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飛べない天使  作者: 白狐
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白き少女

 ――暗い。寒い。悲しい。


「寂しいよ……」


 鉄格子に囲まれた、薄暗く、肌寒く、時間の流れが無い空間。

 少女は見た目は6歳だが、時間を奪われてから何年経つのか分からない。

 栄養状態も悪い為、外見で年齢を判断する事は出来ない。

 既に時間を忘れた少女は、長い間孤独の中生きて来た。

 背中には、純白の大きな翼が有り、体をすっぽり覆って居る。


「空を見たい……」


 唯一の窓は小さく、磨り硝子で出来ていた為、外は見えない。

 そして、外に出してもらえない為、まだ一度も飛んで居ない。


 ――もう嫌!


「ぃやーー!」


 少女が叫んだ時、鉄格子が軋む。

 少女の力を封じ込め、その莫大な力を奪う術の掛かった鉄格子が、手を触れたら電気を浴びせる鉄格子が、少女の蓄積された力の暴走に耐えられず、壊れた。


 ――熱い……体が焼ける……


 少女は力を抑える術を知らなかった。

 暴走した力は、圧倒的な破壊力で建物をも破壊する。

 慌てて術者が駆け込んで、抑えようと試み、しかし抑えきれず吹き飛ばされる。


 ――嫌だ……人は傷つけたくない……


 朦朧としながら、嫌だと反発するが、意味がない。

 少女にも、何の力か分からないから…。


 ――もう……駄目だ……


 意識を手放した少女は、泣いていた。








 ――ここは……!?


 どれだけだったのか、目覚めた少女の周囲は瓦礫の山だった。

 少女の周りだけ、瓦礫が落ちていない。


「これが空!? 高い高い! これなら飛べる!」


 一番先に目が捕らえたのは、澄んだ青い空だった。

 次に目に入ったのは、瓦礫の山だった。


「ああ……私……なんて事……」


 罪悪感に苛まれ、無意識に翼を動かしあてもなく飛んだ……







 筈だった。


「とべない? なんで?」


 どれだけ羽ばたいても、体は浮かない。

 少女の悲痛な叫び声がこだました……








◇◇◇◇◇



「久しぶりのあの日の夢……」


 見た目が17歳位になった少女は、ぼんやりと空を見詰める。

 一人世界を旅する白髪に、赤い瞳の少女は、木の上で眠って居た。


『生まれたのが罪なのだ』

『その力は人間の為に有る』

『自由は、生き物にだけ許される』

『力だけのお前に、自由は無い』

『生き物では無い』


「痛い……」


 思わずさすった腕には大きな古傷が有った。

 一度、周りの大人達に反抗した時に切られた傷で、彼女の高い回復力でも傷跡が残る程の深い傷だった。いつもは服で隠されている。


 ――何で、羽が有るのかな?


 人間には無い羽が、どうして自分に有るのか疑問に思う少女。

 この世界には、沢山の種族が居て、表面上は皆共存している。


(確かに翼の有る種族も居たけど、小さくて、翼じゃなくて魔力で浮いてたな……)


 彼女の様に翼の有る種族は存在するが、とても小さな翼で、翼に纏っている魔力を使って飛んでいる。

 彼女の様な翼は、鳥人ならば有りはするが、鳥人の瞳は瞳孔がさけて居て、爪は鋭く、体が異様に細く、結構長身で人間とは一目で区別できる。

 彼女は最初は翼を隠さなかったが、様々な人々に怪しまれ、挙げ句の果てに魔物と呼ばれて危うく殺されそうになり、それ以来隠していた。

 何故か意識一つで見えないように出来、見えないすれば自分以外は触る事も出来ない。周りの物にも翼が引っかからないですむので、少し助かる。

 いざという時には身を守るのに役にたつが、どうしてもこの翼が好きにはなれないのでいつも隠していた。


「……そろそろ起きよう」


 真っ白な髪を器用に纏めて、木の下に降り立った。


(良い天気……あの日を思い出す……)


