0022クッキーさんとの約束
「なんでまた俺と……」
クッキーさんの思わぬ要求に、目を丸くしてしまう。
「木下……さん……から……伺って……いた……とうり……素敵……な……方……なよう……なの……で……実……は……私……そうい……う……事柄……を……一度……
も……行った……事……が……なく……一度……体験……して……みたい……と……前々……から……思って……おり……まして……だそうで……す」
「別にかまわないよ」
「本当……です……か……だそう……です」
「ちょっと金緑! そんなあっさりと大丈夫なの?」
「ゲロ! 糞虫!」
『屏風ちゃんの言うとうりだよ! 大丈夫なの?』
「別に減るもんでもないし、木下の通訳が正しいなら性格は普通の人ぽいし大丈夫だろ」
「こんな……見かけ……でも……大丈夫……です……か? だ……そうで……す」
「普段から顔を隠している最近知り合った知人もいるし、大丈夫だよ」
「木下……さん……が……好意……を……向ける……の……が……分かっ……た……気……が……します……不束者……では……あり……ますが……よろ……しく……お願い……しま……す……だそう……です」
「でもさ、デートの時会話はどいするの? ずっと木下に通訳ってわけにはいかないじゃ……」
「それは……大丈夫……です……仕事……で……使って……いる……音声……読み上げ……ソフト……を……使う……ので……だそう……です」
「だったらなんで今日は使わないの?」
と屏風。
「あの……木下……さん……が……好意……を……向けて……いる……人……と……お聞き……して……興味……が……わき……まして……木下……さん……に……通訳……
して……もらう……よう……に……頼み……ました……思った……とうり……浅井……さんは……素敵な……方……だった……ので……対面で……話せて……よかった……です……だそう……です」
「じゃあデートをしよう。クッキーさん行きたいところとかある?」
「先に……連絡先……を……お願い……します……だそう……です」
そうしてクッキーさんがスマホを取り出して俺と連絡先を交換する。
何回やっても女の子と連絡先を交換するのはドキドキするな。
九条院さんといいクッキーさんといい俺は屏風の言うように、変な女の子に好かれる才能がるのかもしれない。
まぁ少しぐらい変でも性格がいいなら別にいいけど。
容姿がよけれなおのこと良しは、男の不文律ってやつだ。
クッキーさんも美人だと当然嬉しい。
「とりあえず連絡先は交換したし、日取りとやりたいことが決まったら連絡してクッキーさん」
「木下……さん……の……おっしゃ……る……とうり……本当……に……素敵な……方……ですね……初対面……の……私……に……
ここまで……物怖じ……しない……男性……は……初めて……です……でわ……お仕事……を……済ませる……と……しま……しょう……だそう……です」
そういってスマホをいじくり出した。
こういうの初めてだけど盗聴器を駆除するのってここまで軽装でいいのだろうか?
バック一つもクッキーさんは持ってないけど。
「見つけ……ました……この……部屋……に……4つ……二階に……2つです……今……正確な……場所……を……探り……ます……だそう……です」
そう木下に言うクッキーさんは、立ち上がりスマホを見ながら部屋を物色し始めた。
するとクッキーさんは何やら電話近くの柱に設置された機器のカバーを開け始めた。
なんでも電話保安器という異常な電流から機器を守る物らしい。
そして中身の一本を取り出した。
これが盗聴器だそだ。
流石に俺でもわかるこりゃ仕掛けたやつ素人じゃねーな。
こんなところ素人探すわけねーよ。
それ以外はタンスの後ろ。
エアコンの中。
そして木下が発見したコンセントの中。
それらをクッキーさんポケットから工具を取り出し鮮やかな手つきで分解し盗聴器を取り外していく。
4つの盗聴器を取り出すのかかった時間は僅か15分。
とんでもなく有能だ。
流石木下の友人。
そのまま二階に上がると、あっという間にパソコン内部とコンセントの内部に仕掛けれた盗聴器を発見これで全てだそうだ。
「ありがとうクッキーさんこれで家でぐっすり眠れるよ」
「どう……いたし……まして……報酬……の……デート……の……件……は……よく……考えて……から……ご連絡……します……だそう……です」
そういって玄関方向に向かうクッキーさんに。
「帰るなら送ろうか? もう暗いしなんなら泊っていく?」
いうもののりで出てきた言葉に後悔を覚える。
いくらなんでも初対面の男の家に泊まるってないだろう俺。
「今回……は……遠慮……させて……いただ……きます……この……風貌……ですの……で……皆……怖がる……の……で……
大丈夫……です……数件……仕事……を……抱えて……いる……ので……失礼……します……デート……楽しみ……に……して……います……だそう……です」
そう木下に通訳してもらうとクッキーさんは玄関を開けゆっくりと去っていた。
「今更だけど木下クッキーさん何か病んでたりする?」
「特に……持病……が……ある……とは……聞いて……いま……せん……が」
「なら大丈夫か」
「何が大丈夫なのよ金緑!」
「何ってクッキーさんとのデートの事だよ。木下が途中で止めない時点で性格的には問題なさそうだと思ったが、確認しただけだ」
「それ……なら……大丈夫……だと……思い……ます……彼女……は……性格……は……いい……ので」
「それなら大丈夫だな」
「ところで雌ブタ一号! 菓子野郎の顔面戦闘力はどうなの?」
「お前な! 普通にクッキーさんの素顔が気になるならそう言え」
「分かり……ません……私……も……素顔を……見た……こと……が……ない……ので」
「これはまたライバル登場の予感ね……」
「またライバルかわからんと思うが」
「何を言っているのよ! フラグびんびん感じるわよ! これ絶対美人ていう落ちよ!
