情報だ! ほんとに悔しがるファンいたのかよ!」


 「そんなわけで、腐女子が想い人をここに連れてきて密かに興奮するってのが、一部では有名な話なの」


 「ねじがってるじゃねーかどんな想い人だ」


 「何でも受けと攻めではバーガーセットのマヨネーズトッピングが違うのが通好みらしいわ」


 「腐りすぎだ! 妄想で男と絡まされる男の身にもなれ!


 「何をいっているの金緑、腐女子ってのは自分が好意を寄せる男性なら誰であろうと男と絡めたがるものなの。これが腐女子的愛よ!」


 「ただの迷惑じゃねーか! 全ての男がいい男に興味があるって思ってんか!」


 「えっ? 女子にホモが嫌いな人はいないっていうんだから男子だって……」


 「それ本気で言ってたとしても普通ならすべるからな!」


 「そうなのよね! 普通に男子にいったらドン引きされたわ!」


 「ゲロ不潔ね。男同士が絡み合う姿なんて気持ち悪いだけじゃない」


 『想いを寄せる人が同性と絡みあうのは妄想でもちょっといやかな』


 「豊穣、貴方女子なのにホモが嫌いなの?」


 「好きでも嫌いでもないわ。ただ雌ブタ二号のように好きな男と男を絡み合わせる特殊性癖はないだけよ」


 「何を言ってるのよ! これは愛よ! 受け23回攻め36回金緑と男性が絡み合っているのを妄想したんだから!」


 「……屏風、頼むからマジでやめろ」


 「どうしたの? いきなり真面目なトーンで……」


 「頼むからやめてくれこのとうりだ」


 頭を思わず下げる俺。

 プライドと妄想の中の純潔など比べる必要ない程即決だった。

 頼むからやめてくれ。


 「えぇ~~~~~~~~~金緑強気攻めが一番興奮するのに!」


 「友人の知りたくない一面の典型だよ!」


 「わかったわよ。今度からは金緑女装もので女の子に後ろの〇を責められる系で!」


 「ベクトルが変わっただけで、俺は結局掘られるのかよ!」


 俺の周りの女変わりものしかいねぇ。

 万年毒舌心は甘々、恥かしがり屋だが本心男前、腐女子兼芸人志望、何を考えいるかわからない僕っ子。

 頭が痛くなってくる。


 「マジでそれやめないと屏風、お前とは絶交だからな」


 「えっーーーーーーーーーー!?」


 「えーじゃない。マジだ。流石の俺でも容認できん」


 「分かったわよ。絶交されるわけにはいかないしね。じゃあ、今まで書き上げた金緑の18禁同人誌59冊の販売も終了ね」


 「手遅れだった!」


 これほど知りたくもない友人の一面はない。

 その日俺はそれをしみじみと思い知った。



 屏風の知りたくもない一面を知りげんなり。

仕方なくマヨネーズ塗れの810セットをマヨネーズを避けて食べたが、襲ってきた胸やけでげんなり。

 しかも、フードコートはここだけなので他の場所で買うわけにもいかず。


 当然のように屏風は俺たちの一行に加わるとごねだし、問題の同人誌の完全処分を約束させて、一緒に回ることんあったのだが。


 「金緑~私、メリーゴーランドに乗りたい~」


 何故か腕を絡ませ甘ったるい声で語尾を伸ばし彼女ずらをこれでもかとかもしだしていた。


 「ええい、やめろ! いきなり加わって彼女ずらってなんだよお前!」


 「ええーもうそんな感じじゃない! 恥部だって曝したし!」


 「勘違いを招く事を言うな! ただお前の恥ずかしい趣味を自分でさらしただけだろ!」


 「女の子の秘密を知っておいて……私を捨てる気!」


 「ああ、問題の物を処分しないならな!」


 「ひどーい!」


 「めんどくせー豊穣こいつになんか言ってやれ!」


 「糞虫その汚い口を閉じないと口をねじ切るわよ!」


 「なんでお前が怒ってるんだよ……」


 『屏風ちゃんずるいよ。そんなに浅井君とくっついて』


 「ただ、雌ブタ二号にデレデレする動物性愛(ズーフィリア)に嫌悪感をいだいてるだけよ」


 『やっぱり私より屏風ちゃんが好きなのかな……』


 「全く万年発情期の糞虫は!」


 『私だけを見てほしいのに、なんで正直に』


 「吐き気をもようおす程、ゲロドサンピンね!」


 『好きって言えないんだろ……』


 その言葉に二つの意味で思わず声を失ってしまった。

 良い意味でも悪い意味でも、屏風が何か文句をいってる気がするが耳に届かない。

 俺の中の豊穣と心の声らしきものは全く違っていて。


 心なんて普通は見えないから本心なんてわからないけど。

 見てたとしてそう簡単には信じられないようだ。

 心の声のストレートな思いと実際に口から出している聞く者を傷つける毒、それは対照的過ぎて。


 これまで聞き続けた豊穣の心の声の好意が降り積もって、自分の中に抱き続けて彼女と長く接して諦め蓋をしてしまった想いが頭をもたげる。


 『困っているようだな。金緑』

 

 木下の声が聞こえる。


 『どうせ豊穣の心の声に動揺してんだろ? 仕方ねーよな甘い愛の告白の連続だもんな』


 心を見透かした木下の言葉は続く。


 『お前だって、豊穣が嫌いなわけじゃないんだろ。だったら少しぐらい好意に答えてやってもいいんじゃねーか』


 その言葉で勇気が持てたたった少しだけだけども。


 『あとレポート期待してるからな。俺の言葉を無駄にするなよ』


 俺は屏風と言い争う豊穣の後ろから両手を回し優しく抱きしめた。

 


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