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ドリームゲーム  作者: 武藤希依
1/3

願いを叶える為に

「君が叶えたい願いはなんだい?」

そいつはいきなり現れ、そして聞いてきた。


「僕の前に現れたということは君にはどうしても叶えたい願いがあるのだろう?僕にはその願いを叶えてあげることができる。さぁ君の願いを聞かせてくれ。」


俺は、俺の願いは、あいつを、、、。




ピピピピピピッ!

「!?」

目覚まし時計が鳴り響いて俺は飛び起きた。

「…なんか変な夢だったな。」

まだ寝ぼけた頭でさっきまで見ていたであろう夢のことを考える。

「本当に願いが叶えばいいのにな…。」




学校へ向かっているといきなり後ろから肩を叩かれた。

「湊人おっはよー!相変わらず辛気臭い顔して歩いてるねー!」

「真希は相変わらずうるさいな。」

「いやーそれほどでも〜。」

(褒めてないんだけどな。)


こいつ佐倉真希(さくらまき)は毎日のように朝声をかけてくるのだ。


「今日も咲希のとこ寄るのー?」

「あぁ。」

「そっか。じゃあうちも行くからまた一緒に行こうねー!」

そういってそそくさと学校の中へと消えていった。

「相変わらず嵐のようなやつだな。」




いつも通り授業をこなし、放課後俺は真希と共にある病院へ行く。

迷わず入院病棟へ向かい、佐倉咲希と書かれたプレートのドアの前で止まった。


「おっはよーっ!」

真希は勢いよくドアを開けた。

「真希いつも病院では静かにって言ってるでしょ。それにもう朝じゃないよー。」

「ごめんごめーん。でもこんなに静かなとこにいるとつい大きい声とか出したくなっちゃうんだよねー!」


ドアの先にいたのは真希の双子の姉、佐倉咲希(さくらさき)だ。


咲希は困った顔をしながら真希に注意しているが内心はとても嬉しそうだった。


「今日も元気そうだな。」

「湊人昨日の今日でそんな急に悪くならないよ〜。先生にも今日もとっても体調いいですねって言われたんだからー。」

咲希はとても嬉しそうににこにこしながら話している。

「余命あと1年なんて嘘にしてやるんだからねっ!」

笑顔でそう言っているが少し顔が曇っている。


咲希は先週の定期検査で余命あと1年と申告されている。


「そうだそうだ!さっさと治して一緒に学校行こー!」

真希はそう言いながらバッグから勉強道具を出した。

「さてと。今日もやりますかっ!」

咲希もベッドの脇に置いてあった勉強道具をテーブルの上に広げた。

俺は部屋の隅においてあった折り畳み式のテーブルを広げ、自分の勉強道具をそこに広げた。


咲希は元々体が弱く、よく体調を崩していたが中学を卒業してすぐに家で倒れ、高校が始まる前に入院してしまったのだ。


俺たちはみんな同じ学校で真希と俺は同じクラスでもある。

なので俺たちはほぼ毎日咲希にその日習った勉強を教えているのだ。


「こうやって毎日復習してるとテストの点数もすっごくいいんだよねー!」

「お前は中学の時すごい点数悪かったもんな。」

「そんなことないよ!だってほら中学2年生の時の数学のテストで一回湊人に勝ったもん!」

「あの時のは俺が解答欄が一つずつずれててってやつだろ。」

「それでも勝ったことには間違いないもん!」


真希はとても負けず嫌いで頭が悪かったのだ。

それとは反対に咲希は中学では1.2を争うほど頭が良かった。


「これ一応解いてみたんだけどこれでいいのかなぁ?」

そんな言い合いをしていると咲希は構わず勉強を進めていたようでまだ教えていなかった部分まで問題に答えていた。

「さっすが咲希!あたしが分からない問題解けてる!」

「お前分からないってここ今日やったとこだろ。」

「なんですとー!?今日はちゃんと授業聞いてたつもりだったんだけどなぁ、、、。」

「授業始まって1分も経たないうちにうとうとしてるの見えたけどな。」

「なんと!?やっぱり睡魔には勝ててなかったのか!」

「やっぱりってな、、、。」

真希と俺のやり取りを見て咲希は嬉しそうに笑っている。


俺はこの笑顔をずっと見ていたい。

何をしてでも守りたい。

そう思っていたからあの変な夢をみたのだろう。


この時はまだそう思っていた。




「やぁ。また会ったね。まぁ僕が君をここに呼んでいるんだけどね。」

今俺の目には白い帽子と白い服を着た羽のはえた小さな妖精のようなものがうつっていた。


「お前はたしか昨日の夢に出てきたやつか。これは昨日の夢の続きなのか?」

「そうだよ。昨日も僕は君をここに呼んだのさ。そして今日は昨日の問いの答えを聞こうと思ってね。」

