表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫の雑記帳  作者: 猫の人
23/42

シナリオ考察⑥ 大軍との戦い

 寡兵で大軍を撃破する。

 ラノベの戦記物における、基本イベントですね。自分でも書きたくなるシチュエーションです。


 でも、押さえるポイントを忘れたら、面白さが半減しますよ?



 寡兵、少数の兵で大軍と戦う時。一番最初に要求されるのは何だと思いますか?

 私は「心」と答えます。

 戦うための心を支える、芯が必要なんですね。

 大事な人を守るためには戦わねばならないとか、兵隊さんに戦うためのモチベーションが必要なのです。それが無いと、先ず逃げますね。戦闘になりません。

 では、兵隊さんの心の支えは何でしょう。いくつか例というか、最低限のポイントを提示します。


 まず、ご飯が食べられること。戦闘前に多少空腹を覚えるようにするのは構いませんが、普段からちゃんとご飯を食べさせましょう。そこがしっかりしていないと、いざという時に動けません。


 大義というか、目的意識も大事です。

 誰かを守りたいから戦う。それも自分の命を惜しまぬほどに。そんな相手は普通はいません。自分の命が優先です。

 それでも命の危険を冒してまで戦うのは、戦って得られるものの方が大きいからですね。お金や名誉といった、論功褒賞はしっかりしましょう。


 そして、勝ち目の有無です。

 戦に勝てる可能性がある、自分に生き残る目がある。でなければ戦えないのが当たり前です。

 策を練り、状況を整え、それが上手くいけば勝てると兵士に思わせる。いくつもの危ない橋を渡ろうと構いません。絶対に勝てない戦に往く兵士などいないのです。ですから、勝ち目があると信じさせるのが将の仕事になります。

 死兵と言いますか、捨て駒として使われる兵士も存在しますが。それは後が無い、そんな状況では意味がありません。最終的に、自分はともかく味方が勝利するために命を投げ出す人はいますが。それでも「生き残るであろう誰か」に補償を用意するなどして、死に価値を与えるなどのフォローをしてあげてください。


 とりあえず、この3つをしっかりしていない軍隊は烏合の衆と成り果てます。

 この程度の条件を満たせない連中が大軍を倒したとしても、「何このご都合主義(笑)」で終わります。

 本当に、これは最低限押さえるポイントですので。



 大軍を破る寡兵というのに求められる、他の要素。

 まあ、戦力差を埋める、ひっくり返す策と考えるでしょうね。普通は。

 間違っていないのですが、もう一つの要素を忘れてはいけません。


 それは、兵士の練度です。


 大軍を倒せる策があったとします。

 ですが、それを実行するための、最低限の訓練というのがあるのです。素人を集めても無駄なのですよ。作戦行動を取れる、連携して動ける軍でなければ大軍と戦うなど考えない方がよいでしょう。

 別に、「少数精鋭で練度が大軍の兵士より上」などと高すぎるハードルを要求しているわけではありません。本当に最低限でいいので、作戦を理解する頭と、実行する胆力。その程度は求めましょう。


 大軍を相手に奇襲作戦を立てたとします。山道で敵が細く長く行軍している横っ腹に一撃入れて、本陣を陥落させる基本戦術です。

 そうなると、敵軍の先行する部隊が通り過ぎるのを待ち、合図とともに襲い掛かる必要がありますよね。

 それ、素人にできると思いますか?

 出来るというのは甘いです。ただ待つだけ、それですら多大な精神的負荷がかかるのです。緊張感から合図を見逃す、間違って突撃するなどの危険性があるのです。素人であることを考慮して建策してなお、失敗の可能性を多分に含むのです。

 多少の訓練を行い、作戦の成功率を上げる程度の事はしましょう。



 あと、求められるものは相手側が油断する要素です。

 何らかの事情で相手側に隙ができた。偶然でも何でもいいので、作者パワーで主人公側の策が上手くいく助けをしてあげましょう。気象条件、ちょっとした事故、偶然通りかかったモンスター。多少ご都合主義でも構いません。

 これが無かった場合、読者側に大軍の脅威度を低く見積もられ、緊張感が減ります。強大な敵を倒すことにカタルシスがあるというのに。敵のレベルを下げるのはあまりいい手とは言えませんから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