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寝起き


ピチョン......ピチョン



「うっ.....」


暗闇の中、手探りする。

硬い床が手を冷やす、触ったことがある感覚、これは....コンクリートか。


「ここはどこだ....」


一人つぶやいてみるが周りから返事はない。

周りからは水滴らしき音以外は何も聞こえてこない、静かだーーーそのおかげか分からないが少し冷静になる事が出来た。気分は最悪だが。


「ーーーーなんなんだよ...」


段々と意識を取り戻してきた男は周りを見渡して広がる闇に気づきそう呟いた。


どうやら小部屋の様だ。


とりあえず、自分の置かれた状況を整理しようと頭を働かせる。


うん、思い出せない

なにもかもまったく



「ーーーっつ」



頭に痛みが走る、目の奥が突かれるような感覚堪らず手で頭を抑える


ベチョ


「ーーーー!?」


手に嫌な感触が伝わる


「これ....血か..」


依然として何も思い出せないが、まだ乾いていない自分の血を見て、この状況から、何者かに殴られて倒れる自分を想像する、血が乾いていない事からしても殴られてからそんなに経ってはいないだろう。


記憶も殴られたショックで失った...とか


うん、いい線いってる気がする。


そうするとこの部屋は牢屋代わりって事なのか、手枷とか縛られたりとかされてないところをみると、そんなことしなくても逃げられないと考えているって事か


まぁ、殴って死んだと思ったとかもあるかもしれないけどー


再度周りを見渡す、真っ暗だが段々と目が慣れてきた、正方形のコンクリートで出来た部屋だ。


扉は一つ、これは木製で結構年季が入っているように見える。


ここで・・・こうしていてもしかたないな


意を決して扉へ向かう


念のため自分を見てみるが

幸い体に異常は無さそうだ、それにしても、無駄な脂肪も無いし...身長も結構あるし文句なしだわ。


顔はー鏡でもあればなぁ

そんな事を考え扉の前に立つ


ドアノブを掴みゆっくりと回す、扉の向こうには自分を殴った相手がいるかもしれない、慎重にいかなくては・・・


扉をゆっくりと押していく


ギィィ....ィィ


扉は見た目ほど重くなくすんなりと開く

恐る恐る開けた扉の陰から外をみる

目の前には薄汚れた白い壁があり、よく見えない


仕方なく扉を限界まで開けるー


「ーーーー!」


目の前には延々と続く廊下があった


所々ランプが光り、薄汚れた廊下と壁掛けの絵を照らしている


どうやらこの部屋は廊下の行き止まりにあるようだった


「これは、進むしかないよなぁ...」


正直また部屋に戻って大人しくしていたい衝動に駆られる


目の前の通路はぱっと見は普通の洋館の通路という感じだが、壁は所々汚れ床には埃が積もり、チラホラとゴキブリらしきものが横切る有様だ。


ただ、それ以上に空気が冷たい事が気にかかる


単純に寒いわけじゃない、ぞくりとくるのだ。


ここは出る...気がする。


自分に霊感とかそういうものがあるって感覚は全くないし、もしあったとしても記憶を失ってる自分にはそんなもん感じる事は出来ないだろう...たぶん。


「だから...そぅ....な....ミライは...」


一頻り自分に言い訳をしたところで廊下の奥から話し声が聞こえてきた。


近くに誰かいるのか....?だとしたらマズイな。


自分が囚われの身?だった事を考えると、とても友好的な人種がいるとは思えない。


慎重に耳を澄ましてみるが人の声と一緒にジジ...ジジ、とノイズのようなものが聞こえてくる


人ではないのだろうか、もっとこう別の...そうテレビとかそういったものの音に聞こえる


「ここでこうしていても拉致があかないな、進むか」自分に気合いを入れるため敢えて声に出してみる。


誰がいるかわからないこの空間で不用意に音を出すのは危険なのだが、それ以上に恐怖が強いのだ。


何かわからないが、それがまた一段と不安を煽る。




ギシッ...ギシ...




なるべく足音を殺して歩くが、老朽化した床がそれを許さない。


はぁ.....はぁ...、なんなんだよ


非常に息苦しい、埃のせいかとも思ったがそんなもんじゃない、喉に絡まる感覚...


「ミライをみる....め...おま...」


足を進めるたびに音が近づいてくる。


煩い、音がドンドン大きくなる、ついさっき前までは微かに聞こえるくらいだったのに。



「脳....んだぁ!!」



!?思わず耳を抑える、衝撃。音で思いっきり殴られたようなそんな感覚。


気が付けば20メートル程歩いたのだろうか、扉からの突き当たり曲がり角までついていた

今は何も聞こえない。


周りを見渡す、と言っても左手には壁があるだけだし後ろはさっきの小部屋だ。


右手には廊下が延々と続いている、暗くてよくは見えないが部屋がいくつかあるようだ。

さて...


どうしたものか、進むのは当然として部屋を探索していくべきか...


一刻も早くこの建物から逃げ出したい気持ちはあるのだが、今のところ窓も出口らしきものもない。


もしかしたら地下なのかもしれない。


幸い人の気配も無いし、探索して何か使えそうなものを探すのがいい気がする。


薄い灯で分かったのだが、今自分は汚れたジーパンと長袖の薄いシャツ、皮で出来ているとは思うが表面の加工が剥がれているボロい靴という浮浪者のような格好なのだ。


とりあえず探索しながら進むか....で外に出られそうだったら出る...と。


うわぁ、めっちゃ雑な計画だわ...

まぁないよりマシと、当面の目標を定めてくら闇へと進む。




ギシッ....




さぁて、鬼が出るか蛇が出るか...どっちが出ても倒せないから逃げるけど...。

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