この妖精のようなやつは嬉しそうにそう話してきた。


「ここに呼んだってどういうことだ?これは俺が頭の中で作り出した単なる夢じゃないのか?」

「なかなか理解が早いね。君の言う通りこれは君の作り出したものではないよ。ここは僕たち夢管理人が作り出した夢世界さ。」


「夢世界…?」


俺はこれが現実ではなく夢の中であることは理解していた。


普通夢を見ていてもこれは夢だと理解出来ないがたまにこれが夢だと理解出来る時もある。

しかしこれはそんな単純なものではないと俺は感じていた。


「僕が昨日君に聞いたことおぼえているかい?僕なら君の願いを叶えてあげられる。君の願いを教えてくれ。」

「!?俺の願いはあいつを、、、咲希の病気を治したい。そんな願いが叶うならなんだってやってやる。でもそんなの叶うわけ、、、。」

「叶うさ。僕ならその願い叶えてやることができる。」


「なんだって!?」


「正夢ってあるだろう?あれは実は僕たち夢管理人がたまに夢で見たものを現実でも同じような現象として起こしているから起きるものなのさ。つまり、僕たちは夢を現実のものにすることができる。」


俺はこいつの言っていることを100%信じることは出来なかった。

なぜならあいつの病気はどこの病院でも一生治らないと言われ続けてきたからだ。

でも俺は本当に叶えることが出来るのだとそう信じたかった。


そうでなければあいつを失うことと同じだ。


「お願いだ。咲希の病気を治してくれ!俺の願いを叶えてくれ!!」

「その願い叶えてやるには少し僕たちの遊びに付き合ってよ。」


「遊び、、、?」


「僕たち夢管理人は最近やることが少なくてね。とても退屈なんだ。だからこうして叶えたい夢がある人間を呼び出して集めてゲームをしてるのさ。」


こいつは俺が真剣にお願いしているのにそんなこと関係無しに遊びたくて仕方が無い子供のような様子でいる。


「ふざけるな!俺は真剣に言っているのにゲームとかなんなんだよ!?こんなふざけたやつにお願いした俺がバカだったのか、、、。」

取り乱した俺を見てもこいつは顔色ひとつ変え無い。

「ふざけては無いんだけどな。僕は本当になんでも現実にすることができるんだから。まぁ君には僕の言うことを信じるしか選択肢は無いと思うけどな。」

相変わらず嬉しそうな様子で話を進めている。


でも確かにこいつの言う通り俺にはこの話を信じるしか道は無い。


嘘でも本当でもこいつの言う通りにしなければ本当にもうあいつを救う手はないのだから。


「…わかった。お前の遊びに付き合ってやる。」

俺はそう答えるしか無かった。


「そうこなくっちゃ!それじゃあ詳しい話はまた明日しよう。あっそれとこの夢の話は現実世界では話さないでね。もし話したら夢は叶わなくなると思ってくれ。じゃあまた明日君をここに呼び出すよ。」


こいつのすごく嬉しそうな顔を最後に俺の夢の記憶は終わった。




いつも通りの朝、支度をして学校へ行く。

そして帰りに咲希のところに寄り、勉強をして帰宅した…と思う。


今日1日どのように過ごしたのか俺は覚えていなかった。


昨日の夢が頭から離れなかったのだ。


この調子だと寝付くのにも時間が掛かって昨日の夢の続きが見れなかったらどうしようと不安にもなったがベッドに横になり、目をつむった途端、夢の世界へ引き込まれた。




「やぁ。待っていたよ。」

目の前には夢管理人の姿があった。

「それで俺は何をすればいい?」

こいつと一緒に遊ぶのは気が進まないが咲希を助ける為なら仕方がない。


「これから君は同じく夢を叶える為にここへやって来た同士とペアになって戦って勝ち進む事が夢を叶える事の条件だよ。」

俺は頭の中がはてなでいっぱいになった。


「お前と何かして遊ぶんじゃないのか?というか俺と同じ状況のやつが他にもいるのか?」

「僕も一緒に遊ぶさ。君の武器となってね。そして君と同じ状況にいる人は沢山いるよ。」

夢管理人は相変わらずニコニコして答えた。


疑問は他にも山程あったがとりあえずこいつの話を聞く事にした。


夢管理人は俺が何も言いださないのを確認すると嬉しそうに頷いてゲームとやらの説明を始めた。


「ルールは大まかに言うとさっき言った通り2人1組のペアになって他のペアと戦って勝ち進むんだ。ステージは毎夜違っているんだけどそのステージ内で他のペアを見つけて戦いを挑んでいく。まぁ逆に挑まれる事もあるけどね。不意打ちだってなんだってありさ。ペア2人とも倒れた方の負け。どんどん勝ち進んで10連勝したら君の願いを叶えてあげよう。逆に負けたらもうおしまい。その時はこの夢の記憶を消させてもらうよ。」

