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俺の毒舌幼なじみの心の声が甘々の件について  作者: 師失人 
その二~最高のキスしよう~
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0014恋する三人の理由

私は世の中はボケとツッコミの関係だと思う。

 世の中はボケとツッコミ満ちている。

 ボケという名の事件が起ればどこかの誰かがツッコむ。


 漫才やバラエティと違いう所言えば、世の中の事件というボケは、必ずしも人を喜ばせる意図があるとは限らない事だろう。

 悲劇も喜劇も事件というボケで成り立っている。


 事件は何かしらの意志や現象が絡んで起こる物だ。

 だからこそ人為的に人を楽しませようというボケと同義であると私は思える。

 ボケに悪意があろうが善意があろうが、誰かがそれに答える。

 それがツッコミだ。


 誰しもが、ボケという行動で世界世の中からツッコミを受けている。

 それに気づいてから私は漫才に世界の縮図をみた。

 同時に憧れを抱いた。


 漫才師のボケはさながら難事件の様相を扮し、普通の生活でそれ現れたら解決が難しい事柄ばかりだ。

 しかし、ツッコミはその暗雲を容易くはらし、笑いという青空に観客を導く。


 それはさながら困難を剣一本で切り抜ける英雄劇。

 ツッコミという勇者の剣はボケがなくては輝かず。


 ボケはツッコミ失くしては世に疎まれる。

 単体では疎まれるだけのボケも、ツッコミという勇者の剣と合わさる事で、世に疎まれる事柄であるはずのボケは、笑いという人々を楽しませる喜劇へと変わる。


 だからこそ私は憧れる。

 漫才に、ボケという困難を言葉一つで切り抜けるツッコミという勇者に。

 でも、私は勇者にはなれない。

 困難を声一つで解決できる人は一握りだ。


 残念ながら私にその素質はなかった……。

 だけどある日私は勇者と出会った。

 最初はクラスで囁かれていた噂だった。

 三つとなりのクラスに夫婦漫才を日常的に行ている人がいると。


 最初は興味がなかった。

 どうせたしたことがないと。

 そんなある日の事だ。

 学校への登校中物凄い暴言を聞いた。

 男子生徒を糞虫と呼び。

 友達かはわからないが隣をあるく小柄な女子生徒を雌ブタ呼ばわり、明らかに常軌を逸している。


 まさに争わず切り抜けることが難しいトラブル類だ。

 驚きにあまり目を見開いていると、男子生徒が口を開こうとするのが見えた。

 言い返して言い争うのだろう。

 普通なら無視が賢明だ。


 しかし、私の予想は外れていた。

 彼が出したことは私が求めてやまない――勇者の剣、彼はこの場を声一つで彼女暴言をギャグにしてしまった。

 その時私は彼の隣を歩く暴言を吐いた女に苛立ちを覚えた。

 彼の存在がなくては彼女はまともに学園生活など送れないだろう。


 その幸運にあやかり依存する彼女に苛立ちと共に憧れを抱いた。

 私も彼のような人間にツッコんでもらいたいと。

 彼のパートナーに慣れればどんな時も笑いの絶えない事が容易く予想できた。


 それでもなお暴言を吐き続ける彼女に対しその男子生徒は、ツッコミ倒す。

 一つ一つをとれば場が凍りつく暴言を全てツッコミで相殺する見事な腕だった。

 それを学校につくまで見ていた私は、教室の自分の席で考え決めた。


 あの人に会ってみようと。

 昼休み私は朝と同じく夫婦漫才を繰り広げる二人に話しかけた。

 何といったらいいかわからず、暫く黙ってしまいやっと出た言葉が。

 「温泉饅頭!」


 何故か私が生まれる前に流行った芸人のギャグだった。

 いくら何でも私でも分かったすべったと……。

 でも彼は、それを意図も容易く相殺してくれた。


 私の夢は芸人だが、自分に才能がない事は理解している。

 作るギャグは笑いを取ったことないし、ツッコミなんてひどいものだ。

 そんな自信なんて皆無だった私のギャグにに彼は全力でツッコんでくれた。


 それが私を肯定して受け止めてくれているように感じた。

 その時、私は彼に好意を抱いた。

 いかなるボケに対しても答えてくれるツッコミとして。

 自分を受け止めてくれる男性として。


 それから私は彼とよく一緒にいるようになった。

 二人のライバルはいるけどとても楽しい。

