6-9
医務室のベッドには、ミカゲが静かに横たわっていた。
いつもの黒装束は脱がされ、簡素な寝間着に着替えさせられている。その顔色は紙のように白く、規則正しいが浅い呼吸を繰り返しているだけだった。
担当したイリヤによれば、命に別状はないものの、強すぎる魔力を身体に巡らせた反動で、魔力回路と肉体がひどく消耗しているとのことだった。しばらくは目を覚まさないだろう、と。
レオンハルトとセリウスも、それぞれの怪我の治療を終えた後、心配そうにミカゲの様子を見に来たが、まふゆが彼のそばから離れようとしないのを見て、静かに医務室を後にした。
……それから、どれくらいの時間が経っただろうか。
窓の外はすっかり夕焼け色に染まっている。
まふゆは、ベッドの脇に置かれた簡素な椅子に座り、ただじっと、ミカゲの寝顔を見つめていた。
(……うちのせいや)
あの時、ミカゲの覚悟に気づいていながら、もっと他に方法はなかったのか。
自分の力が、本当に彼のためになったのか。
後悔と自責の念が、胸の中で黒い渦を巻いていた。
(ごめん……ミカゲ……ごめんね……)
声にならない謝罪を、心の中で何度も繰り返す。
彼が流した血、彼の苦しそうな息遣い、そして最後に振り絞るように言った「泣くな」という言葉。その全てが、まふゆの脳裏に焼き付いて離れなかった。
静寂に満ちた医務室に、まふゆのかすかな衣擦れの音と、ミカゲの寝息だけが響いている。
彼女は、ミカゲの手がシーツの外に力なく投げ出されているのに気づくと、恐る恐る自分の両手でその手をそっと包み込んだ。
彼の指先は、まだ少し熱を持っているように感じられた。




