逃げ込んだ先は
「なるほど! いいモテっぷりじゃないか! このこの!」
「なるほどじゃないですよ花さん……」
四人から逃げた俺だったが、自宅はきっと抑えてきているだろうか、どうするかと迷っていたところ、花さんから連絡があった。
なんでも適当に理由を捏ち上げて早退してきたから手伝えという事だ。
そして学校から二駅の花さんのマンションい来てこれまでの経緯を説明したわけだが……。
「花さんこりゃないわー」
思わず乾いた言葉が洩れる。
「ぶぅ~麗しの美人教師の家に来て言うべき言葉じゃないゾ!」
頬を風船のように膨らませてもね。
「だからってねぇあんた……」
「わかった! 美味しい茶菓子と紅茶を忘れていたね!」
違う違うってわかってるんでしょ花さん?
「あっわかったよ! 僕の麗しの私服に見とれているんだね! 恥ずかしいなもう!」
アンタ今着てるの普通の学校のジャージでしょ! そんな物学校で見慣れてますよ! そこじゃない!
「それ違うのか! そうだね! 夕食は僕の手料理をご馳走しよう! 裸エプロンもつけよう! どうかな?」
魅力的な提案ですがね。
それ以前ですよね?
もう言っちまうか、この流れ絶対花さん自分で言わねーこれ。
「花さん……」
「ニャン♪ ニャン♪」
かわい子ぶって両手を猫の手にしてもねー。
確かにかわいいですけどー。
それ以前の問題ですわー。
「花さんアンタどうしたらここまでの汚部屋になるですか!」
そう目の前に広がるのは大量の白いビニール袋。
いくら魅力的な美人教師との自室でもアバンチュールを提示されても台無しである。
もう一度言う台無しである。
大事な事だから後続はカット!
今いる空間は辛うじて二人が座れる僅かなスペース。
それ以外のスペースはゴミやら何やらで満たされていた。
ここがリビングだとかろうじてわかるが2LDKのほとんどをゴミで満たすとは酷い。
ほんとに嫁の貰い手を失くすぞ花さん……。
「仕方ないだろ! ゴミたちが僕に訴えてくるんだ! 僕たちは後で捨てればいいのさ! 安心してって!」
「なら安心ですね! ああ帰るか」
「僕を見捨てないで! 嘘! 嘘だから!
助けて王子様!」
「だからって嘘ついて家で掃除って! なんですか! 酷すぎますよ!」
「仕方ないんだ! これにはやもえないわけが!」
「一応聞きましょう」
「実は、悪い魔法使いが……」
「帰ります!」
「冗談! 冗談だから! 実は急に僕の母さんが僕の様子を見に来るんだけどね! 前来たときゴミが多すぎて次もそうだったら僕のお父さんみたいな綺麗好きな人とお見合い結婚させるって息巻いてね! それが明日さ!」
「だったらよけい自分でやってください!」
「仕方ないじゃないか! 昨日連絡が来たんもん!」
確かに花さんの母親らしい行動だ。
あの人思いついたら即日行動するからな。
「まぁいいんじゃないんですか、結婚しちゃえば」
「何っているのさ、まだ僕は君を諦めていないんだよ! 僕の夫候補は金緑君だけさ!」
満開の花という花さんに相応しい笑顔におもわずドキリとしてしまう。
全く仕方ないか。
「わかりましたよ! でも片づけもこの大量のゴミはどうするんです? この量を二人で明日までなんてきついですよ! 何時間かかるかわかりませんよ?」
「そこだよ君! 何とかしてくれたまえ!」
結局俺に丸投げですかわかってたけど……。
「ところでやけにビニール袋が多いですが分別してるんですか?」
「してないよ! 生ごみとお菓子の袋以外はごちゃまぜさ! あれは匂いが移るからね!」
「なんで得意げなんですか……」
こりゃ二人じゃこの量無理だろ。
どうするか、そういう時は安定の木下先生だが、花さん自宅にいるとしったらさっきの事を含めて木下先生が何を言い出すかわからない。
あっそうだ木下つながりのあの人なら。
そう思い立ちスマホを操作するであった。




