0019盗聴器と豊穣の家
「でっ帰ってきたわけだが……」
あれから豊穣たちと家路ついた俺たちだが。
「なんでお前らが当たり前のようにいるんだよ……」
目の前各々くつろぐ三人に言葉を漏らす。
こういっても聞かないのはわかってるけどさ。
「ゲロ! いつもの事よ!」
「そう……で……す」
「右に同じ」
「お前らな……まあ慣れたけど。うん?」
後ろを振り返って窓を見た。
「どうしたの糞虫? バルダンでもたかれたの?」
「それ夜やったら高確率で火事だと思われるからな! いやなんでもない」
「どう……し……たん……で……すか」
「多分勘違いだ気にするな」
「金緑そう言われたら余計に気になるわよ!」
「いやな、窓から視線を感じてな……多分勘違いだ」
「では……一応……調べ……て……みま……す」
そういって木下はスマホを取り出しいじり出した。
なにやら音が聞こえる。
電波でも受信しているのだろうか?
「捕え……まし……た……あたり……で……す」
「なにが木下さん?」
「当たりってなによ! 雌ブタ一号!」
「まぁおちつけ豊穣、でっ何があたりなんだ木下?」
「これ……を……聞い……て……くだ……さい」
そういってスマホを俺たちに見せて、何やら操作した。
「これがな――」
【これがな――】
!? スマホから俺の声が聞こえた。
豊穣と屏風を見るがスマホは手にしていない。
どうなってんだ。
「この……部屋……盗聴……さ……れ……てい……ます」
「まじか?」
【まじか?】
エコーする音声マジなのか?
だれが何のために……。
俺はツッコミが得意なだけで普通の男だ。
それ状態自体普通じゃねーか。
だが俺を盗聴して得をするのはこいつらしかいないような……。
悪いと思っていても疑いの目を向けてしまった。
「言っとくけどバルダンを仕掛けたのは私じゃないわよ」
『そんなもの使わなくて、浅井君の事はわかっているつもりだから安心して』
「そんなもの仕掛ける時間があるなら、金緑の唇を奪うために使うわよ!」
「悪い二人と疑っちまて、ところで木下お前はなんでそんなアプリスマホに入れてんだ? 聞いた事ねーぞ。そんなアプリ」
屏風の言葉に合えツッコまないで、木下に質問する。
普通に屏風に証明する! とか、いわれそうだし。
「極……たま……に……盗聴器……を……仕掛け……られ……る……こと……が……あった……の……で……自作……しま……し……た」
「雌ブタ一号の仕事は盗聴されるほどゲロなのね!」
『木下さんやっぱりすごいな……もっと頑張らないと浅井君取られちゃう……』
「流石木下さんハイスペック!」
「でどこに、仕掛けてあるんだ?」
「これ……だ……と……思い……ま……す」
コンセントを指さす木下。
全くもっての安定の木下スペックである。
完璧少女と言ってもいいのかもしれない。
「これだけか?」
「電波……を……発し……て……いる……の……は……これ……だけ……の……よう……で……す」
木下の説明によると、電波を発しない類の盗聴器あるそうなので油断は禁物との事だ。
となると。
一度家の大点検が必要だ。
先ほど感じた視線もそれに関係するかもしれない。
社会的地位もない学生の家に盗聴器を仕掛ける自体、知人の可能性が高い。
三人は九条院さんを疑っているようだが、流石に出会って一日の相手の家に盗聴器を仕掛けるとか、九条院さんがそんな病んでいるとはさすがに思えず。
そのみねを伝えるが納得はしていないようだ。
そして三人は今じゃんけんをしていた。
さて、状況を整理しよう。
俺の部屋で盗聴器発見!
↓
監視の疑いもあり。
↓
家の大点検でそのての機器を全て撤去しなくてはいけない。
↓
となると今日はこの家は怖くて使えない。
↓
今ここ。
なんというかこれ振り返るほど長いスパンの出来事じゃねーな。
いわゆる無駄な語りってやつなのかもしれないが、無駄を楽しむのも娯楽の一緒だからよしとして、一体どんなもの好きが仕掛けたかは知らんが、そしてこいつらはじゃんけんに夢中だ。
自分で言うと果てしなく自慢に聞こえるからあまり言いたくないが、木下によると専門の業者が来るのが来るのが数日後になるそうなので、それまで誰の家に泊まらせるかのじゃんけんなのだ。
そういえば屏風の家にはいったことがないな。
木下は高級マンション。
豊穣は普通の二階建ての一軒家。
そうくると、屏風の家は意外と金持ちだったりするのか?
