3.見解の相違と目覚め①
今度は、1話を分けてみることにします(汗)試行錯誤中で、ご迷惑をおかけし、申し訳ありませんorz
三度目の死、それは確かに残念な結末だったかもしれない。本当に、赤の他人の身代わりなら――…
カミサマいわく、今回の出来事で亡くなるのは、飼い主の『人間』の方でペットである『ウサギ』の私ではなかった、らしい。これは、偶然が重なって起こった事故なのだ、と。
本来なら車で出掛ける予定であり、ペットは留守番。ところが母親は急用で家を空け、予定が消えた彼女は、誰に何を告げるでもなくウサギを抱き上げ外へ向かう。少なくとも外出の際はケージに入って、運ばれるのが習慣だった。けれど、専用のリードを装着した私は、そのまま前カゴに。楽しげに語りかけられた内容で目的地が推測できる。歩いていくには大変だが、自転車に乗れば無理でもない距離。カタンコトンと揺れるのを、丸まった姿勢でやり過ごせば、到着したのは広々とした自然公園だ。美味しい若葉が生い茂る大好きな場所。リードを外してもらえたから、クタクタになるまで思いっきり走り回れて、大満足だった。
……その帰り道。信号を無視した自動車に、彼女もろとも吹き飛ばされる自転車から弾き出されたペットのウサギ。アスファルトの地面に叩きつけられれば、当たり前だが即死である。
せめてケージに入れられていたのなら、私は死ななかったかもしれない。それは仮定の話。しかし彼女の不注意であり、致命的なミスだというのを、否定もできないだろう。――でも、恨むような気持ちは微塵もなかった。結果として彼女の身代わりになれたのなら、むしろ本望だろう。
私を一番可愛がってくれたのは彼女だ。そして生まれたばかりの私の命を救ってくれたのも、幼い彼女。今更だが、私の名前は満月。呼ばれる度、ソワソワしてしまうその名には、由来がある。
ある月の明るい夜、私は拾われた。朧気にしか覚えていないが…生まれたばかりの私は、タオルにくるまれ、ゴミ捨て場に棄てられていたらしい。鳴き声一つこぼさない私を奇跡的に発見した彼女は、家に連れ帰ってくれたのだ。そして真っ先に名前を付けた。オスでもメスでも大丈夫な名を。渋る両親も、そんな彼女を見せられては、私を飼うことに反対できなくなってしまったことだろう。次の日、動物病院に連れて行く約束をし、暖かい彼女の体温を感じながら……眠りについたのである。
言い表せない程の安心感に包まれて――――‥