出立の時
今回は短めです。
早く本編に突入したい......
2015/09/23 段落関係修正
2015/10/03 文の書き方修正
まるで、自分自身が良いことを思いついたと言わんばかりのドヤ顔で言い放ったレーランス。
早速準備に取り掛かろうとする姿を見て、コーネリア以下臣下達は安堵の表情を浮かべた。
ここで、一人で準備をしてくれないかと淡い期待を抱いていたが、もちろんそんな訳はなく、準備の為に色々と扱き使われるのだった。
そして一週間後......
よくもまぁこんなものを旅に持っていこうのかと思う程の品の数々が、王の間の玉座に踏ん反り返って座っているレーランスの脇に置いてあった。
まず目を引くのが、山のように置かれた衣服の数々。
軽く五十着はある。
そして食料品。
主に肉・肉・肉......たまに野菜がひょっこりと顔を覗かせるくらい。
そしてベッド!! まさかの......ベッド!!
しかもこじんまりとした庶民用のベッドではなく、天蓋付きのベッド......
レーランス曰く
「私が庶民が使うようなベッドで寝られると思っているの!?」
だ。
思う訳がないだろう。
だってレーランスだもん。
最後に宝石類。
これらはコルネリアの最高級からは数段落ちるが、それでも買う為に城を売り払わなければ買えない程の値段がする高級なもの。
これら宝石類は、臣下たちの意見が取り込まれた結果である。
やはり、宝石類は何時何処の人でも価値があると認めるものだからだ。
異世界に行くとなれば貨幣が違うのは当然のこと。
そこで万国共通皆大好き宝石の出番である。
これを売り払って金にして貰おうということだ。
レーランスが売買の仕組みを理解出来ているかどうかは不安だが、一応常識はこの一週間でみっちり叩き込まれた筈......だ。
行った先で宝石に価値がない場合も勿論考えられるが、その場合は何とかしろと丸投げ状態。
破天荒なレーランスなら何とかなるだろうという、根拠のない結論からだ。
色々と荷物に関しては言いたいことがあるが、レーランスは空間圧縮魔法が使えるので問題は......まぁ、ないだろう。
そんなこんなで色々と、異世界に行くに渡ってコーネリアからしてはいけないこと等を約束させられた(因みに一つ約束する度にコーネリアはぶっ飛ばされていたので今はボロボロの状態だ)レーランスは、大きな声で叫んだ。
「さぁ、異世界に行くわよ!!」
荷物を空間圧縮魔法にすべて収めると、完成させた異世界転移魔法の魔法を展開させた。
行き先は指定せず、取り敢えずは
「面白そうなところへ!」
というレーランスの要望に応じて魔法が発動、レーランスは旅に出かけた。
ようやくレーランスが居なくなったことにより、臣下達が安堵の表情を浮かべていると
「あっ......」
という聞こえてはならない筈の声が聞こえてきた。
声の発生源はコーネリア
続く言葉は......
「いつまでに帰ってくれば良いのか伝えるのを忘れていました......」
突如なんとも形容し難い空気が王の間に流れた。