「一度でも負けたら夢は叶えられないってことか?」

「基本的にはそうだね。」


最初から負けた時の事など考えたくなかったが俺がこの世界でどれ程の実力なのか想像がつかない以上、負けた時の事も考えておいた方がいいと思った。


「基本的にはって例外もあるってことなのか?」

「まぁ負けなければいい話だろう?さぁそしたら君の武器を決めよう。両手の平を上にして出してくれ。」

話を濁されてしまったがこいつの言う通り負けなければいいのだ。


俺は手を出した。

夢管理人が俺の手の平に座り込んだ。


「さぁそれじゃあ君の願いを聞かせてくれ。」

「俺の願いは咲希の病気を治したい。それだけだ!」


その瞬間、手の平から光が広がった。


「君の願い、受け取ったよ。さぁ僕を使ってみてくれ。」


光が収まると俺の手の中には先程までいた夢管理人ではなく、杖があった。


「これが俺の武器なのか?」


戦いと聞いて勝手に武器と言えば剣のようなものだと思っていた俺は驚いた。


「君の願いが僕をこの武器の形にさせたんだよ。」

ただの杖だと思っていたらいきなり杖が喋った。

「!?夢管理人のお前自体が武器になってそのまま話したりも出来るのか!?」

「そういうことだよ。まぁ常に武器の形になってきるわけではなくてこうやって元の体に戻ることだってできるんだけどね。」

そういうと俺の手の中にあった杖は煙となり、その煙は先程までいた夢管理人の姿へと変わった。


しかしさっきまでとは違い、真っ白だった帽子と服が黄色に変わっていた。


「なんで黄色になったんだ?」

「これは君の願いのイメージカラーとでも言うのかな?まぁ対して意味はないから気にしないでくれ。あっそうだ。君のあだ名を決めないとね。」


こいつは所々説明が適当なやつだ。

呆れている俺の事など関係なしにこいつはあだ名を考えていた。


「みなとだからんー。みなと、みな、みな、みなみ、うん。君はみなみだ。」

「みなとのままでもいいんじゃないのか?」

「本名を使うとこの夢世界で知り合いにあったりした時に面倒臭いことになる。だから顔も現実とは違うように設定してあるんだ。」


自分の顔など見えないがこいつが言うならそうなのだろう。


「面倒臭いことって?」

「もし知り合いと戦う事になったらどうだ?君が勝てば相手は当然負ける。そしたら相手の夢は叶わなくなる。まぁその場合その後現実世界で相手と顔を合わせても記憶は削除されてて覚えてはいないが戦う前に何かしら影響は出てくるだろう?そうなる前にそもそも相手なんて誰なのかわからない方が色々とやりやすいって事さ。」


確かにこいつの言うようにもし知り合いと戦う事になったら躊躇してしまうだろう。

というか戦わずに他のペアを探してしまうと思う。

そういう事が起こらないようにこいつは対策しているのだ。


「まぁ話ばかりでも分かりにくいだろうから一回僕を使ってみるといいよ。」

そう言うとまた煙になり、杖になった。

「君が僕にどうしてほしいか頭の中で伝えて杖を振るんだ。まずはあそこにある的を攻撃してみよう。」

そう言うとどこからとも無く的が出てきた。


俺は攻撃してくれと頭の中でこいつに伝えて的に向かって杖を振った。

すると白いビームのようなものが杖の先端から発射し、的に当たって的は砕けた。


「さすがだね。基本の攻撃はこんなものだよ。基本の攻撃とは別に人それぞれスキルが使えるんだけど君の場合攻撃系じゃなくて回復系だね。」


「回復?」


「うん。このゲームでは見た目でわかるHPゲージがあるんだ。そのHPゲージが無くなるとダウンって事さ。そしてHPゲージとは別にもう一つSPゲージってのもある。こっちはスキルを使うのに必要なものだね。スキルによって消費量が違ってくるんだ。HPゲージは減ると座って休むことで少しずつ回復するけどSPゲージは通常攻撃を当てることで回復するか何もしなくても少しずつ回復していく。君のスキルは座って休まなくても自分や仲間のHPゲージを回復させられるんだ。顔を動かさないで視線だけ左上に向けて見てごらん。」


言われた通り視線だけ左上を向けるとそこにはさっきまでは見えなかったゲージが2本宙に浮いて見えた。


「上の緑のゲージがHPゲージで下の青のゲージがSPゲージだよ。」

「なんだかよくあるPCゲームみたいだな。」

前に少しやっていたPCゲームと同じような設定だった。

「そうだよ。僕たちは君たち人間が現実世界でやっているゲームとやらをやってみたくなってこういうことを始めたんだから。」

思ったことをぽろっと漏らしたらどうやら本当にこれはPCゲームを参考にしていたらしい。

「まぁ分かりやすくて助かるな。」

「じゃあ今度はスキルを使ってみよう。スキルを使う時は技名を叫ぶんだ。君のスキルは『ヒール』だよ。さぁ言ってみて。」


「ヒール!」

すると今度は光が俺を包んだ。


元々HPは減っていなかったのでHPに変化はなかったがSPが半分を超えるぐらい減っていた。


「うん。いいね。これでひと通りレクチャーはおしまいかな。後は実践あるのみって事で早速君のペアを決めちゃおうかな。」

そう言いながら武器から妖精の姿に戻った。


「準備はいいかい?それじゃあ行くよ。ドリームゲームスタートだ。」

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