テンプレ擁護論⑤ 「悪役転生」
去年の終わりがけか、もう少し前から「乙女ゲームへの転生」にスポットライトが当たった。
自分の知っている創作世界のキャラとなり、事前知識を使って本来の物語を引っ掻き回すタイプ話である。今回、この手の話を「物語転生」と呼びます。
類似ネタとして、「漫画」「小説」などへ転生するパターンもあります。転生先の名前が変わったところで、やっていることは変わりませんが。
転生先で一番多いのが悪役。次いでモブ、主人公となっている。比率については私の見てきた範囲なので、異論・反論は認めます。
今回は「悪役転生」の基本的な魅力について語ってみたいと思う。
小説や漫画を読んだりして「ああ、こんな時俺ならこうするのに」「ここに俺がいたらこうするだろうな」と考えたことのある人は多いと思う。特に作者。物語転生はこういった、「自分なら~~」という妄想を実現した時の話だと言えるでしょう。
そして、その中でなぜ悪役に転生することが多いのか。
これについては「主人公が物語の枠を超える理由付け」として一番分かりやすいからです。普通の人なら破滅エンドが分かっているとき、全力で回避しようとしますよね。結果として本来の物語を受け入れることなく、必死に足掻くのです。「成りあがり」が0からのスタートなら、「悪役転生」は0へのスタートから始まります。困難に立ち向かうという意味では、話の骨格は似ているかもしれませんね。
もう一つ。悪役というのは、恵まれた立場にあることが多いのです。主人公を脅かす敵が貧乏で卑屈な、足を引っ張るようなやつでは叩き潰し甲斐がありません。金持ちで傲慢なキャラの圧倒的な力を撥ね退ける方が物語として盛り上がるのです。
それと、どうせ生まれてくるなら金持ちに生まれたかったという人って結構いますよね? ポジション悪役はそんな願望にも対応するのです。
まとめますと、社会的・経済的・物語的に、なりたい立場になれるという事ですね。
転生ネタで妄想具現化というと「主人公最強俺TUEEE」「チーレム」があげられますが、そういった願望だけでなく、物語転生のように他の妄想にチャレンジしてみるのもいいと思います。
自分の妄想を直接形にして黒歴史に名を残す必要はありません。「小説家になろう」の人気作品の感想欄を参考に、他の人の願望・妄想を形にすると言い訳しつつ、書き上げるのも一つの方法でしょう。
ぜひ、神のシナリオを破壊するような主人公を生み出してください。




