指導室送り
「あらら木下さんたらやるわね」
「木下さん大胆です」
「ゲロ! 流石メス豚一号!」
『あわわわ木下さん大胆だな』
「何だお前ら、言いたいことがあるならはっきり言え」
何故か知らんがにやけ顔の面々。
木下が何かしたのか?
その疑問を木下にぶつけた。
「魚お前何かしたのか?」
「ふふふふ……しま……した……何を……したか……は……お楽し……みです」
木下の口角が緩む目が前髪で隠れていても木下の表情が分かる。
悪戯をする子供のような笑みだ。
どうせきいても教えてくれそうにないので、そのまま学校へ向かって歩くが正直言ってしんどい。
いくら木下が小柄で軽いといっても、結構な重労働だ。
しかし、木下はとんでもなく上機嫌で心の声を飛ばしてくるので頑張った。
ここまで喜んでもらえるなら男冥利につきるってやつだ。
ここで下すとか妥協するのは男としては考え物だからな。
そして何とか校門前。
人が立っている普段は立っているのが男性教師だが、制服姿で腕に腕章。
見たことない顔だが多分風紀委員か。
顔はそこそこ整って町内一のモテ男的な小奇麗な顔をしている。
そしてそのまま木下をお姫様抱っこのままと通りぬけようとすると。
「君待ちたまえ!」
その風紀委員が俺の肩に手をのせ俺を引き留める。
「はい? なんですか?」
「この子は足でも怪我をしたのかい?」
「いえぴんぴんしていますが」
「ではなんで運んでいるのかね?」
確かに正論だがなんだかこの人言動がいちいち芝居がかって凄い胡散臭い。
いつもだったら教師はスルーしてくれるから油断してたな。
生徒には木下のコネと九条院さんの権力及んでいないようだ。
めんどくさい事になる気がする。
「こいつがこれで登校してくれって言うから」
「それより君その首のキスマークは何だね?」
「キスマーク?」
「私……が……さっき……つけた……物です……唇……に……塗る……と……目立ち……ませんが……肌に……つける……と……薄っすら……残る……特別……製です」
「魚お前な……」
「いいから君彼女を降ろして生徒指導室に来たまえ、君の行為は大いに風紀を乱している!」
「ちょっとなによアンタ! 私の金緑を連れて行かないでくれる?」
「そうです! 私の旦那様ですよ!」
「ゲロ! そうよ! ミドリムシみたいな顔したやつ、糞虫から手を放しなさい!」
「ミドリムシみたいな顔? まぁいいかそれよりくるんだ君!」
「ちょっと何するの――」
「まぁまて屏風こいうのは断ると後がめんどうだから、といわけだ降りてくれ魚」
「分かり……まし……た」
『この野郎俺の夢のひと時を邪魔しやがって後で覚えてろよ!』
「物わかりが良くて助かるよ来なさい君!」




