出迎え
ラストが書きたいとはいえいろいろ端折りすぎたか
そして次の日。
豊穣のやたら甘い心の声を聴きながら、豊穣手作りの朝食を食べた。
見れば昨日の茶碗と皿も綺麗に洗って水切りも終わり定位置に鎮座していた。
どうやら豊穣がしたのだろう。
案外豊穣はいい嫁になるのかもしれないな。
口から毒を吐かなければ。
そしてこの状況新婚状態だ。
そのせいで豊穣はやけに嬉しそうに心の声を送ってくる。
「そういや豊穣」
思い出したように豊穣に声をかける。
「何よ。糞虫」
「今日俺帰りに花さんとも行ってくるから」
「そう、だからどうしたの糞虫?」
『そうなんだ……どんな用事だろ?』
「昨日花さんの部屋片づけるの手伝ったお礼だとさ。どうせお前らの事だからついてくる気だろ? だからついてきてもいいが乱入とかはやめろよ」
「ゲロ! 分かったわ」
『むむむ、花さんって浅井君の事どうも思ってんだろ?』
「そういうわけだ。屏風には俺から言っとくじゃあ食ってから行くか」
そうして朝食に手を付けた。
◇
それから学校にいってまたもや密着しようとする九条院さんを何とか説得して、今日は普通に自分の席に座ってもいらう事にした。
そして昼食時にはまたもや豊穣と九条院さんのお弁当対決があったが一度にたような展開があったので詳しく言う必要もないか。
ちなみにまた豊穣に軍配が上がった。
豊穣は幼い頃より料理をしてきたし、聞けば九条院さんは初めてまだ数日だそうだ。
そんなわけ九条院さんにその事を言って励まし放課後である。
「つーわけだから、お前らついてきてもいいが変な事はするなよ?」
「もちろんよ! よほどのことがないとしないわよ!」
「そう……で……す」
「ゲロ!」
マジで大丈夫か?
こいつらの事だから一悶着ありような気配がひしひしと……すると九条院さんが。
「すいません。それは私もご一緒してよろしいでしょうか?」
「別にいいけど習い事があるんじゃないの?」
「夫に悪い虫がつかない様に見張るのも妻の役割です!」
どんと胸を張る九条院さん。
九条院さんそんなこと言うとこいつらが。
「いつからアンタのものになったのよ! 金緑は私の物よ!」
「いえ……私……で……す」
「糞虫の飼育権は私の物よ!」
「いえ私です! 私と金緑さんは夫婦になる運命なのです!」
案の定危惧した状態になってしまった。
こうなると結構めんどくさいんだよな……。
「分かった分かった、話進まないから誰が一番かはいつか選んでやるからな?」
「ゲロ! 優柔不断ね!」
「まあそうだけど」
「それ……なら……気長……に……待ち……ま……す」
「私の方はあまり時間がありませんが、今日はそれより悪い虫がつかない様にするだけです」
あまり時間がない? 気になる事を九条院さんは言うが屏風が。
「ところで悪い虫に私達は入っているの?」
「入っていませんよ? って皆さんは夫の大事な友人ですし」
「まだ……決まっ……て……いま……せん!」
「むふふ、それはないです! すでに一族総出でバックアップ体制は整いつつあります!」
「それでもメット野郎が選ばれるわけが――」
「皆さんが金緑さんを大変好いていることはよくわかりますが、これは決定事項なのです!」
九条院さんが手で豊穣の言葉を遮る。
なんか俺凄い事に巻き込まれている気がするのは気のせいか?
そうだとしても。
「分かったから皆落ち着け、九条院さんもそういう冗談はやめてね?」
「冗談ではないのですが……まあいいです」
そうして帰りにゲームセンターで時間を潰し七時十分前、現時刻六時五十分花さんのマンションに来た。
豊穣たちは下の階で待機、様子見をするにしてもすぐ近くだと即座に突入してきそうだからな。
そんなわけでインターホンを鳴らし。
「花さん! 金緑です!」
「待っていたよ! 入って入って!」
「じゃあ入りますね」
扉を開けると。
「ダーリンお帰りだニャン♪」
素肌にエプロンでネコ耳と尻尾をつけた花さんが、手を猫にして俺を出迎えた。




