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俺の毒舌幼なじみの心の声が甘々の件について  作者: 師失人 
その三~フルフェイスの転校生~
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0020iイチャコラと九条院の病気

「こりゃどういう状態だ……」


 両腕に感じる違和感の原因を目視し、布団の下の腰の違和感の原因を予想しながら、思い返す。

 あの後海さんの絶品料理に舌鼓を打って海さんが「せっかくだから泊っていく?」


 という提案に了承した木下と屏風が女子会をやるといいだし、俺は先に風呂に入って廊下に布団を引いて寝たはず。

 当然海さんの許可を得たし、豊穣のベットで、という提案は断ったはず。


 そして今いるのが豊穣のベットの上、違和感1、2がここにいるとなると残るは一人。


 「お前らなんで俺に抱きついてんだ?」


 そう三人を揺すり声をかけた。


 右腕に木下、左腕に屏風。腰はおそらく豊穣だろう。

 抱き付く三人の名状しがたい軟らか感触に思わず自分の愚息が反応しそうになるが、平静を無理やり保つ。


 やはり露骨な下ネタは女子が引くし、お金も女性もギラギラ迫ると逃げていくと一部で有名な本でもかいてある。

 変な事をして嫌われるぐらいなら男の本能など二の次だ。


 こんなことを言えば世の男から反感をかいそうな気がする。

 だが、俺は声を大にして言いたい俺は女性対しては紳士なのだと。

 揺すれば揺するほど、二人の胸の柔らかな双丘が緩急をつけて俺の腕に感触を送ってくる。


 さらに男の本能が刺激されるが鉄の意思で耐える。

 起きぬけで男の本能むき出しの男が隣にいれば最悪警察沙汰だ。

 三人の事だから受け入れてくれる気もするが、それでは俺が三人の体目当てに見えなくもない。


 それはやだな容姿と性格すべてそろって俺は三人が好きなのだ。

 そう考えると愚息は自然とおとなしくなっていく。

 

 「オイ起きろ。お前たち動けないから」


 静まっていく男の本能を感じつつさらに声をかけた。

 すると木下がゆっくりと瞼を開いた。

 屏風はまだ眠っているようだ。

 腰の豊穣も動きがないので同じなのだろう。

 

 「おは……よう……ご……ざい……ます」


 

 「おはようさん。この状況悦明頼む」


 「簡単に……言え……ば……海さん……提案……で……皆……で……寝て……いる……浅井君……を……ベット……に……運ん……で……こう……なり……ました」


 「なるほど、分かったから離してくれ、お前らが離してくれないと起きれないから」


 「いや……で……す」


 「なんでだよ!」


 『こういう美味しいシュチ俺が逃すわけないだろ!』


 「なんで胸を張ったように言うんだよ!」


 「何うるさいわね……」


 左から声が聞こえる屏風が起きたらしい。

 屏風に向き直る。


 「起きたか屏風……てっおーい! 屏風さん!」


 無言で俺を見つめる屏風は微動だにせずピクリとも動かない。


 『愛するき……金緑がこんな近くに……落ち着くのよ風花こういう時は素数を数えるのよ』


 「うるさいわね」


 そう言って腰から俺の前面に這いあがり俺の胸から顔を出した。


 「豊穣お前だけでもいいからどいてくれ動けないから……」


 「ゲロ! いやよ!」


 「なんでだよ!」


 「まだ眠いのよ糞虫!」


 『もっと浅井君の体温感じたい! だからダメ!』


 ◇

 「歩きにくいから放してくれお前ら」


 起床の一悶着は海さんが俺たちを起こし来てくれたので解決はしたが、着替えて朝食を食べて四人で登校となったわけだ。

 海さんが「4P展開……」と言いかけていたがとりあえずスルーで足早に豊穣宅を出た。


 下ネタを語り出すと海さんはくどいからな。

 小さい頃はそれに何度も困らされたことか。

 俺が五歳の時に妾、本妻、事実婚の言葉の意味を教えられたぐらいだ。

 さすが海さん今思うとパネェ完全に五歳児に教えることじゃねーよ。


 問題は豊穣宅を出た後の三人だ。

 何故かべたべた密着してきやがる、悪い気はしないが。


 「駄目……で……す……離さ……な……いで……す」


 『さむいんだから密着させろよ! 減るもんじゃねーだろ!』


 右腕にだきついた木下は断固として譲らない。

 むぎゅっとその大きな胸を腕に押し付けてくる。

 当然悪いきはしない。


 「左に同じ! いやよ!」


 『むふふ恋人気分♪』


 左腕に抱き付く屏風も木下の意見に賛成の意を示す。

 屏風も結構胸が大いから悪きはしない。


 「いやよ糞虫! 今日はひっつき虫の気分なのよ!」


 『これいいよ! 全身で浅井君の体温全身で感じられて気持ちいい!』


 豊穣は俺の後ろから抱き付き耳元でそういう。

 子なき爺スタイルをいたく気に入ったようで、心の声はご満悦だ。

 胸の肉付きは薄いがいろいろと柔らかい感触があるこれも当然以下略。


 つーかこいつ、この状況でこんな不安定な体制続けられるものだと感心してしまう。

 つかーこれさっきとほとんど同じじゃねーかよ。

 妙に豊穣の耳を撫でる吐息が熱っぽくて、耳からびりびりと心地よい帯電感が体の芯を刺激する。


 「お前らな俺スゲー歩きにくいんだけど」

 

