超強気
そんなわけで九条院さんが四さスタイリスト二人が俺たちの髪型やら化粧やらを担当する事になった。
そして今俺と全道はアコーディオンカーテンで仕切られお互いの顔は見えない。
「僕が呼ぶ手間がはぶけたよ!」
などと全道言っていたがこの状況よほどのことがなければ問題にしかならず普通の学校なら容認した花さんが首にされかねないが、よほどの事である九条院さんの家の力があるので問題ないだろう。
それをまるで自分でもできるニュアンスだったが。
全道の家は九条院さんの家より格下みたいに花さんは言っていたが、ここまで自信満々だと少し不安になる。
「金緑君降参するなら今だよ!」
横のカーテンから全道の声が飛ぶ。
「言ってろ! お前なんかに大事な豊穣を渡さん!」
「それは無理だね! 僕と豊穣さんは運命で結ばれているのさ!」
なんだこいつ? 早く何とかしないと。
とどこかで聞いた事がる様な考えが浮かぶ。
それよりこいつカッコいい悪い以前に性格かなり残念だな。
「それにしても君少しばかりお金持ちの女の子を侍らせてるんだね! こんな英断を即実現させるなんて! でも九条院なんて聞いた事がないけどね!」
全道の金持ちアピールと嫌味が飛ぶ。
これは無知なだけかそれとも。
「そうだ! この結果に豊穣さんをかけてくれよ! 当然僕が勝ったら豊穣さんを渡してもらおう!」
その言葉に流石の俺も怒りが。
「何考えてんだ! 豊穣はものじゃねぇ! 本人がいいといっても簡単に渡せるか!」
「ゲロ! 受けて立とうじゃない!」
「豊穣何言って……」
カートンの外から聞こえてきた豊穣の声。
俺は思わず立ち上がる。
「糞虫! 聞きなさい! 貴方は私の自慢の虫よ! 信じてるから!」
「せめて! 普通に応援してくれませんかね!?」
『大丈夫だよ! 私は浅井君がかっこい事なんてずっと前から知っているんだから! 信じてるよ大好きな浅井君』
「お姫様の合意は得たね! 君の敗因は僕にもスタイリストをつけた事さ! 君より僕の方が下地はカッコいいんだからね!」
どこから来るんだこの自信?
こいつってそこまでカッコいい顔してたか?
俺の頭の中は全道の超強気なセリフにクエスチョンマークの奔流が止まらない。
審査するのは確実に俺に票を入れる木下と屏風、九条院さん以外の豊穣と花さんを含む女子の投票で決めるとか。
花さんも豊穣も確実に俺に票を入れるだろうから二票は確実だとして、残りの女子18人の票がどう流れるか。
「僕の方は終わったけど! 金緑君はどうだい?」
スタイリストに確認するとOKらしい。
思えば少し髪を切ってワックスでほんのり整えただけに感じたが、大丈夫なのか?
ええいここは強気に。
「こっちも終わったぞ!」
「じゃあ! 僕が先攻だ! 僕の溢れる輝きを見れば君なんてかすれてしまうからね!」
「どうぞご勝手に」
「おやおや自信がないのかな? まぁ当然だけどね!」
俺落ちつけ。
少なくとも心では勝たねばどんな戦いもやる前から勝負は決している。
負けた心は戦いを拒み敗北へといざなう。
仮に勝ったとしても、そんな勝利は何ももたらさない。
だからこそ落ち着いて理論的に論理的に考える。
自分の定めた勝利という目標に自分の力でたどり着くにはこれが一番だ。
どんな時も冷静に思慮深くこれが基本。
そう心を落ち着けていると、自信が僅かに湧き上がって、すると隣から勢いよくカーテンがひらかれる音が。
「どうだい! 僕の美貌は! しっかり見ておくれよ女の子たち!」
ちょっと灰汁が強す来たかなキャラ的に