ここで家がこてこてのお好み焼き屋とかたこ焼き屋だったら面白いが、あの屏風の事だ落ちはつけてこないだろう。
「勝った!」
おっどうやら終わったらしい。
手をチョキのまま天に伸ばしたそいつに視線を向ける。
残りの二人の表情は暗い。
まじで、こいつら俺が大好きなんだな。
俺も嫌いではないが。
ここまで女子の好感度が高いと青井みたいなやつの嫉妬の熱で、家ごと燃やされちまうんじゃないかと思えるぐらいだ。
そんなおおげさなことを思いつつ、暫く世話になるこのたびの勝者様に声をかけた。
「お前んちに暫くやっかいになるんでいいのか?」
「ゲロ! そうよ!」
『うん! 歓迎するよ! 浅井君!』
◇
そんなわけで豊穣の家にやっかいになる事になた俺は、下着と着替え制服を古びたた
リュックサックにつめ。
家を出た木下と屏風と一緒にだ。
どうやら二人は豊穣の家と親御さんが気になるらしい。
そりゃ連日毒しか吐かない奴の親は、テンプレ的に親の顔が見てみたいと思うのが自然の成り行きというモノ。
豊穣は家に連絡をしたようだが、一発OKを貰った。
あの人らしい即断である。
昔からの付き合いとは言え、やたらあの人に俺は信頼されていた。
そりゃこいつの相手はおれぐらいしか、つとまらないけけど。
いつも俺とこいつを……今は考えるのはやめよう。
あの人豊穣の親御さん豊穣海さんは、少しばかり変わっているが悪い人ではない。
常識人に見えて常識人ではないけど。
そして歩いて5分俺の家の見てとれる赤い屋根の一軒家。
時間は5時にさしかかりあたりは暗くなってきた。
荷物を置いて海さんに挨拶をしたら二人を送らなおいとな、夜道を年頃の女の子二人でい掛けるのは男として放っておけない。
そんなこと考えている間に目的地に到着。
やっぱり近いなと分かりきったことを再確認すると屏風が口を開いた。
「豊穣の両親ってどうゆう人たちなの?」
「私……も……聞き……た……いで……す」
「少しばかり変わっていてキャラは濃いけどいい人だぜ。特におばさんはね。おじさんは普通の常識人当然いい人だ」
「まあこいつの親だから、癖が強いんだろうことはわかったわ」
『期待してるぜ金緑!』
俺に期待されてもどうしようもないと思うが木下。
すると黙りこけていた豊穣が口を開いた。
「ゲロ糞虫! 母さんに挨拶しなさい!」
「俺がインターホンを鳴らせと?」
「ゲロそうよ!」
『なんでこんな時も本当に言いたいとがいえないの私のバカバカ!』
豊穣も相変わらず大変だな。
そんなことを思いつつインターホンのボタンを押した。
「海さん金緑です」
ガチャと扉が開かれそこいらのモデル女優太刀打ちできない色香と顔を持つ女性――豊穣海さんが現れいつのノリの言葉を放つ。
「金緑君ついに家の娘を孕ませて私の息子になってくれるわけね!」
「海さんまたその話題……」
いつもと変わらぬ海さんにため息が漏れる。
見かけは子持ちとは思えない美貌で胸だって大きい、顔は豊穣とそっくりで背丈も少し高い。
豊穣のスタイルを上位変換した感じだ。
黙っていえば美人だけど流石豊穣の親といった感じで性格に難がある。
ことある事に、早く孫の顔が見たいと俺と豊穣をくっつけようとしてくる。
「だって初孫よ! 早く見たいじゃない!」
「ゲロお母さん!」
『ちょっとやめてよ。そういうのはいつか私から……』
「まだそういう関係じゃないの? 仕方ない子ね! 今日金緑君に薬盛っとくから! チャンスよ!」
「そういうのは俺のいない所でしろ!」
「冗談よ! 冗談! こうい事は気持ちが通じ合ってした方が幸せだからね! 私のダリーンと経験済みよ!」
「だったら言わんでください」
「もー義理の息子はノリが悪いわね! ところで後ろの可愛い子二人は誰?」
「こいつが木下で隣が屏風、多分豊穣の友達」
「私……は……木下魚……です」
「私は屏風風花よ!」
俺の紹介で二人は海さんに自己紹介をする。
海さんは目を丸くしてわなわなと震えだした。
どうしたんだ海さんは?
