砂の世界Ⅰ
やっと本編!けど短い(><)
レーランスが目を開けるとそこは見渡す限りの砂漠だった。
しかも何故か平坦な砂漠。
「この世界はどうなっているの……」
レーランスは困惑した。
近くに人や街の影が見当たらなかったからだ。
コーネリアとの約束により、人前ではあまり魔法を使うなと言われてきたが、人がいないのなら思う存分魔法が使える。
そう考えたレーランスはホクホク笑顔で早速探知魔法を発動、最も近くにある街までの距離と方向を探った。
反応があったのは前方。
しかし魔法に反応したのは一つのみ。
その街しか行先はなく、そこへレーランスは瞬間移動魔法を使いワープした。
さぁ、ここで約束を思い出してみよう。
「人前ではあまり魔法を使うな」
この約束は、異世界には魔法がないことも想定出来る為だ。
魔法がない世界で魔法を使ったらその世界の住人はどう思うか......
困惑するだろう。
そして......
この世界には魔法がなかった。
レーランスはワープ先を、何も考えずに街中に設定。
突然現れた少女に人々は驚いた。
流石レーランスである。
異世界に転移してからものの数十秒で約束を破った。
最早我々の期待を裏切らないレベルだ。
街中にワープしたレーランスの目に映った人々の姿は、肌の色は褐色、髪の色は主に黒、目の色は千差万別だが主に黄色系が多い、服装は古代ギリシャ等の人々がしている格好の様に布を巻き付けた格好だ。
(普通の人のようだわ! 話が通じる程に野蛮でなければいいのだけれど......)
と思いながら通訳魔法を使い、近くの人に話しかけた。
「どうも今日は。 私、レーランスと申します。
遥々遠くからやってきたのですが、ここについて教えて頂けませんか?」
いったい誰であろう......?
レーランスである。
あのレーランスである。
口調まで変わってしまって......頭でも打ったのではないか?
と心配になるかもしれないが、安心して欲しい。
安定のコーネリア仕込みである。
実に頼もしい。
「れ......レーランス様というのですか......
遠路遥々良く来てくださいました。
私どもではそのご期待に沿えるか分かりませんので、王様に会って頂きたいのですが......」
「もちろんいいわよ!」
「では、案内させて頂きます」
何故か王様に会うことになったが、そのことがいかに大きな重大性を抱えているかがレーランスには分かるはずもない。
案内をしている男に連れられて、遠くに見える巨大な建物に向かって歩き始めたのだが......
「ねぇ、飽きたわ! 向かっているのはあのおっきな建物でいいの?」
最初の方は物珍しげにキョロキョロと辺りを見渡していたのだが、歩き始めて数分後に我慢ができなくなってしまった。
「......はい。確かにあの建物が王宮で御座います」
男が肯定をするや否や、男の腕を手に取り
「面倒くさいから飛ぶわ!」
「は......? レーランス様、飛ぶとはいったい......?」
と慌てる男を尻目に瞬間移動魔法を使った。
到着点は王宮の目の前、つまり門前だった。
さらに、レーランスは男が目を白黒させているのをいいことに
「王様の居る所へ!」
と、再度ワープした。
ワープし終わった後に、男とレーランスが見たのは驚いて腰を抜かしている髭もじゃの王様だった。