」
「それはそれで俺的には嬉しいが……何だよお前らその顔は」
「「「…………」」」
これがジト目ってやつなのか。
目元を隠している木下も同じ目をしている気がする。
「さすが金緑ね……心が広いというべきか節操がないというべきかわからないわ……」
「いや別に節操がないわけじゃないぞ。クッキーさんの性格に難がありそうな素振りがあったら、こんな提案断ってるし」
「どんな……女性……にも……真摯……な……対応……は……嬉しい……ですが……節操……が……なさす……ぎで……す」
「そうか?」
「ゲロ! さすが糞虫ね!」
『優しいのは浅井君のいい所だけど、こんな感じにライバルを増やされちゃうと私が……』
「そうよ! 金緑貴方は私だけを見てればいいの!」
「異議……あり……です……私……を……見て……くだ……さい」
『異議あり金緑は俺のもんだぜ!』
「ゲロ! ゲロゲロ! ゲロ!」
『屏風ちゃんも木下さんもずるい! 私だって見てほしい! でもなんで口に出せないんだろ……』
「分かった分かった善処する! お前らどうせ今日泊ってくだろ?」
「「「当然!」」」
「またこの展開か……」
あの後遅めの夕食を取り俺は三人に、ベットをいさぎよく明け渡してリビングで布団を引いて眠りについた。
「なによ……うるさいわね」
「どう……か……しま……した……か?」
胸を自身体重で押し当て上目使いで俺を見る木下。
「うるさいわよ糞虫」
『おはよう浅井君』
「一応理由を聞こうかお前ら……」
布団の下の俺の両脇には豊穣と屏風、右が豊穣で左が屏風、俺の上には木下が乗っていた。
前と違う構図で触れる箇所が違うせいかまた違う感触が気持ちいい。
やっぱり女の子の体の柔らかいな。
っていかいかん。
まだだれを選ぶとも決めていないに、一線を越えてはいけない。
「何って一緒に寝たかたからに決まってるじゃない!」
「その……とうり……です」
『そのとうえりだぜ! 細かい事は気にするな!』
「ゲロ! ゲロゲロ!」
『そうだよ! 屏風ちゃんの言うとうり』
「本当は金緑の上は今度は私のはずだったんだけど、木下さんじゃんけん強くて4連敗しちゃった……」
「ふふ……そう……いう……こと……です」
『前は豊穣に譲ってやったからな、今度は俺の番だぜ!』
「分かったから、どけお前ら動けないから」
デジャブ。三人の答えも分かりきってるような。
「「「やだ!」」」
「即答かよ!」
全くこいつらはどんだけ俺が好きなんだよ。
受け入れてくれる人間が極端に少ない豊穣はともかく。
屏風と木下は俺に対する好感度高過ぎじゃねーか。
「どうしたの金緑?」
「何なんでお前らがここまで俺に好感を……っていいからどいてくれ、着替えられないだろ」
屏風の質問で出そうになた疑問を喉に押し戻す。
完全に言ってしまうと遅刻する気がする。
「何……を……いい……かけた……の……です……か?」
そういってぐいぐいその豊満な胸を押し付ける木下これはやばい。
いろんな意味で。
「分かったから胸を押し付けるな言えない事になちゃうから」
「別……に……いい……です……よ」
頬を染めて木下。
それがすごい魅力的で一瞬理性のタガが外れそうになるが我慢だ。
こいうもは本能で行う事じゃない気がする。
恋とは人間が人間たらしめる行動であり肉体関係だけが恋なんて寂しすぎる。
俺は恋をしたいのだ。
「すまん……そういうのは俺が一人を選んだらだ」
「私……以外……を……選んで……も……です……か?」
「それは……」
言葉が出なかった。
俺は一人を選んだあと残りの二人にはどうすればいいのだろう?