 「だめ……で……す!」


 「駄目よ!」


 「ゲロだめ!」


 「お前らな結構周りの目が痛いんだけど……」


 「スゴイ ジョウタイデスネ アサイサン」


 側面から声をかけられその特徴的な声で九条院さんだと気づく、たっでさえ周りの眼が痛い状態なの完全に知人に恥部を曝してまったわけだ。

 なけなしの男心で平静を装い。


 「九条院さんおはよ! 車は? 昨日下校で車が迎えに来てたって聞いたけど」


 「アサハ ケンコウノ タメニ スコシアルクコトニ シテイルノデス」


 「ふーん。いいから離れろお前ら!」


 「ホウジョウサン ビョウブサン キノシタサン ハホントウニ アサイサンヲ スイテイロデスネ」


 「そう……で……す!」


 「そうよ!」


 「ゲロゲロよ!」


 俺の言葉を無視する三人声は半音上がっている。

 そういうことだ。


 「ウラヤマシイデス ワタシモ ウンメイノ アイテサエ ミツカレバ……」


 「よくわからないけど。九条院さんだったら大体の男は落とせると思うけどな」


 「コンナモノヲ カブラナト セイカツデキナイ オンナデモデスカ?」


 「俺の勘だと九条院さん素顔は美人な気がするし、そのままでもあふれ出る気品と立ち振る舞いで十分カバーできると思うけどな」


 「ホントウニ フシギナトノガタデスネ ワタシモ アサイサンヲ スキナッテシマイマスヨ?」


 「その時はその時だよ。見つかればいいね運命の人」


 「モウミツケタカモ シレマセン」


 「何か言った? 機械音が不調みたいだけど」


 いきなり機械音にノイズが入り九条院さんにそう告げた。


 「ダイジョウデス ホウカゴ ソウダンシタイコトガルノデ フタリキリデ アエナイデショウカ?」


 「相談? 別いいけど、そんなわけだからお前ら今日は先に帰れよ」


 「終わ……る……まで……待って……い……ま……す」


 『分かってんだろレポートだぞレポート! もしくは口頭だ!』


 「私も待ってる大した時間はかからないでしょ?」


 「ゲロ糞虫必ず飼い主の元に帰ってくるのよ!」


 『私も待ってる。やっぱり大好きな浅井君とは一分一秒でも長く一緒にいたいし』


 「そうかよ。これで大丈夫九条院さん?」


 けちをつないないあたり、こいつらはこいつらなり九条院さんに気を使っているみたいだ。

 こいつら性格はいいからな。


 「ダイジョウブデス オジカンハ トラセマセンノデ」


 今日も一日無事に時間が過ぎていって気づけば放課後。

 特に事件もないそんな一日だ。

 いつものように豊穣の吐く毒にツッコむ。屏風のめんどくさいノリを捌きツッコむ。

 それをみて内心ほくそ笑む木下に心の中でツッコむ。


 あれ、俺ツッコミばかりしてない? というのは無しだ。

 こいつら俺がツッコまないといろいろダメだからな。

 もうツッコミは俺のライフワークなのだ。

 何言ってんだ俺?


 そんなわけで気を取り直して今朝の約束を思い出した。

 九条院さんはさっきトイレに行くと言っていたし、考えるにはちょうどいい時間だ。

 豊穣と木下は何か話している、この二人って以外普通に話せるからな。


 ちなみに屏風はまだ姿が見えない。

 屏風と豊穣が会話するとほぼ確実に喧嘩になるけど。

 さすが木下先生である懐が広い。

 まぁ木下の事だ、豊穣の吐く毒に隠された本音でも予想して楽しんでいるだろう。


 さて九条院さんだが俺に相談があるとの事だが……。

 きっと運命の相手探しでも手伝ってくれという所だろう。

 告白の可能性は多分ないだろう。


 あの三人に囲まれている俺に、告白ってそうな奴だ。

 よほど自分に自信がある奴だろう。

 癖は強くても三人とも抜群に可愛いからな。

 九条院さん頭のヘルメットに負い目を感じていみたいだし。


 運命の相手が俺だったなんてのもないだろう。

 まだ出会って2日それで運命の相手と言われても……。


 「オソク ナリマシタ アサイサン イキマショウ」


 「分かったよ。九条院さん。じゃ木下、豊穣、屏風が来たらここで待っていうように言ってくれ、豊穣俺がいないからって屏風と喧嘩するなよ」


 「ゲロそれ分からないわね!」


 「お前なやっとできた俺以外の友達の一人だってのに……」


 「ゲロゲロ!」


 『屏風ちゃんは大事な友達だけど、どうしてもその気持ちが言えなくて……』


 はぁ仕方ないなこいつ。


 「まじでこいつをほとっくとめんどくさい事になるな……九条院さん悪いけど手短に頼むね」


 「ダイジョウデス ジュップン モ カカナライズデス」


 「でどこで話してくれるの?」


 「コウシャウラ ガイイデス」

 