 彼女は、もう一度過去を振り返った。







◇◇◇◇◇



「飛べない! どうして!」


 あれから何度も羽ばたき、助走をつけジャンプしていた少女は、飛べない事を認められず、何度も挑戦し、何度も転んだ事により傷だらけになりながら泣いていた。

 2日間ひたすら挑戦していた少女は、遂に絶望を感じていた。


「どうしたの? 大丈夫?」

「……!」


 声が聞こえて辺りを見渡したが、誰も居ない。


「違う違う。上だよ」

「あ!」


 頭上に騎士見習いの格好の少年が居た。

 少女は今までワンピースしか着たことが無く、見たことも術者のローブ位しか無いので、この服装が騎士見習いのものであると分からなかった。

 なので、一瞬きょとんとして、首を傾げて素直に感想を述べる。


「変な格好……」

「え!? いやいや普通だよ。戦の為の訓練だから、ちょっとごついだけで」


 少年は、動きやすい長袖、長ズボンに、急所をガードする防具と、剣を腰に下げて居た。

 この世界では一般的で、武術を学ぶ者ならば普通の装備だ。

 とりあえず説明しようと、身振り手振りで説明する少年。

 だが、今少女は格好より、気になる事が有った。


「何で……」

「ん? どうした?」

「何で、飛べるの?」

「え? 君も……」

「私は飛べないのに!」


 少女の言葉に、困った顔をする少年。


「翼有るのに?」

「飛べない!」

「ご、ごめん……」

「何で!?」

「これだよ……」 


 少年の足には、空色のリングがはまって居た。


 魔法具――魔力の有る者を補助してくれる、貴重なアイテム。


 高値で取り引きされ、扱いも難しく、上手く扱える師から教わらないと、時には命に関わる道具。


「それ、欲しい!」

「いやいや無理だから!」


 そんな事を知らない少女は、驚くべき脚力で少年に向かって飛びかかった。

 慌てて少年は更に上に飛んで、なんとか回避したが、目標が動いた為、少女は派手に転んで顔面をぶつけた。


「大丈夫?」

「う、うあーん!」

「わわわっ!」


 慌てて駆け寄って抱き寄せ、魔法具の説明をしながら、落ち着くまで待つ。

 少女も今までの事を、小さくゆっくりと少年にぶちまける。癇癪を起こした様に、只言葉を投げつける。

 泣き止んだ時、少年がゆっくりと少女の前に向き直り話しかける。


「俺は道具で飛んでいるだけで、自分の力じゃないよ。でも、こんな綺麗な翼は初めて見たよ。飛べなくても、良いと思う!」

「……え?」



 満面の笑顔の少年に、呆気に取られ、口が塞がらない少女。


「俺は……本当は駄目なんだけど、良いか……ロディアスって名前。えっと、名前無いんだよね?」

「無い……」

「うーん……」


 この世界では、名前は簡単に明かしては行けないと言う風習が有る。

 少年は一瞬悩んだが、他に思い付かないので明かしてしまった。

 少年は、少女を見つめ、考える。


 ――そして、少女に名前を与えた。







◇◇◇◇◇



「会いたい……」


 ロディアスは騎士学校の生徒だった為、訓練の為にあの地に来ていた。

 あの後、彼は訓練が終わってから毎日会いに来た。

 訓練期間が終わって、学校に帰ってしまってから、行方はわからず、ずっと探している。


『また会えたらな!』


(いつ、会えるかな?)