「灯が初めて金緑君以外のお友達を連れてきたーーーー!!!」
海さんは顔を綻ばせ木下と屏風の手を握りぶんぶん上下する。
「うちの娘と仲良くしてあげてね! ちょっとばかり勘違いされる子だから……」
少し表情に影を落とすがすぐに顔に歓喜の色を灯す海さん。
「今夜は祝いね! 二人ともぜひ家で夕食食べていって金緑君が家に泊まるっていうから気合入れて作りすぎちゃって」
「悪いですよおばさん……」
「むー屏風ちゃん遠慮は良くないぞ! 後私は海お姉さんか海さんて呼んで、おばさんと言われる一気に肌年齢落ちそうだから! 木下ちゃんは食べてくわよね!」
「ごち……そう……に……なり……ま……す」
「木下さんがそういうなら私もごちそうなるわ」
「ところで金緑君! だれが本命なの? うちの娘がお勧めよ! 金緑君にベタ惚れだからいい嫁にきっとなるわよ!」
「まだきめてませんけど……」
「なるほど! ハーレムってことね! 金緑君は優しいから仕方ないけどいつか選んであげてね! なんならハーレム展開ばっちこいよ! これからも娘をよろしくね! さあ三人とも上がってすぐ準備するから!」
そういって海さんは、玄関を開けて家の消えていった。
「さすが、豊穣の親御さんね。キャラが濃い」
「屏風お前も似たようなもんだぞ」
「あらそうありがとう!」
「なんで笑顔で返してんだよ!」
「芸人にとってキャラは命なのよ! キャラがあるからバラエティで活躍できるのよ!」
「そうかい頑張れよ」
「うん、金緑と共にね!」
「なんで俺が出てくるんだよ!」
「私はお笑いと人生のパートナーは金緑って決めてるんだから!」
「私……も……同じ……で……す」
『金緑は俺のもんだぞ! 屏風!』
「何デレデレしてるのよ! 糞虫!」
『二人ともずるい! 私だって同じ気持ちなんだから!』
「分かった分かった三人とも! 寒いから豊穣の家に入ろうぜ」
◇
「響お嬢様、盗聴班監視班ターゲットに気づかれたようです」
高級感のある装飾が施された家具に囲まれた広い室内で、スーツ姿の老紳士はヘルメット姿の女性――九条院響の前のテーブルにコーヒーを置きそう告げた。
「モウデスカ……」
そういながらカップの輪に指を通す。
「どうやら木下魚は中々の切れ者のようです」
「デワ リョウハンニ レンライヲ ニンムハ チュウシデス」
「よろしいのですか?」
「コウモ ハヤク キヅカレタノ デス コレイジョウハ ムダカト ジイ コレマデノ チョウサ データヲ」
「は! こちらに!」
「ヨミアゲテ クダサイ」
「浅井金緑、17歳、2000年10月1日生まれ。
県立巨田高校普通科一年。
両親とも海外転勤中自宅で一人暮らし。
幼少のころより豊穣灯と共に過ごす。
高校入学後ほどなく木下魚、屏風風花出会い現在の関係を築く。
過去のデータでは素行の問題は無。
常にともにいる上記三名は浅井金緑に好意を向けている。
彼女達と肉体関係は無。
性格はとても寛容、毒舌の豊穣灯を難なく受け入れ、周りの人間の信用は厚い。
簡潔にまとめるとこうなっております」
「ジイハ ドウオモイマス?」
「中々の人格者かと、特に豊穣灯を邪険にせず普通に接するのは、若かりし日の私ならば難しいかもしれません」
「ソレホド デスカ?」
「齢を重ねた、今ならいざしらず若い頃ですと……」
「ヤハリ ステキナカタノ ヨウデスネ キンリョクサン」
「報告書を読むかぎりそうですな。自身に好意を向ける女性が三人もいながら一切手を出さないとは中々の紳士のようです」
「コノヨウナ トノガタダッタラ ウンメイノアイテデ ナクトモ アリノママノ ワタシヲ ウケイレテ クレルカモシレマセンネ」
「可能性は高いかと調査を続行しますか?」
「イヤ イイデス ニンゲンセイガ ワカレバ イイダケナノデ」
「了解しました。では明日からは、所定の位置で車を止めるということでよろしいでですか?」
「オネガイシマス ウンメイノアイテカハ ワカリマセンガ キンリョクサンに キョウミガ ワイテキマシタ」
「今度こそは例の人物であるとお祈りしております……」
「ソウダト イイノデスガ キンリョクサント イッショニイルノハ タノシイノデ ケンショウハシンチョウニシマス」
「珍しいですね。響お嬢様が異性にここまで興味をお持ちになるのは」
「ソレダケ キンリョクサンガ ミリョクテキナノイデス コンナ カブリモノヲ シナイト タシャト セッスルコトガデキナイ ワタシウヲ フツウノ オンナノコ トシテアツカッテクレタ ハジメテノ カタデシスカラ」
「響お嬢様これ以上は食後のコーヒーが冷めすぎてしまうかと」
「ソウデスネ イタダキマショウ」
シャコンと、ヘルメットの下部がスライドし響のシミ一つない真っ白な肌と真っ赤な口元が露わとなる。
そのまま響はコーヒーを一口飲んだ。




