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べたべた

「あら! 九条院さんおはよ!」


 「おは……よう……ござい……ます」


 「おはようございます、屏風さん木下さん豊穣さん金緑さん。ところで何をなさっているのでしょうか?」


 「毎朝恒例の金緑の腕の奪い合いよ! これで足りなくなった金緑ニュウムを補充して乙女心を高めてるの!」


 「簡単に……言えば……密着……する……ことで……自分たち……の……金緑君……への……好意……を……確認……して……いるの……です」


 全くこいつらは飽きもせず毎日毎日べたべたして、別に悪い気はしないけど。


 「そういうことよ! メインヒロインを決める戦いの側面もあるけどね!」


 「そういうことならエイ!」


 俺の腰に抱き付く九条院さん。


 「ちょっと九条院さん」


 「金緑さんいい匂いです! 男性の香りは臭いと聞きますが金緑さんは別です!」


 「ほんと! じゃあ私も!」


 「私……も……です」


 「ゲロ! 私も!」


 そういって皆で俺をくんかくんかと香りを嗅ぎだす。

 何か凄くくすぐったい。

 四人は猫の腹に顔を埋めて感触を楽しむ様に顔を押し付けて左右に揺らしている。


 「ほほう、中々癖になるわね!」


 「父……以外……の……男性……の……体臭……は初めて……かぎま……した……が……中々……いい……です」


 「ゲロ!」


 『やっぱりいつ嗅いでも浅井君の香りって落ち着くなもうすこしクンカクンカしとこ』


 「さすが金緑ね! 私好みの香りだわ! 何か香水使ってるの?」


 「いやそういうのは特に」


 「その……わり……には……いい匂い……です……が」

 

 「確かにそうです。素朴だけど落ち着く香りがします。それなりに香水についての知識はありますが初めて嗅ぐ香りです」


 「ゲロこれはいつもの事よ! 糞虫は昔からこんな香りよ!」


 『むふふ! 浅井君の香りに皆メロメロみたいだね! 流石私の浅井君だよ!』


 「これは金緑と結ばれたらクンカクンカプレイは検討しないと!」


 「私……も……したい……です」


 『そりゃいいな! やることやった後で鼻に芳香が香るって最高だな!』


 「確かに木下さんの思っているのいいですね! 幸せな気持ちで子孫が作れそうです!」


 「何それ詳しく!」


 「ゲロ!」


 屏風と豊穣に九条院さんは耳打ち。

 木下はほんのり口元を緩めている。

 

 「いいわね! 明るい夫婦生活が見えてきたわ!」


 「ゲロ!」


 『浅井君の匂いを嗅ぎながらなんて! 流石木下さん! 私もしたい!』


 「そうですねきっとすごくよさそうです!」


 「そうね! 話は変わるけど豊穣、貴方金緑にやりすぎじゃない? 自己主張しまくりじゃない」


 「確かに……豊穣……さん……の……金緑……君……への……愛……を……感じ……ます」


 『ラブラブの新婚夫婦みたいで少しやけちまうぜ』

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