 歩き出す九条院さんについて教室を出る。

 廊下を歩く九条院さんの姿を見て面くらってる生徒は何んかいるが、九条院さんは慣れたもので堂々と、自宅の庭でも歩くように優雅に人を交わしていく。


 やはりいいとこのお嬢様らしく立ち振る舞いに気品を感じる。

 今朝の事を九条院さんは冗談と捉えていたようだが、これだけの気品があれば九条院さんを見てくれる男なんて沢山いると思うけどな。


 なんとういうか、こんな気品を纏っていれば素顔は絶対美人だと勝手に想像してしまうぐらいの気品だ。

 途中屏風のクラスの前を通ったがまだホームルーム中だった。

 屏風が担任が思い出したように長話をすることがあると嘆いていたので多分それだろう。


 しかもつまらないとか。

 そんなことを考えつつ九条院さんの後について歩き続けて、校舎裏についた。


 「コナラダレニモ ミラレマセンネ」


 「一体何の相談なの九条院さん?」


 「ワタシノ ヒミツデス」


 そういってヘルメットに手をかけようとする。


 「九条院さん! 大丈夫なのそれとって、病気なんでしょ?」


 「ダイジョウブデス ヒトサエイナケレバ ダイジョウブナ ビョウキナノデス」


 そういうとヘルメットの両脇を押し込んだ。

 ㇷ゚シューと蒸気がヘルメット下部より吹き出た。

 昔見た映画にこんなシーンあったな。


 「ミテクダサイ ワタシノ……」


 「あれ金緑君と九条院さんじゃない。こんなところでどうしたの?」


 九条院さんがヘルメットの左右を掴んだところで、後方より聞きなれた声をかけられ驚いて後ろを向いた。


 「花さん」


 「ぶー学校では満開先生だぞ!」


 「アサイサン キョウハココマデニ シマショウ ツギコソハ ジャマニハイラレナイ ナイトコロデ」


 再び九条院さんを見えると、九条院さんはヘルメットから手を離していた。

 ヘルメットの下の素顔は気にはなるが、今は見せたくないなら無粋ってものだから別にいいだろう。


 「ああ、わかった」


 そういてスタスタと去っていった。

 九条院さん怒ってるのかな。

 気のせいか溢れる気品が粗くなってる気がする。


 「でっどうしたの愛の告白?」


 「さあ、よくわかりません」


 「まぁ彼女見てわかるとうり特殊な子だから仲良くしてあげてね」


 何気なく腕時計を見ると教室を出てから、8分しかたってなかった。

 本当に十分かかってない律儀な人だな九条院さんて、そんなことを思いっつ三人が待つ空室へ戻るため歩き始めた。


 ◇

 「いかがでした響お嬢様」


 車に乗り込んだ響に彼女が爺と呼ぶ黒の執事服の老紳士は尋ねる。


 「アサイサンニ スベテヲ ウチウアケヨウ トシタノデスガ スンデノトコロデ ジャマガ ハイリマシテ」


 「それは残念でございます。しかし、珍しいですな。お嬢様があの病を発病して早十年この案件に対して慎重な事の運びを、常としてきたはずですが」


 「ヤハリ ラシクナイデショウカ?」


 「失礼ながら肯定いたします」


 「ソレハ ワタシモ カンジテイマス ナゼカ アサイクンノコトヲ カンガエウト ムネガ アツクッテシマウノデス シンチョウニキタイジブンヲ セカスジブンヲ オシアゲルノデス」


 「それはおそらく恋の病かと思われます」


 老紳士はそう断言する。


 「コノ キモチガ コイ ナノデショウカ?」


 「まだ確証はありませんが、浅井殿の事を話す響お嬢様が、嬉々としていることはひしひしと感じる事が出来ます」


 「マダ デアッテ スウジツデスヨ コイナンテ……」


 その言葉に老紳士は静かに響の気持ちをさっし口角を緩める。


 「なるほど、納得したしました。どうら響きお嬢様は、浅井殿に全てを受け入れもらいうたいのでしょう」


 「タシカニ ソウ カンガエテイマス イマヨリモットフカク」


 「この短時間でここまで響お嬢様に好かれるとはなんとも魅力的な男性ですな。障害となるあの三名はいかがいたしましょう」


 「ジイ アノサンメイハ ダイジナオトモダチデス」


 「身の程が過ぎていましたね、失礼いたしました」


 「ワタシハ タダ イッコクモハヤク ワタシノヒミツヲ アサイサンニ シッテモライタイノデス」


 「しかし、大丈夫なのでしょうか? お嬢様の御病気は……」


 「ダイジョウデス ジイ カクゴハ シテイマス アサイサンガ ウンメイノアイテ デナクトモ アサイサンナラ ワタシヲ ウケイレテクレル ソンナ キガシマス」


 「了解いたしました。響お嬢様の運命のお相手が浅井殿である事をお祈りいたします」

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