 着いて行きたかったが、住む世界が違った。少女には戦う術も、お金も無い。

 それ以来、沢山自主的に訓練をして、冒険者として登録し、旅をしている。


「次の街に行こう…」


 彼女の武器は、ナイフや暗器。

 強靭な脚力で素早く仕留めるのが戦闘スタイル。

 黒いコートを羽織って、荷物が全て有るか確認して、荷物を背負って歩き出す。

 徒歩なのは、馬が貴重で高く、いざという時には、魔物に怯え動けないから、彼女みたいに一人で旅する者には向かない。

 何より、彼女の脚力の方が上なのだから必要ない。

 次の街には手掛かりが有るか、少しの不安と大きな期待で胸が高鳴る。


「何者か!?」


 いつの間にか、街の門前にたどり着いて居た。

 考え事をしていると、案外早く着く。彼女だけだが…。


「冒険者。カード有る……はい」

「冒険者スノウか、良し通れ!」


 冒険者ギルドで発行したカードを見せて街に入る彼女……スノウ。

 もちろん本名では無いが、この世界では当たり前で、尚且つ、冒険者ならば偽名は疑われない。

 ギルドカードは、ギルドの長が問題無しと判断しないと発行されない。

 その為には、短くて一年は同じ街で、ギルドの講習を受ける必要が有る。


(便利。受けて良かった。)


 スノウも始めは孤児として、街の外の難民保護区に居た。

 翼をしまう事が無かった為にいろいろあって、危なかったが何とか逃げ切り、翼の隠し方を覚えて、違う街に逃げ込み、そこでギルドを知った。

 孤児でも出来るかとギルドに確認したかったが、身分証の無い者は街に入るのが難しく、仕方無く門番に聞いたら案外素直に説明してくれた。

 見た目が小さな少女だった事が、ここで役に立った。

 門番が付き添い、ギルドに入り指名手配書と見比べられ、問題無しとされ、ギルドの寮に住み込みで学んだ。

 因みに手配書に乗る程の惨劇を起こしたスノウが乗って無いのは、惨劇が知られなかっただけである。

 因みに、本人も自覚は無い。


「わあ!」


 普段、感情表現が乏しいスノウが珍しく歓声を上げた。

 表情はあまり変わらないが……。

 賑やかな通りに、屋台、沢山の笑い声、多種多様の種族、どれもこれもスノウには今まで見たこと無い光景だ。


(数多くの街を見たけど、皆魔物とか、種族のいざこざで凄かったのに……皆笑顔だ……良い街だな)


 表面上世界は共存の道を歩んで居るが、種族の壁は消えず、絶えず影で争いが有った。

 そんな薄暗い雰囲気が、この街には見当たらない。


「…流石、協栄都市フラン」


 協栄都市フランは、種族のいざこざから逃れた者達が集まったスラムから発展した歴史的に珍しい街。

 深い山の中に有り、皆争いに疲れて流れ着いた者達は、共に暮らす内に自然と次第に打ち解け、互いに手を取り合い発展した街。

 大都市には及ばないが、かなり発展していると評判。


「凄い。あれ何だろう?」


 曲芸に引き寄せられるスノウ。初めて見るので、ワクワクしている。(外見は無表情なのだが…)