これもいずれ答えを出さないといけないな。
「大丈夫……です……そこ……の……ところ……は……三人……で……話し……合い……ました……浅井君……は……一人……を……選んで……くれれ……ば……いいの……です」
「そうは言ってもな……」
「ゲロ! 糞虫はいつもどうりでいいのよ!」
「そうよ金緑! それで万事解決よ!」
「解決ってなんだよ」
「それは一人を選んでからのお楽しみよ!」
「でっ……何……を……言い……掛けた……の……です……か?」
「いやな最近お前らの好感度がやたら高い気がしてなその事だ」
「そんなこと金緑もにぶちんね! 私は出会ったと時から、この人にずっとツッコまれたいって思ったもの! それなんだかんだ言って大事にしてくれるし、優しいし、顔だってちゃんと髪型を決めればかっこいいし、
どんな変な女の子でも受け入れる抱擁力があるじゃない! 貴方は間違いなくこの屏風風花ちゃんが出会った男の人で一番のいい男よ!」
「そう……です……浅井君……は……他の……男の人……と……違う……魅力……が……あり……ます……普通……の……男性……なら……すで……に……私達……の……体に……手を……付ける……物……ですが……
一切……そうゆう……こと……が……ありま……せん……とても……大事……に……して……くれて……いる……こと……は……ひしひし……と……感じ……ます……そんな……男性に……好意……を……向ける……のは……当たり……前……です」
「そのとうりよ! 糞虫!」
『二人に言いたい事言われちゃったけど、私はずっと前から浅井君の全てが大好きだよ』
「ありがとなお前ら……それで悪いんだがどいてくれないいか? そろそろ時間的に……」
「「「やだ!」」」
涙が出そうなぐらい三人の好意は嬉しいがどいてはくれないようだ。
分かったもう好きにしてくれ。
俺はそのまま心地よい三人の軟らかさを楽しむことにした。
◇
「オハヨウゴザイマス アサイサン キノシタサン アシデモ オケガ サレタノデスカ?」
「ああ、これはね……」
あれから俺を三人が開放するまで、遅刻ギリギリまで粘られれた。
それは慣れているのでいいのだが。
「怪我……では……ない……です……九条院……さん……ただ……こう……したい……ので」
『漫画じゃ何度も書いたが、実際にやると熱感が気持ちいなこれ! 金緑暖かいぞ!』
はしゃぐ木下の心の声。
俺は何故か木下をおぶって登校していた。
そうなった経緯は木下がこの前の豊穣のようなことがしたいというので、木下に背中を貸したのだが。
しがみ付くには木下の腕力が足らず、俺が木下をおぶるという形で落ち着いた。
やめるという選択肢も提示したが、木下が表と裏の声でねだるので、俺が自然と折れる形となった。
こりゃ木下を嫁にしたら何だかんだで尻に敷かれそうだ。
まだだれを取るかは決めていないので可能性の話だが。
豊穣と屏風のどちらを選んでも同じようなことになる気がする。
「まぁいろいろあってね。気にしないで九条院さん」
「ソウデスカ キョウマタ キノウト オナジバショデ オハナシガ アルノデスカ……」
「昨日のね。九条院さんわかったよ。俺のキャパシティを超えない程度なら相談乗るよ」
「ソウダン トハ チガッタモノデスガ オネガイシマス」
相談じゃない?
じゃあなんだ。
これは聞かない方がいいのかな。
九条院さんの秘密にかかわる事なのかもしれないし聞くのは野暮ってもんだ。
九条院さんの事だから変な事ではないと思うが……。
「金緑次やる時は私だからね!」
「わかったよ。屏風ひっぱるな」
右隣を歩く屏風が物欲しそうな顔で俺の制服の袖を引っ張ってくる。
その反対からも引っ張られて。
「どうした? 豊穣」
「なんでもないわよ! 糞虫!」
『いいな、木下さん。浅井君の体温ってあったかくて気持ちいいんだよな……もう一度したいな……』
全く無表情でよくそんなことを考えられたものだ。
物欲しそうな顔が出来れば、その綺麗な顔でどんな男だっていちころだろうに。
その中に俺が含まれるかは微妙だが。
それ以上の甘い言葉はいつも丸聞こえだからな。
そう言いつつ豊穣の物欲しそうな顔は見ていたいのは本音だが。
仕方ないフォローしとくか。
「まあまて豊穣。また後で機会があればやってやる」
「な……なにいってるいのよ。う……羨ましくなんてないんだから!」
『ホント! 絶対だよ! 浅井君』
さすがに豊穣心の声を聞かなくてもばればれだぞ。
そんな、真っ赤になればな。
「そういや運命の相手って見つかりそうなの九条院さん?」
「オカゲサマデ コウホトナル トノガタナラ……」
うん?
九条院さんに見つめられている気が、まぁあり得ないだろ自意識過剰すぎだな。
「それならいいけど。運命の相手を見つけて普通の生活が手に入るといいね!」
「ソウデスネ モシカシタラ キョウ テニハイルカモシレマセン」
「何か言った? ノイズが酷いけど」
「ナンデモ アリマセン ホウカゴガ タノシミデス」