 このまま彼とコンビを組めればそれほど嬉しい事はない。

 彼だったら私のどんなボケも受け止めて返してくれる。


 彼と一緒にいて私は自分のボケに少しだけ自信が持てた。

 彼さえいればきっと私は夢が叶わなくとも幸せになれるだろう。

 彼と一緒にいて切にそう思うようになっていた。


 そして私は彼とキスをした。

 彼はライバルの一人とキスをしているからお互い初めてではないけど。

 こんな機会がなくては私は彼とキスできなかったもしれない。


 彼は私は少しだけだがないがしろにする。

 別に気分が悪いわけじゃないけど、きっと私と彼の出会い方が悪すぎるのだろう。

 それでも私は彼が大好きだ。

 芸人を目指す自分と、普通の女の子としての私を受け入れてくれる彼が。


 今は眠り続ける彼が。

 彼が起きたら断固として言ってやろう。

 私、屏風風花ちゃんをもっと大切にしなさい! と。


 ◇

 全く持って言葉とはめんどくさい。

 吐いてしまえ空気に消え失せる言葉と声は俺は苦手だった。

 聞くのは楽だが俺自身は声を出すことが苦手だ。

 何故かわからないが俺は物心ついたころから声を思うように出すことができなかった。


 心の中の俺は饒舌に語っているのに表の俺は思うように声を出せない。

 相手と対面すると何故か緊張して心の中の自信は吹き飛んでしまう。

 だから俺の心と外面は大きな開きが出てしまった。


 表のまともに会話ができない俺と。

 饒舌で粗暴な俺。

 その二つは紛れもない俺だが、別人と見えるなら見る人は言うだろう。

 そんなこともあって俺は小さい頃から本当の俺を表現する方法を模索し始めた。


 そんな中で俺に一番合ったのは漫画だった。

 最初はなりたい自分を漫画することから始まり気がぐれでオリジナルの登場人物を登場させて、遊びで漫画を描いた。

 それは、自分を内側を吐き出しているようで充実した時間だった。


 良い出来だと思った俺は目ついた出版社主催のコンテストに、それを出した。

 当然受かるなどと欠片も考えずに。

 ただ良い出来だったから運よく意見を貰えたらいいと言う軽い気持ちでだ。


 しかし、俺の予想は大きく外れ送ったそれはそのコンテスト大賞を受賞。

 気まぐれに書いた処女作は俺の最初の連載作品になった。

 漫画を描くことは大変で忙しいが充実した日々で、人気も獲得。


 中学から漫画家を初めて高校入学の時期なり仕事面金銭面では順風満帆。

 でも。俺の積年の願いは叶わないままだ。

 そんな時面白い奴らを見つけた。

 それは高校に進学して初日。

 一人は毒しか吐かない毒舌女。


 もう一人はツッコミに妙なキレがある男だった。

 毒舌女の吐く毒は相当な物で、完全に訴えかれかねないレベルだ。

 男はそれをツッコんでいく。

 俺は感じたこの女俺と同じだと。

 こいつも心と外面が違うのだと。


 その証拠にその男にぶつける毒は、先ほどクラス全員でした自己紹介をした時より遥かに明るく喜んでように感じた。

 面白い奴らだ。

 この男の精神構造も興味が持てた。


 毒を浴び続けてケロッとしているどころか、全て相殺など並の精神では考えられない事だ。

 俺は興味本位で奴らに話しかけた。

 男の方はこんな毒舌女を見捨てないような優しい奴で、面白い奴だった。


 毒舌女も同じだ。

 見かけはツンしかないが僅かに漏れ出るその男に対する熱視線は見ているだけで面白い。

 これは勉強になる。

 その男はどんな暴言でもツッコミ倒し、夫婦漫才を連日繰り広げる。 


 俺はそれをみて心の中でほくそ笑む楽しい毎日。

 その男は俺のたどたどしい言葉をしっかりといつだって受け止めてくれる。

 その理解力も中々な物で、俺の伝えきれない意図さえもいつもくみ取ってくれるのが嬉しかった。


 そんなある日、男は言った毒舌女の心の声が聞こえるようになったと。

 俺はそれを聞いて咄嗟にこいつを渡したくない! と思った。

 ずっと前から気づいていたのだ。

 この男に惹かれていたことを。

 俺はこいつが好きなのだ。


 男の持ちかけた相談によって改めて俺はそれを認識した。

 俺はこいつと一緒にいるのがたまらなく好きなのだ。

 こいつと一緒にいれば漫画のネタだって困らないし、会話はいつも楽しい。


 どんな毒舌でも受けとめて無効化してしまう包容力だってある。

 そして気遣いもできていつも優しい。

 彼なら俺の本心をさらけ出しても受け止めてくれるだろうと確信さえ持てた。