「お嬢さん、旅人かい?」

「そうですが?」


 隣のエルフの男性が話し掛けて来て、スノウは身構える。

 冒険者の習慣であり真っ先に覚える事、尚更女の冒険者は狙われる為に過敏に反応する。

 冒険者は貴重な物やお金を持って居るので盗人や強奪の標的になる。


「すまない。いきなり失礼した。重そうな荷物だから私の宿屋に案内しようか、と思ったんだ。どうかな?」

「宿屋を経営して居るの?」

「ああ。いや強制じゃないよ」 


 瞳を見つめても嫌な感じはしないと判断したスノウ。探す手間も省けて、良かったと思いながら、はたと気付いた。


「いくら?」

「一泊食事込みで、銀貨1枚」


 因みにこの世界の通貨単位は、銅貨一枚100、銀貨は一枚1000、金貨一枚10000で、一人1日の平均生活費は多くても銅貨7枚なので、宿屋としてはかなり安い。


「分かった。案内して」

「ありがとう。こっちだよ。そうそう、私はクオンよろしく」

「スノウ。よろしく」


 大通りを真っ直ぐ進んで、ギルドの前を右に曲がって少し進んだ所から、少し細い道を進むと、〈妖精の隠れ家〉と言う宿屋に着いた。

 案内が無いと見つけられ無い程、ひっそりと看板が有る。


「隠れ家らしい所」

「でしょう? ああ、今の道を真っ直ぐ行けば役所も有るよ」


 細い道の手前の大通りには、沢山の宿屋が有って、突き当たりに役所が有る。

 同じように大通りには、商店街がずらっと並んでいる。


「何でこんなに役所周辺に集まってるの? 不便じゃない?」

「この街の特徴だよ。泊まって直ぐに、住みたいと言う冒険者が多くて、宿屋と商店街を役所の近くにしたんだ。直ぐには家が見つからないからね。一時的とは言え、宿屋で家探しの為の滞在中に何も無いと困るだろうから、必要な建物は役所周辺に集めたんだよ。これも評判が良いんだ」

「なるほど。あと、一回でなるべく済むようにかな?」

「正解。さあ入って」 


 宿屋に入ると一階正面に受付、奥に食堂が有る。二階に続く階段の踊場の窓から、柔らかい光が差し込んでいる。


「いらっしゃい」


 綺麗なエルフの女性が現れて、挨拶をしてきたのでぺこりと頭を下げる。


「部屋の案内頼むよ」

「分かりました」


 直ぐに手続きをしてカギをもらって、部屋に案内してもらった。

 女性のエルフは、クオンの奥さんで、ミランと名乗った。


「部屋にここの案内が有るから、読んどいてね。あと、お風呂は部屋に有るわよ。小さいけどね」

「ありがとう」

「いいえ。何かあったら呼んでね。」 


 部屋の中を見渡す。小さいけどちゃんとお風呂場が有った。嬉しい。

 この世界で風呂はめったに見ない。

 水がとても貴重なので当たり前なのだ。

 宿屋にはだいたい大きめの水場が有り、冒険者同士で譲り合いをしながら僅かな水を少しずつ使い、簡単に体を拭く程度だ。部屋に有るのは珍しい。


(前の宿屋は、井戸水を汲まないといけなかったし、嬉しいな)


 大都市ならばいろいろ発展して居るらしいが、遠いので行った事が無い。

 それに他人に興味が無い彼女には大都市に興味が湧かない。

 人混みが苦手なのも理由で有るが。


「彼が居るなら…」 


 ロディアスと言う名だけしか頼りが無いのでどこに居るか分からない。

 あの日見た防具に描かれた学校の紋章も未だに見つけられない。


「…街を見てみよう」


 どうにも落ち着かない気持ちを抱え、なんだか胸が苦しいので、一瞬戸惑ったが昔から良くある事だからと、気にせず探索に行く事にした。

 彼女は自分の気持ちを理解していない。漠然とした憧れから、旅をしている。





 なんとなく歩いて来たのだが、目的も無いので直ぐに困り果てるスノウ。

 気が付いたらギルドに着いて居たので、掲示板を眺める。

 ギルドのランクは1~3までを初心者、4~6が中級者、7~9は上級者と言われており、その上には雲の上の10が有る。

 中級者が命を落とす確率が高く、試練の時期と言われている。

 スノウのカードの数字は5だが、実は実力に合っていない。

 

(指名手配が増えてる…)


