4.見解の相違と目覚め②
やっと、お相手その1その2を登場させられましたが、肉食と草食の関係(は?)なので恋愛要素(というか会話さえも)皆無でs(土下座)
よぅし!!ラブコメの定義を言ってみろ!と叱られそうな内容でスミマセン(落涙)
そんな彼女が死なずに済んだのならば、嬉しい。でもそれは、私が進んで身代わりになった訳ではないのだ。なのに、それの対価が『ご褒美』……つまり人間としての新たな生だという。この流れで、人間になれるなんて楽しみです!ありがとうございます!!などと素直に展開を歓迎したり感謝すると考えているのだろうか?まさか、と思うのだが――まあ、それはいい。いや、良くはないけど、それ以上に理解し難い話があるのだから、大事の前の小事としておく。そう、大問題なのは、大いに誤解しているようで、恥の上塗りになりそうな釈明が必要だと思われる、今回よりも前の三度目以前の内容である。
最初と二度目は、野生の兎だった。それも三度目と同じく真っ白な姿であった為に、草原にいても森にいても目立ってしまう、かなり生き辛い野生動物である。常に生と死、ギリギリの境界線で生きていたのだ。
一度目に生まれたのは、それほど広くもない森。物心ついた頃には、ひとりになっていた。きっとそれは仕方のないコトなのだろう。私の親も兄弟達も同じく真っ白で、時々森を訪れる人間に標的とされ、狩られてしまったのだから。私は運良く免れて生きていたが、敵は人間だけではない。知恵を絞り、毎日を生き延びる事に必死だ。だからアレは恥でしかない。勢いよくぶつかった切り株の根っこによって、首の骨を折り死ぬなどという愚行なぞ。
あの日、全力で逃げていた。私にとって、逃げるという行為自体は恥じゃない。生きたいと望む本能に逆らえないのが生物だと思うから。でもあれは…屈辱でしかなかった。逃げ切れれば生、逃げそびれれば死、それが当然であり――――当たり前だというのに。例え、逃げ切れなかったとしても、多分、私は生きている。何故なら追いかけてきている相手は、捕食するのを目的としていない。
随分前、死を覚悟した。この森で、最も狩りが得意だと噂される、二匹の双子狐に捕まってしまったのだ。散々抵抗し、その度に咬みつかれ、隙を狙い逃げようとしても逃げ切れず、とうとう自棄になった私が願うのは、早く楽になる事で。食べるなら、さっさと、この身を食べなさい、と泣きながら叫ぶ。(今思えば最後の言葉としては往生際が悪すぎて失笑モノだ。)するとどういうわけか、二匹は私の傷ついた体を舐めるだけ舐めて、立ち去ってしまった。呆然とする私は、暫くしてからハッと我に返り、ヨロヨロと立ち上がる。それからボロボロの体を引きずって、巣穴へと戻ったのだ。せっかく拾った命。無駄になどできない。
それから二週間後、私の傷も漸く癒えた頃、屈辱の日々が始まった。彼らは私を見つける度、追いかけ回すようになり、捕まると甘噛みしたり、全身を舐めてくる。逃げようとすれば捕まえてくるのに、決して食べたりせず、私が必死で抵抗するのを楽しんでいる様子だった。ただ追いかけ捕まえる、そして気が済めば逃がすという……お前なんかの命など、簡単に奪えるのだと、からかうような行為。きっとそれは、彼らの新しい遊びなのだろう。
それに甘んじて生きている自分に泣きたくなった。