 そんな最高の優良物件の異性といつも一緒にいれば好意を持つのは仕方ない事で。

 毒舌女もきっと同じなのだろう。

 似た者同士同じ相手を好きになるなんて何とも漫画ちっくだ。


 だからこそ俺は毒舌女に負けたくなくて。

 そいつに俺の心を繋げた。

 俺の好きな人は俺の夢を叶えてくれたのだ。

 これでで俺は本心を伝えることができる。

 俺とあいつとの関係はまだまだ続く。


 だから絶対戻ってこい――。

 俺、木下魚はまだまだお前と一緒に居たい――。

 隣で白無垢を着るのは俺が予約しているのだから――。


 文句があるなら目を覚ませ! 俺は待っているから――。

 いつまでも待っているから――。

 

 ◇

 私は酷い女だ。

 私の口から吐く言葉は周り全てを傷つける。

 友達であろうと大好きな人であろうとも。

 家ではあんなにやさしく話せるのに……。

 私の居場所は世界でたった二つ、家族のいる自宅か大好きな人のいる場所だけ。


 もういつから家以外で口から毒しかでない様になったのか覚えていない。

 忘れてしまうほどの量の毒を吐き続けたからだ。

 どれだけの人を傷つけ怒らせたかは自分でもい把握できていない。


 そんな時いつも私をかばってくれたのは近所に住む幼なじみの大好きな人だ。

 本当はこんなこと言いたくない!

 心で何度も叫んだ。

 でも口から出る毒は一向に減らない。


 むしろ増えてきていた。

 私は危機感を覚えた。

 その毒が心まで回り私が真っ黒になる夢を見始める。

 そんな時だった。

 大好きな人が私の毒の返しにコントのようにツッコミをし始めたのは。 


 私はその日初めて口から吐く毒が面白いと思った。

 ずっと嫌いだった毒に初めての感情を抱いた。

 大好きな人は私の吐き続ける毒を中和してくれた。


 ずっと人を傷つけてきた毒が無害になったのが嬉しかった。

 大好きな人がいなかったら私は悲惨な人生を送っていただろう。

 すると私を浸食するかのよう沸き続ける毒は収まりを見せ。


 私は真っ黒になる夢をいつしか見ることがなくなった。

 段々私の毒は薄くなった。

 でも、日常的に吐き続けた毒が今更収まるはずもなく。

 大好きな人によりかかる日々。


 正直に大好きと言いたい。

 彼の目の前で。

 家族の協力あって小、中、高と全て同じ学校同じクラス最高のおぜん立てはされているのに、想いを告げらない。

 想いのあまり寝込みにキスをしようとしても、大好きな人が飛び起きてお互いの頭をぶつけてしまった。


 いつも隣にいるのに――。

 こんなに近くにいるのに――。

 大好きな想いはこんなにも溢れているのに――。


 でもわかってるきっと大好きな人は私を選んでくれない。

 ずっと毒を吐き続けて浴びせられ続けて、今更好きと言われて受け入れるはずもない。

 それでも私は彼が大好きなのだ。


 私を受け入れてくれる彼が――。

 私に普通の生活をくれる彼が――。

 でも、彼の初めてと二番目の唇を友達に奪われたのは少しだけ悔しかったな。


 それでもこんな私と一緒にいてくれるやっとできた同性のお友達だから特別に許してあげる。

 もし私の知らない誰かに大好きな人の初めての唇を奪われてしまったら、私はきっと泣いていた。


 だから許せる。

 次は私の番と心が躍ったのに、彼は私をかばって深く深く傷ついてしまった。

 彼は私を守るためにその手を血に染めようとしたけど。

 その時私は初めて心の中に溢れる想いを声にできた。


 大好きな人の綺麗で優しい手がこんなやつの血で染まるのは許せなかった。

 私は大好きな人の唇を奪えなかった。

 だから目を覚ましたら一番最初に唇を奪ってやるのだから。


 早く目覚めて大好きな人。

 私はずっと前から貴方がいないと生きていけない――。

 私の居場所は貴方の隣――。

 私の全てを受け入れてくれるのは世界で貴方たった一人――。


 ずっとそうだったそれはきっと一生変わらない――。

 それは例え貴方が私以外の誰かを好きになっても――。

 私が貴方のために身を引いても――。

 だから早く目を覚まして私が一番大切な大好きな人――。

今思えばこれノープラン即興で書いたっけ。

まぁ他のもの同じようなものだけど

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