 ギルドの規則を背いた場合、段階毎に処罰が変わり、最悪手配書に載るとギルドのカードの剥奪、登録の解除、全世界に手配書が回り罪を償っても、待遇が悪くなる。

 ギルドからの指名手配書(違反者)は赤の目印が有るので直ぐに見分けられる。

 ギルドからの指名手配犯は、通常の国での犯罪者とは違った扱いを受けるらしい。


「嬢ちゃん! まさか一人? 危ないよ。パーティー組まない?」

「まだ5じゃん!危ないぜ!」


 へらへら笑いながら二人の男が近付いて来た。男ならともかく、女で一人、しかもランク5なら普通は冒険者パーティーに入るのが一般的。

 スノウは人が苦手で、更に団体は嫌なので一人旅をしている。

 魔法が使えるので不便は無いし、弱くも無い。実力が有るから出来る事なのだが、客観的に見たら運に恵まれた、もしくはパーティーから離れたと認識される。


「あなたのランクは6ですね。そちらの方は5ですか。同じランクの方に言われたく無いです」


「あ゛? 何だと!?」

「お嬢さん、運にも限度が有るぜ!」

「実力です」


 キッパリと言い放つスノウに、イライラし始める男達。


「そこまでです! 処罰を受けたいですか?」

「ちっ!」

「ふんっ!」


 ギルドの職員が割り込んで、事態は落ち着いた。

 他の冒険者もちょっとスノウに興味が有る様だが、今は動かない。

 スノウは端から見たら美少女で、どこか凛とした態度も注目を浴びる原因だが、それに本人が全く気付いて無い、更に普段は控え目で、礼儀正しい事から好印象を受けるので、良く声が掛かる。

 時には実力でと、高圧的に向かって来る者も居る。


(面倒……)


慣れてはきたが、苦手である。


(何が良いんだろう?)


 首を捻りながらそろそろ帰ろうとして、はたと気付いた。


(道分からない…)


 意外と抜けてる彼女は、ギルドまでの道のりを覚えてなかった。

 わき道も結構有るので、下手に迷ったら大変だと、ギルドの受付で地図をもらって帰り道を辿る。


「意外と大胆な街…」


 地図には、十字の大通りに、上と下に街の入り口、右に役所、左に城が有り、ざっくりと分かれて居た。

 わき道も多く、そこには小さなお店が沢山有るらしい。


「明日歩こう。今日は疲れた」 


 思えば歩き続きで街にたどり着いて、宿屋は簡単に見つかったからと早速出歩いて来ているので、流石に疲れた。

 匂いにつられて、屋台で見つけた串焼きを片手に、上機嫌で帰った。(端から見たら無表情)


「あ、お帰りなさい。あら、口元付いてるわよ。……はい!」

「ありがとうございます」


 宿屋に着くと、ミランさんが迎え入れてくれた。口元に着いたタレを拭いてくれたので頭を下げる。


「ご飯食べる?」

「はい」


 食堂に行くと、他の宿泊客が飲み食いして今日の話しに盛り上がっている。


「どうぞ。おかわりは言ってね」

「ありがとうございます」 


 ミランさんと話すと、少しホッとすると思いながら、料理を口にするスノウ。

 かなりの量が有るが、どこに入るのかぺろりと無くなった。

 三人前位有るのだが……。


「ごちそうさま。おいしかった」

「あらま。綺麗に食べてくれて嬉しいわ! でもどこに入るのかしら?」


 スノウは身長は有るのだが、線は細いのですらりと痩せて見える。とても入る気がしない。冒険者にも見えない。


「……胃?」

「ま、まあそうね……」


 天然なのか、小首を傾げてズレた回答をするスノウに、ミランは苦笑する。

 ひとしきり話した後、部屋に戻って改めて荷解きをする。


「お風呂!」


 タオルを見ていきなり思い出したスノウは、お風呂場に向かう。

 ちゃんとタオルは用意されており、石鹸も有る。なんと洗面台まで有るので、不自由は無い。


「安いのに、良い!」



 機嫌も急上昇してルンルンしながら(無表情だが……)、さっそくお風呂に入った後、ほかほか気分でベットに転がる。


「幸せ~」


 久しぶりのベットに珍しいお風呂、幸せを噛みしめながら、運が良いと一人喜ぶスノウ。

 因みに、水場が無ければ魔法で汚れを落とせば良いが、スッキリとしない。

 そういえばと、地図を広げて眺める。


「暗いな……《偽りの陽光》」


 既に部屋が暗いので魔法で光を灯す。

 この世界で魔法家具(魔力で動く家具。例・電球、冷蔵庫など)が有るのは、大都市位なので光源は蝋燭位しか無い。


「武器屋、薬屋、魔法具屋も全部集まって居るんだ……」


 全て一カ所に集まっているので、簡単な買い物なら直ぐに出来ると分かり、安心してベットに潜り込んだスノウ。


 直ぐに眠気が押し寄せて寝息をたて始めた……

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