表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/185

第十二話「僕はプロです。任せて下さい」

 マリア達職人ギルド一行とスヴェンとリンは巨大なダンジョンの入り口に到着していた。

 職人ギルドのガタイのいい男がよく響く大きな声で一行に呼びかける。


「こういう事ではチームワークが重要だ。

 ダンジョンに入るにあたって、グループ分けを行いたいと思う。

 まず、最前線でモンスターを受け止める戦士グループ。

 これが崩れると皆が総崩れになるから強者が必要だ。

 危険も大きい分、最後の戦利品分配では多めに受け取ってもらう。

 次に回復を行う支援グループ。

 戦士グループを補佐してもらう。

 高度な魔法を使える者が必要だ。

 残りは何でもグループだ。両方の補佐を行う」


 リンがスヴェンの肩を背後からツンツンとつついた。

 振り返るスヴェンにリンが囁く。


「魔法の夜。 アンタ剣術はどの位やってたの?」

「ギルドメンバーの同年代の初心者剣士に教えてもらいながら一週間ほどかな」


 スヴェンは囁いた。


「……そう……」


 リンが飛び上がって声を張り上げる。


「戦士グループにはこの魔法剣士の魔法の夜をオススメするわ!

 彼は高名な剣術家の指導を受けて修行をし、

 2年間ほどダンジョンの最前線でモンスターとの戦いに明け暮れた戦いのプロよ」

「おおおぉぉぉ……。それは頼もしい」


 (リンの奴……、えらい盛りやがった……、どうしよう)


「ならばスヴェン君が戦士グループの中でも先頭の位置をやって貰おう。」

「賛成! 賛成だ!」

「プロの魔法剣士が居てくれるなんてラッキーだわぁ……」

「スヴェン君! やってくれるね?」


 スヴェンは後に引けなくなって答える。


「僕はプロです。任せて下さい!」


 筋肉質の男が安堵する。


「よかったぁ……。俺いつも最前線やらされてるけど、今回だけは嫌だったんだよ。このダンジョンてリッチやゲイザーみたいな強烈な魔法を使うモンスターがウジャウジャいるって話じゃん?」


 (え…………?)

 焦ったスヴェンは冷や汗を流しながら呟くように喋った。


「あ、そう言えば……、僕、今日は防具を忘れて来ちゃってたんだ……。

 いやぁーー、残念だなぁーー。

 防具がないとちょっと最前線は無理だなぁーー」

「おい! スヴェン君に防具を作ってあげてくれ」

「あいよっ!」


 二人ほどの男がダンジョンの近場に有った炎の台座に薪を焚べると、鉄を 真っ赤になるまで焼いてハンマーで打ち始める。

 さすが職人ギルド、あっという間にスヴェン専用のライトプレートメイルが出来上がった。


「よ……よし、じゃぁ行くぞぉ!」

「スヴェン君に続けぇ!」


 スヴェンは背後から二人の大男に背中を押されるようにダンジョンに突っ込んでいく。

 他のメンバーはぞろぞろとその後についていった。


 スヴェンの眼の前に宙に浮く大きな目玉が複数出現する。

 目玉からは触手が生え、その先端全てに小さな目玉が付いている。

 全ての目玉がスヴェンに向けられた。


「オラオラオラオラオラーー! 突撃だぁ!」


 大男たちがスヴェンを背後から押して突進する。

 スヴェンに炎の玉や、稲妻の玉、毒や麻痺、無数の魔法が集中する。


「ぎゃああああ!!!」

「アッハッハッハッハ」


 大声で笑うリンがスヴェンに回復魔法をかける。

 職人ギルドのギルドマスターのマリアも必死になってスヴェンに回復魔法をかける。

 回復魔法の数の暴力でスヴェンは辛うじて生きながらえている。


「おーし! 片付いたな! 次だ次! あんちゃんこっちだ!

 そらそらそらそら!」

「わっ! たっ! ちょ、まっ!」


 スヴェンの顔面が押し当てられて扉を開くと、3、4体のアンデッドの魔法使い、リッチが一斉にスヴェンの方を振り向く。

 即座にスヴェンの体が連続して燃え上がる。


「ぎゃああああ!!!」

「あんちゃん! 頑張れ! ほらポーションだ!」


 投げられたポーションがスヴェンの頭の上の天井にぶつかってガラスが割れ、滴り落ちるポーション汁をスヴェンは必死で啜る。


「気をつけろ! トカゲ男の大群が湧いてきたぞ!」

「どりゃどりゃどりゃどりゃぁ!!」

「わっ! わっ!」


 スヴェンの後ろにぎっしり居る筋肉男達が剣やハンマーを振っており、最前線のスヴェンは必死でバイキングソードを振り回す。

 マリアについて回ってマリアのスカートの裾をずっと掴んでいた、8歳くらいの女の子がマリアに言った。


「ねぇねぇ。あの人すっごく弱いよ?」

「シーーー! 声に出して言っちゃいけませんよ」


 大男が叫ぶ。


「よーし! 10分休憩だ!」


 ふらふらとへたり込んだスヴェンのところにリンが寄ってくる。


「どう? 順調?」


 目が思い切り笑っている。


「なんでこの仕事引き受けちゃったんですか……リン……」

「よーし! 休憩終わり次いくぞ! スヴェン君! 出番だ!」


 その後半日ほど連続した戦いが続いた。

 全員がダンジョンから出てくるとスヴェンはうつ伏せでばったり倒れた。


「つ……疲れた……」


 マリアが立ち上がり皆に声を掛ける。


「みなさ~ん! 今日はお疲れ様でした。これより戦利品の分配を行います!」

「待ってました!」

「まずは今回一番頑張ってくれた、この魔法剣士のスヴェン君に一番良い物を受け取ってもらいましょう」

「異議なし!」

「今回の大ボス、猛毒ゾンビのレブナントが落としたこのバックラーです。

 鑑定士のエリナお婆さんによると、魔法反射の力が込められている魔法のバックラーです」


 片目メガネをかけた白髪のお婆さんが親指をグッと立てて微笑む。


「ありがとう! 大切にするよ」

「そして次は、迷子になりそうなメンバーを連れ戻してくれたり、皆の注意から外れて死にかけていたメンバーを魔法で何度も救ってくれていたこの妖精さんにオレンジダイヤの涙滴型のネックレスです」


 リンは驚きながらも喜ぶ。


「ありがとう! あなたよく見てるわね」

「あなたのお陰で皆が無事に今回の催しから帰れたのよ。本当に助かったわ」


 この後しばらく椅子と机を持ち寄ってパーティーをした後、スヴェンとリンは職人ギルドの人々に手をふって別れた。


「まじで死ぬかと思ったよ……、それにしてもレブナントって物凄い強いモンスターだと聞いてたけど倒せるものなんだね。

 凄腕の冒険者でも避けるらしいのに」

「数の暴力ね。戦闘の達人でなくてもあれほどの人数を集めれば戦えるのね。

 あれだけの人数を動かせるマリアさんは本当に凄い人だわ」


 スヴェンはこの短時間で大きく成長した気がした。


 【スヴェンの魔法抵抗スキルが急上昇した】

 【スヴェンの剣術スキルがぐんと上昇した】

 【スヴェンの体力がぐんと上昇した】

 【スヴェンの戦闘センスがぐんと上昇した】


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